自粛生活だからこそ日光浴を推奨 『紫外線』はビタミンD生成必須要素
2020年05月08日 17:00
抜粋
皮膚がん予防や美白ブームで悪者にされがちな紫外線ですが、骨の形成や維持に重要な役割を果たしているビタミンDの生成にはなくてはならない要素でもあります。今回は『侍Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック』でもおなじみ、現役ドクターであられる近藤先生に解説してもらいました。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・近藤惣一郎)


紫外線を浴びることの大切さ
東京オリンピックで沸き返るはずの2020年。新型コロナの影響で世の中は一変しました。緊急事態宣言に基づく不要不急の外出自粛で釣りは勿論、今まで当たり前に出来ていたことが出来なくなりました。当然、身体にはストレスが溜まり、体調不良が生じ、疲れやすくなってきます。中でも長期にわたり外出を控えることで生じる問題に日光の照射不足、紫外線不足があります。
美白がブームになったこの30年間、紫外線は皮膚がんを発生させる悪者のように扱われてきましたが、実は紫外線はビタミンDの産生に関わりがんやアレルギー、うつなどを予防し、人間にとって非常に大切なものであることが再認識されてきました。釣り人にとっても切っても切れない関係にある紫外線。
今回は、こんな社会情勢だからこそ、紫外線の効果、紫外線とのつき合い方についてお話ししましょう。
釣り人と紫外線は切っても切れない関係(提供:WEBライター・近藤惣一郎)紫外線の種類
太陽から届けられる光線は目にみえる可視光線(波長400?760nm)、目にみえない光線があります。可視光線よりも波長が長い赤外線(760nm以上)と短い紫外線(400nm以下)です。さらに紫外線はA波、B波、C波の順により波長が短くなる3種に分類されます。因みにC波よりも波長が短いものが放射線です。C波は放射線に類似して有害ですがオゾン層に遮られ地上には届きません。一方A波の9割、B波の1割が地上に到達します。
B波はA波よりも地上に届きにくく、紫外線全体の4%に過ぎず、身体の中にも入りにくいですが、極度に浴びると皮膚表面の表皮にサンバーン(Sunburn)といういわゆる「日やけど」=火傷・熱傷を起こし、皮膚を赤くしたり、水疱をもたらし、後のシミの形成にもつながる悪玉紫外線です。
一方A波は表皮の奥にある真皮まで到達しますが、皮膚の表面に色素繊胞による膜を形成して日やけどを防いでくれます。これがいわゆる日焼け=サンタン(Sun TUN:皮膚の色を濃くする)です。ふだんから適度に紫外線を浴びていれば、A波によるサンタンがシミを防いでくれるので「善玉紫外線」といえます。
真夏の炎天下、朝10時から午後2時までの時間帯に、無防備で長時間日に当たれば熱中症になりますし、日やけども起こすでしょう。しかし、それ以外であれば熱中症対策さえしていれば、紫外線対策は必要ないともいえるのです。
太陽光線の成分(作図:WEBライター・近藤惣一郎)紫外線は皮膚がんの元?
日本人の皮膚がん発症率はオーストラリア人の100分の1です。
紫外線予防キャンペーンの一番の目的は、皮膚がんの予防です。1982年、南極直上のオゾン層の著しく減少(オゾンホール)が発見され、有害なC波が地上に届けられることにより、日光に浴びると皮膚がんや白内障が生じるリスクが高まることが唱えられました。そして世界中に紫外線予防キャンペーンが拡がりました。
しかし、オゾンホールが発見されてから今日までに、日本で皮膚がん患者が目に見えて増加したという研究結果はありません。それどころか、日本人で皮膚がんによって亡くなった人は、1586人(「平成四年人口動態統計」)で、全がん死亡者の0.4%にすぎないのです。
確かに、白人は皮膚がんを発症するリスクが高いといわれていますが、それは紫外線を浴びたときに日やけするもととなるメラニンという色素が少ないためです。日本人の皮膚がんの発症率は、皮膚がんの発症リスクが高いといわれているオーストラリア人の100分の1にすぎません。しかも、全世界の皮膚がんの発症率を見ても、必ずしも紫外線の強い赤道に近い国々が高いとは言い切れないのです。
さらに、皮膚がんのうち日本人に最も多い皮膚がんは基底細胞がんですが、このがんはほかの臓器に転移することはほとんどなく、命にかかわるがんではありません。命にかかわる皮膚がんはメラノーマ、別名悪性黒色腫です。メラノーマは、日に当たることがない足のうらや足の爪に発生するがんで、紫外線とは無関係です。
オゾンホールは、オーストラリアとニュージーランドの南部まで広がっているため、その地域に住む白人種の人たちは紫外線対策が必要です。しかし、近年のフロンガス排出規制によって、オゾンホールは1997年を境に減少傾向にあります。そして、現在、日本でのオゾンホールの影響は少ないといわれています。
日本はオゾンホールの影響が少ない?(提供:WEBライター・近藤惣一郎)ビタミンDとは
骨の形成や維持に重要な役割を果たしているビタミンDは、100年前からその名のとおり、ビタミンとされてきました。そもそも、ビタミンとは「微量で生理機能を調節する有機物で、ヒトの体内で生成されない必須栄養で食べ物から摂取するもの」です。しかし、ビタミンDだけは、紫外線によってヒトの体内で生成されることがわかっているのです。つまり、ビタミンDは長年、ビタミンの一つとされてきましたが、実はビタミンではなくビタミンDは、副腎皮質ホルモンや性ホルモンと同じくステロイドホルモンなのです。
