サカナの9割は子育てを放棄? 代表的な3つの育児パターンを解説

2020年05月20日 11:00

[TSURINEWS]

抜粋

育児をするサカナはほんの一部。9割のサカナが産みっぱなしなのだ。今回は、残りの1割が行う代表的な育児方法について紹介していきたい。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

サカナの9割は育児をしない?

多くの人はほとんどのサカナが卵から産まれてくることを知っているだろう。そして、産卵シーンで有名な魚種といえばサケを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。

産卵のため遡上するサケ(提供:PhotoAC)

そのシーンを想像してもらえると分かりやすいが、魚は卵を産みっぱなしにすることがほとんどである。その卵は潮流などに流され漂うものと下に沈んでいくものに大別される。

サケ卵(提供:PhotoAC)

産卵される卵の大きさ、数、形状も実に多様性に富み、もちろん産まれてくる仔魚の大きさや器官の発達も種類によって異なってくる。ただ、中には子育てをする種もいるのだ。今回は幾つかのタイプに分かれる魚の子育てについて話していきたい。

サカナの育児方法3選

サカナの子育て方法には大きく3つのタイプがある。

1.見張り型

見張り型は、子育てをする魚の内の約60%が当てはまる。見張り型は卵を岩陰や海藻などの目立たない所に産卵をする。そして、親魚がヒレで新鮮な水を卵に送ったり、死んでしまった卵を取り除いたりすることが知られている。また卵や仔魚を狙う敵が近付くと果敢に攻撃を行い、敵から防衛することもある。

このタイプの子育てを行う魚は、雄が子育てを行い雌は関与しないことが比較的多いようだ。ちなみに、某有名アニメーション映画でもカクレクマノミの親が卵の時の主人公の世話をする様子が描かれているが、自然界の同種においても、実際そのようなことが行われている。釣り人になじみのある魚で言えばブラックバスが有名だろう。

2.体外運搬型

体外運搬タイプは親が卵や仔魚を持ち運ぶタイプであり、持ち運び方は体表に卵を付着させたり、腹部に卵や仔魚用の袋があり、それに収納するタイプ、口に卵や仔魚を収納するタイプなど実にユニークである。

魚の育児と聞いて、口の中に沢山の卵を持つ画を想像する方もいるのではないだろうか。親の身体の大きさにより、1度に子育てを行える数に限りがあるという欠点もあるが、親が子供を持ち運ぶため、かなり安全度は高いと言えるだろう。

タツノオトシゴがこのタイプの代表格だろう。また多くの釣り人が1度は釣ったことがあるであろうネンブツダイもこのタイプの魚で、口いっぱいに卵を持つことが確認されている。他にも幅広い魚にこのタイプが存在する。

育児嚢が目立つタツノオトシゴの一種(提供:PhotoAC)

3.妊娠型

先ほどまで紹介したタイプの魚も含めた多くの魚は体外受精という方式だが、一部の魚は哺乳類のように体内受精を行うものもいる。これらは卵が雌の体内で孵化をする卵胎生と呼ばれるもので、卵生と胎生の中間のような方法だ。

近年では卵胎生は胎生の中の1つの方法という考え方もあり、単に胎生と表現されることもある。これを読んでいただいている方の中には、釣り上げたウミタナゴがバケツの中で出産して驚いた経験をお持ちの方もいるのではないだろうか。

抱卵しているウミタナゴ(提供:PhotoAC)

このタイプは逃げることも、自らを防衛することもできない卵の状態ではなく、いきなり親のように泳げる格好で産まれてくるケースが多いため、子供の死亡率が低いのが特徴だ。

しかしその分、子供の元々の数は少ないことがほとんどだ。例外としてはライトゲームの好ターゲットであるメバルやカサゴなども妊娠する魚だが、彼らは子供が非常に小さいうちに出産するため数万尾を出産するといわれている。上記に挙げたウミタナゴやメバルの仲間の他には、多くのサメ、エイがこのタイプだ。

卵胎生ドチザメの卵(提供:PhotoAC)

妊娠型の胎児食性について

妊娠する魚は母親の体内で何を食べるかによって、さらに幾つかに分類する事ができる。

1.卵黄食型

鶏の卵のような卵黄が魚の卵にもある。多くの人が1度は飼育したであろうメダカを想像して貰いたい。卵から孵化したばかりのメダカはお腹が満月のように膨らんでいたと思う。あそこにはエサを自らで捕れるようになるまで、成長できる栄養が詰まっているのだ。

メダカ稚魚(提供:PhotoAC)

ご存知の通り、メダカは妊娠する魚ではないが、妊娠する魚の卵黄食型の魚は母親の体内でその栄養を消化し成長しつつ、出産の時に備えているのである。メバルの仲間がこのタイプに属し、他にも電気を発することで知られるシビレエイが同類だ。

シビレエイ(提供:野食ハンマープライス)

2.共食い型

このタイプでは孵化した赤ちゃんは母親が作る無精卵を食べて成長するというものだ。また、中には無精卵だけでなく、胎仔同士で共食いをして成長をするという驚愕の生態を持つものもいる。胎生種が多いサメの中でもこのタイプは珍しいタイプとされている。

珍しいタイプながら某パニック映画の人食いザメとして知られるホホジロザメがこのタイプであり、その他にはシロワニなどネズミザメの仲間がこのタイプだ。

3.ミルク型

哺乳類のように子供を育てる子宮の内側の壁から、栄養の入った分泌物(ミルク)が母体から分泌される。そしてその分泌物(ミルク)を胎仔が摂取するというものだ。特徴としてやや短期間で成長できるということが知られている。

そんな不思議な仕組みを持つ生き物なんて身近にいないのではないかと思うが、ウミタナゴやアカエイといった比較的なじみのある生き物にもこのような仕組みがあることが判明している。

4.胎盤型

これは、卵黄の入っている袋の一部が母体の子宮と繋がり、胎盤を形成するというものだ。また胎仔1尾1尾が仕切りによって隔てられている。また先ほどのミルク型と似たような流れで栄養が母体から供給され胎仔は成長をしている。

このタイプは哺乳類のような完全な胎生のグループとも近い胎生とされるばかりか、全く遜色がないとされる物もいる。これらには独特な形の頭部を持つことで知られるシュモクザメや、高級食材として有名なフカヒレに利用されるヨシキリザメがあてはまっている。

まだまだ未知の生態も

誰もが名前くらいは聞いたことのある魚や食卓に並ぶ魚。そんなメジャーな魚も、調べてみるとあっと驚くような方法で子孫を増やしているかもしれない。

魚は我々脊椎動物の半分以上を占める巨大なグループだ。しかも、人類は世界の海の10~20%しか把握していないと言われている。もしかしたら我々の想像もつかない繁殖、育児をする魚もいるかもしれない。

<永井航/TSURINEWS・WEBライター>

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