『電動リール』の定期的メンテナンス方法 分解整備はNGやめておこう
2020年05月15日 11:30
抜粋
購入時の電動リールは、軸受け部分などの動作部が油っぽかったり、グリスが塗布されています。使用や洗浄を繰り返すうちに、これらは流れ出してしまうため、定期的に注油やグリスアップが必要。今回は、分解せずに実施可能な注油&グリスアップについてリールメーカーが推奨する方法を基に解説。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版 編集部)
なぜメンテナンスが必要なのか
そもそも、なぜ注油やグリスアップが必要なのだろうか。主な理由は以下の通り。
・動作を円滑にし、購入時の性能を維持するため。
・動作や回転を繰り返す部品にかかる負荷を軽減し、重要部品の故障や破損を防止するため。
性能維持たけでなく、故障や部品に掛かる負荷を減らし、製品を長く使うためにも「定期的に行う必要がある作業」だということを意識したい。これらを怠ると、せっかく購入した愛機を早くに手放してしまうことになるかも。
素人の分解整備は禁物
各メーカーは個人の分解整備を推奨していない。本項では、洗浄後に行うことができる簡易的な注油とグリスアップを紹介。これだけで回転性能などが良好しない場合は購入店やメーカーになどに相談し、オーバーホール(分解整備)を依頼することを勧める。作業期間は、持ち込みから2週間~1カ月ほど。
高価な製品だけに、素人作業で部品を破損、紛失させては逆に高くつく結果につながる。そういった意味でも、本項では以前にも紹介した洗浄作業のあとに行う、定期的な簡易メンテナンスを紹介する。
用意するもの
メンテナンスを行う前に下記の道具を準備しよう。
・オイル(SSRO―1※撥水性能のあるアームローラーには使用厳禁)
・グリス(DG15)
・小さいはけ(筆や綿棒などでも代用可)
・キッチンペーパーやウエス
メンテナンスの前の下準備
オイルやグリスは粘度があり、ゴミや異物を拾ってしまいやすい側面がある。そのため、作業するリールは前号で紹介した洗浄作業が完了している必要がある。また、異物混入を防ぐため、作業する周辺は清潔に保ち、奇麗なウエスやキッチンペーパーなどの上で行うと、注油しすぎた場合の液漏れで汚れることを気にしないで済む。
オイルの注油は3箇所に
主な注油箇所は以下の3つ。
1.ウォームシャフト勘合部
ウォームシャフト勘合部は購入時、グリスが塗布されていることが多いので、グリスのほうがいいように思うが、海水などが付着しやすい部分なので定期的に注油する。
2.ダイヤルレバー部
ダイヤルレバー部は隙間から水が浸入しやすく、これが固着してしまうと、巻き上げを止めたつもりが、レバーが戻りきらず、巻き上げを続けて竿を破損させたり、余計な電力を使ってしまうことになる。動作確認と併せて確実に行いたい。また、レバー部の隙間は狭いため、粘度の高いグリスよりも、隙間から液状のオイルを染み込ませるほうが効率的。
3.本体取り付けネジ頭
さびを防ぐために行い、金属間で移るので注意。例えば、台所の流し台に空き缶を置いたままにしていたら、シンクに丸い形のさびが……なんて経験した人もいるはず。さびを移さないためにも、各ネジに行いたい作業。
本体を留めているボルト(ネジ)を見落とさないようにしよう。
4.オイルをなじませる
最後にリールのハンドルを回してオイルをなじませよう。
グリスアップ
グリスの特徴はその粘度。オイルよりも長時間潤滑が維持できるので、定期的に注油できないような奥まった部品や強い負荷がかかる部分に塗布されることが多い。
その反面オイルに比べゴミなどの異物が混入しやすくなるので、塗布には清潔なはけや筆などを使用して、付け過ぎは厳禁。主な塗布箇所は分解後になるが、電源コネクター部分に薄く塗布することで水を弾き、さびを防ぐことができる。
はけや筆の毛が抜けて混入しないように注意して適量塗るといい。
最後に
前号の洗浄と併せて、「定期的に行うこと」が重要で、釣行後はもちろん、長期間使用していない場合は潤滑不足をおこしている可能性があるので、ぜひ行いたい。
全国的な外出自粛によって釣りに行けないという人は、愛機のメンテナンスを行ってみてはいかがだろうか。もちろん、この機会にメーカーへオーバーホールを依頼するというのもいいだろう。機械製品とはいえ、使ってメンテナンスしていくうちに潤滑が機能し、動作がナジみ、釣行の大きな武器になるはずだ。
<週刊つりニュース関東版 編集部/TSURINEWS編>