渓流エサ釣りで36cm大イワナ手中 源流部でヒット【福井・打波川】
2020年05月19日 06:00
抜粋
4月11日、釣友と二人で、鳩ヶ湯温泉へ続く打波川へ出掛けてみた。源流部まで釣りあがり、36cmの大イワナと対面することができた。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 APC・加藤亘)
打波川で渓流ルアー &エサ釣り
福井県大野市内の奥地、ポツンと一軒だけたたずむ「鳩ヶ湯」という温泉宿がある。宿へと続く一本道は、例年11月下旬から翌年4月最終週まで、雪のため通行止めになる。しかし、暖冬だった今年は、この道が半月以上早く開通した。
自宅を午前2時半に出発し、目指す打波川中流域に到着したのは午前4時半ごろ。到着後、リュックにこの日の食糧、飲み物をいっぱいに詰め込み、夜明けとともに川へ降り立った。
外気温は氷点下1度。仕掛けを準備する指先はかじかみ、体感温度は気温以上に寒く感じた。ここ1週間以上、まとまった降雨もなかったので、川は明らかな渇水状態。条件は厳しいが、開幕したばかりのこの流域は、ほぼ手付かずに近い。大物への期待を込め、私はルアーで、釣友はエサ釣りで挑むことにした。
夜明け直後ということもあり、気温、水温の低さも重なってか、好ポイントでもアタリがなく、我慢の釣りがしばらく続いた。特に、ルアーにはアタリどころかチェイスする魚すら見えず、開始1時間ほどでエサ釣りに変更した。
気温上昇で本命顔見せ
ようやく日が差し始めたころ、私に当日最初のアタリがきた。迷うことなくアワセを入れた途端に魚信が伝わり、上がってきたのは18cmほどのイワナだった。すぐにリリースし、次のポイントへ進む私と釣友。ここから少しずつ、アタリにも釣果にも恵まれる時間が続いた。
この日のエサ釣り仕掛けは、大物に備えて0.5号の通し仕掛けを準備していたが、上がってくる魚は25cm以下が多かった。早いペースで順調に釣り上がり、すっかり体も指先も温まった午前8時すぎ、二人そろって25cmほどのイワナが釣れたところで、朝食を取ることにした。
イワナの刺身で腹ごしらえ
メインは定番のイワナの刺身。釣りたてのイワナの頭から腹にかけてクルっと切れ目を入れ、釣友が慣れた手つきで皮をはぐ。その後、私が手際よく三枚におろし、身をカットして刺身が完成。
山で食べる新鮮な刺身は、釣り人だけの特権と思いながら、しばしの朝食タイムを楽しんだ。
支流で25cm超え登場!
その後、本流にそそぐ流れに差しかかり、ここから支流へ入ることにした。水を触ってみると明らかに本流よりも冷たく感じるが、適度にアタリも釣果も続いた。上流に進むにつれ、25cmオーバーの魚も釣れだし、いなしてはタモですくうやり取りが、いく度となく続いた。
山菜採りも楽しむ
また、川筋のいたるところにワサビの群生があった。特に状態の良いものを選んで摘みながら、さらに上流へと足を進めた。
ワサビのほかに、コゴミやタラの芽も出始めていたので、こちらも状態の良いものだけを少し摘ませてもらった。
釣りと山菜採りを楽しみながら、すでに時刻は正午を過ぎ、朝の寒さが嘘のように、私も釣友も額に汗をかきながら釣りを続けた。
源流部はひと流し1ヒット
川がかなり細くなった源流部に入ると、ほとんどのポイントでひと流し目にアタリがあり、面白いようにイワナが釣れ続いた。ただし、限られた魚であることを考慮し、楽しませてもらったあとは、リリースに努めた。
このあと、釣友と相談のうえ、時間が許すところまで、釣り上がってみることにした。釣り開始から約10時間。そろそろ納竿を考え、最後と決めたポイントに仕掛けを投入した。何気ないポイントだったが、泡立つ落ち込みに向かって目印がゆっくりと引き込まれ、当日一番の引きが伝わってきた。
36cm大イワナ手中
魚は最深部に沈んだ倒木の方向へと潜ろうとするので、とにかく潜られないように、水面付近へ誘導するようにいなした。やり取りの過程で、水面から出た尾ビレを見て大物を確信。慎重なやり取りを続けるうちに、魚が水面にゆっくり浮いたところで、素早くタモへ誘導した。
いかつい顔と大きな口に鋭い歯、幅も厚みもあるこの魚は、36cmの立派なイワナだった。10時間以上の長い道のりだったが、すっかり疲れも忘れる快心の一尾に感謝し、納竿とした。
その後、入川口まで1時間以上の長い道のりを歩き、着替えて岐路につくときには、すでに午後5時を向かえようとしていた。二人合わせておそらく100匹近くのイワナと対峙し、新鮮な山の幸もいただいて満足と充実の釣行となった。この日の走行歩数は1万8千歩。本当によく歩いたものだ。
大自然の恵みに舌鼓
晩春の山では、いろいろな山菜を採ることができ、釣りをしながら自然豊かな山々で時間を過ごすことが、私は大好きだ。
翌日、ワサビのビン漬けとコゴミのおひたしを、イワナの骨酒とともに味わったが、最高においしく感じた。
川と山の恵みに感謝しつつ、その味を堪能した。
<週刊つりニュース中部版 APC・加藤亘/TSURINEWS編>