他のホルモンは水溶性ホルモンで血液中を漂い、細胞表面の細胞膜にある「細胞膜受容体」に結合して、細胞内の酵素を活性化します。これに対して、ステロイドホルモンは脂溶性ホルモンともいい、細胞膜を通り抜けて、遺伝子のある核内に入り込んで「核内受容体」に結合することによって、遺伝子を活性化するのです。
紫外線を浴びると、光反応によって皮下にあるコレステロールがビタミンDに変わることが解明されています。ですからビタミンDは「日光ホルモン」とも呼ばれています。
日焼け止め(提供:WEBライター・近藤惣一郎)紫外線・ビタミンDが不足すると
紫外線不足がビタミンD欠乏症を招くと、全身の細胞内の遺伝子が正常に働かないために、次のような病気をきたすことが報告されています。
・がん :乳がん、大腸がん、前立腺がん、膵臓がん
・アレルギー・自己免疫疾患 : 1型糖尿病、リウマチ性関節炎、多発性硬化症
・精神科疾患 : うつ、アルツハイマー型認知症、統合失調症
・呼吸器疾患 : 結核、インフルエンザ、肺活量低下、ぜんそく
・循環器疾患 : 高血圧、心筋梗塞、心不全、末梢血管疾患
・臓器不全 : 肝不全、腎不全、腸の吸収不全
・不妊症 : 妊娠中毒、帝王切開、新生児疾患
・運動機能障害 :骨粗しょう症、関節炎、骨軟化症、くる病、筋力低下、筋肉痛
ビタミンDは野菜や穀物、豆、イモ類にはほとんと含まれていません。魚はカルシウムが多いのて骨の健康には優れた食品であることはご存知だと思いますが、ビタミンDが豊富に含まれます。またきのこ類にもビタミンDは多く含まれます。ですから魚やきのこは積極的に食べるべきです。そして、ビタミンD不足にならないためには日光・紫外線を浴びることです。
近年我が国の女性の乳がん発生率が増加していることには、1985年に始まった「紫外線予防キャンペーン」で、紫外線を悪者と決めつけ紫外線を浴びることを極端に避けてきたことが関係している可能性が考えられます。
魚はビタミンDが豊富(提供:WEBライター・近藤惣一郎)自分の皮膚タイプを知って賢く紫外線と付き合う
皮膚にはメラニン色素があり、紫外線防御に働いています。紫外線を浴びたときの反応には、赤くなる「紅斑」と黒くなる「黒化」があり、その反応は皮膚の色によって異なります。これを「スキンタイプ」といって、次のように分類されます(Fitzpatrickの分類)。
Ⅰ型 :必ず赤くなるが黒くならない。皮膚の色は白色
Ⅱ型 : 必ず赤くなり、そのあと少し黒くなる。皮膚色は白から淡褐色
Ⅲ型 : ときどき赤くなり、そのあと黒くなる。皮膚色は淡褐色から褐色
Ⅳ型 : 赤くはならず、必ず黒くなる。褐色から地黒
Ⅴ型 :かなり黒い。地黒
Ⅵ型 :黒色
日本人のスキンタイプは、3種類に分類されています(Japanese Skin Type)。
自分のスキンタイプを知ろう(提供:WEBライター・近藤惣一郎)JST1 :紫外線に当たると赤くなるがあまり黒くならない。色白
JST2 :赤くなり、あとで黒くなる。普通色
JST3 : 赤くならずに黒くなる。地黒
紅斑反応は、いわゆる「日やけど(サンバーン)」です。紅斑反応を起こすのに必要な最少紫外線量を最少紅斑量(MED)といいます。スキンタイプの数字が大きくなるほどMEDが大きくなるのです。黒化反応は、いわゆる「日やけ(サンタン)」で、次の二つがあります。
・即時黒化 :A波紫外線を浴びたときは、皮膚にもともとある還元型メラニン重合体(無色)が酸化して酸化型メラニンになり、黒化を起こします。即時黒化は、紅斑反応を予防する生体の防御反応です。一晩寝ると成長ホルモンの作用で再び還元型に戻ります。
・遅発型黒化(色素沈着):B波紫外線による紅斑反応が消退するころに、メラニン色素細胞が増加して色素沈着を起こします。
JST1、2の人が無防備に紫外線B波を浴びると日やけどを起こし、紅斑や水疱形成を生じます。黒くなってからは気にせず日光を浴びれば良いのですが、JST1、2の人は白い間は日焼け止めクリームやオイルを利用しましょう。日焼け止めクリームやオイルはこの最少紅斑量(MED)を伸ばす効果があるのです。ですからオイルを塗っておくと赤くならずに黒く日やけがしやすいというわけです。
日焼け止めラインナップ(提供:WEBライター・近藤惣一郎)日焼けサロン、いわゆる日サロの光は紫外線A波なのでJST1、2の人は、日光にあたる前に日サロで日やけをして、すこし黒く下地を作れば紅斑反応が起きにくくなりますよ。
日焼けアフターケアラインナップ(提供:WEBライター・近藤惣一郎)紫外線にあたって健康に!
以上述べたように 日光に含まれる紫外線は健康を損なう悪者どころか、体内でビタミンDをつくる救世主とも言えます。
女性も男性も極端な紫外線予防の考えを改め、積極的に日光・紫外線にあたりましょう。特に今年はコロナの時期の外出自粛で、すでに紫外線にあたる時間が少なくなり、ビタミンD不足が起こりやすくなっていると思われます。
コロナが収束し、心置きなく再び釣りが楽しめるようになった時には、水分摂取と衣類の工夫で適切な熱中症対策を行った上で、自分の皮膚タイプに適したスキンケアを行いつつ精一杯、太陽の光、紫外線にあたりましょう!
積極的に日光浴をしよう(提供:WEBライター・近藤惣一郎)<近藤惣一郎/TSURINEWS・WEBライター>















