水族館で見る魚をもっと知りたい:チンアナゴ コロナ影響で人見知りに?
2020年05月22日 11:00
抜粋
水族館で人気のチンアナゴ。かわいい見た目は想像つくけど、生態まで知っている人は少ないかもしれません。新型コロナウイルスによるまさかの影響も含めて紹介していきます。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)


チンアナゴは本州にも生息
人気者のチンアナゴは、ウナギ目アナゴ科に属する海水魚で、インド洋から西太平洋の熱帯域に生息してます。実は日本でも小笠原諸島、静岡県富戸、高知県柏島、屋久島、琉球列島などにも生息しており、砂浜の海底を好みます。
なんとなく日本にはいないようなイメージのチンアナゴですが、本州でも見られるのはあまり知られていないかもしれません。
トンネル掘りの名手
さらにチンアナゴの大きな特徴と言えば、サカナなのに泳ぐ姿はあまり見せず、まるで植物のように地面からニョキっと生えたような様子でしょう。
ニョキっと顔を出すチンアナゴ(出典:PhotoAC)砂浜の海底で気に入った場所があると尻尾を使ってまるでドリルのように砂を掘り進め、一気に砂の中に潜って巣穴を作ります。この時、掘り進めると同時に体から粘液を出し、巣穴を固めてしっかりとしたトンネルを作っています。
自分の体長よりも長い穴を作ることで外敵が近付くとスっと身を隠すことができ、シェルターのような役割にもなっています。
名前の由来
チンアナゴの「チン」とは何でしょう。少し変わっているからといって「珍」アナゴというわけではありません。これはチンアナゴの顔が狆(ちん)という犬に似ていることに由来しています。
また、チンアナゴの体色は白く、体全体に多数の細かい黒点があります。また、えらぶたと肛門、その間の5か所に大きな黒い斑紋があること、砂底から伸びている姿が庭で育つ草木に似ていることから、英名では「spotted garden eel(スポテッド ガーデン イール)」と呼ばれています。
似ているサカナたち
水族館で展示されているチンアナゴたちを見ると、同じようなルックスで色の違うサカナがいくつか見られると思います。あまりサカナに興味がない人はひとまとめに「チンアナゴ」と呼んでしまうかもしれませんが、もちろん彼らは別種です。
水族館でチンアナゴとともによく展示されているサカナは2種類います。1種目がオレンジで縞(しま)模様があるサカナが「ニシキアナゴ」、2種目が白色でヒレがひらひらしているのが特徴的な「ホワイト スポテッド ガーデン イール」です。
実はチンアナゴは群れを作るサカナです。そのため、展示されている水槽の中を見ると種類ごとにまとまっている姿を観察できると思います。「あーこのあたりはこの子たちのスペースなんだー」と言う目線で見てみると面白いかもしれません。
チンアナゴによく似ているサカナたち(出典:PhotoAC)みんな同じ方を向く理由
チンアナゴたちは、水中を漂っている「動物性プランクトン」を主食としています。大きく特徴的な目でキョロキョロとよーく周りを見回し、流れてくるプランクトンを見つけると勢いよく食べつきます。
チンアナゴたちが砂から顔を出しているのは実はエサであるプランクトンが流れてくるのを待っているため。そのため、チンアナゴたちはみんな決まって水の流れてくる方向を向いています。
流れの中のプランクトンを待つ様子(出典:PhotoAC)水族館のチンアナゴに異変?
新型コロナウイルスによる影響があったのは私たち人間だけではありません。実は水族館のチンアナゴにも異変があったのです。
激しい人見知りに
感染拡大防止のため、長期休館中の【すみだ水族館】では、飼育スタッフ以外と顔を合わせることがなくなったチンアナゴが「人間を忘れはじめた」という事態が起きてしまったのです。
本来のチンアナゴは前述のとおり非常に繊細で警戒心が強く、すぐに砂の中に潜って隠れてしまうサカナです。しかし、お客さんに見られることに慣れていた同水族館のチンアナゴは人が近寄っても潜ることはほとんどありませんでした。
そんな彼らも人に囲まれる習慣がなくなってしまったことから、人間のことを忘れ、顔なじみの飼育スタッフが近付くだけでも隠れてしまうようになってしまったのだとか。
砂から顔を出さないことで健康状態を把握することができなくなり、作業に弊害が出てしまうなど、新型コロナウイルスの影響はこんなところにも及んでいたのです。
顔見せ祭り
そんな状況を打破するべく、同水族館ではGWに人間のことを思い出してもらおうと、「顔見せ祭り」というイベントが開催されました。
この企画では5月3日~5日の3日間、チンアナゴの水槽の前に設置された5台のタブレット端末が設置され、10時30分〜14時の開催時間内で一般の方からのFacetimeによる通話を募集し、通話がつながれば、チンアナゴの様子を自宅から観察することができるというものです。
その様子はライブ配信もされ、7000人以上の方がこのイベントに参加し、3日間でなんと100万件以上の着信が殺到したそうです。
この甲斐もあってか、チンアナゴたちは以前よりも顔を出すようになり、すみだ水族館も、
「たくさんのご協力、本当にありがとうございました!!チンアナゴたち、少しずつ人間を思い出してくれたように感じます。今後も休館は続きますが、日々、いきものたちと向き合っていきます。そして、みなさんとまたお会いできる日を首をなが~くしてお待ちしています!Thanks a lot!!」
と感謝のメッセージを発信しました。新型コロナウイルスが落ち着いたら是非水族館で直接チンアナゴを観察してみて下さい。
<近藤 俊/TSURINEWS・サカナ研究所>















