【中部2020】春の陸っぱりエギング攻略法 大型との出会いを楽しもう
2020年05月23日 17:00
抜粋
春は陸っぱりで大型のアオリイカに出会えるビッグチャンス。今回はモンスターアオリとの出会いをナビゲート。アオリイカの生態やアプローチ、マル秘テクニックもこっそり解説しよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 橋本広基)
アオリイカの生態と春のエギング
アオリイカの寿命は約1年。晩冬から春に生まれた子イカは、夏から秋にかけ大量のエサを摂取し急激に成長する。その後、低水温を避けるため沖の深場で越冬し、春の訪れとともに沿岸部に接岸。水深の浅い入り江や島影などの波の静かな藻場で産卵を行う。
また、一般的にオスはメスより大型に成長し、その見分け方は胴体部の白い模様が横線であればオス、斑点模様であればメスである。
アオリイカは視力が良く、水中での音や振動をつかさどる器官も非常に発達しており、捕食意欲も旺盛である。そのためアオリイカはルアーゲームにおいて定番のターゲットであり、エギと呼ばれる疑似エサを使用し、多くのアングラーが楽しんでいる。特に春は親イカのためサイズが良く、800g前後~1kg程度が私の地元三重県のアベレージサイズ。最大では3kgを超す釣果報告もある。
狙うフィールドと時間帯
親イカはカップリングを行い、産卵直後は捕食に対する意欲が著しく低下する。しかし、沿岸部への接岸後、生命を維持するため産卵床周辺でエサを求め、どう猛なフィッシュイーターへと変貌するタイミングがある。そのため私たち釣り人は、「産卵」と「捕食」、この2つのキーワードに着目する。
まずは産卵床となるアマモやホンダワラが生育する、藻場周辺を狙うことがド定番。水深の目安は3~15m前後。特に潮通しが良く、ウネリなどの影響を直接受けにくいフィールドは、卵の生存率が高く孵化後の子イカのエサが豊富なため、多くの親イカが集結する。
また外洋に面する堤防先端や磯場周辺も、捕食意欲の高い親イカの回遊が望める高確率ポイントだ。アオリイカは潮目を移動する習性があることも覚えておこう。
水温も非常に重要な指標となり、15度以下になると著しく捕食意欲は低下し、春の時期であれば20度前後のエリアを探してみよう。そのため水温の高い三重県南部では、3月前後からシーズンが開幕し、伊勢湾などの内湾は水温の上がりが遅いため、釣れだす時期が遅れることも覚えておこう。
時間帯は朝夕のマヅメ時が最も実績が高く、ナイトゲームではアオリイカが視覚でエサを判断しやすい月明かりに照らされる満月の夜がオススメだ。
またアオリイカは濁りを嫌うため、海水が白っぽいなどの場合は早めのポイント移動も視野に入れ、釣行計画を立ててみよう。
春エギングのタックルと装備
エギングはバシバシとエギを跳ね上げるシャクリの動作が基本となり、シャープなロッド操作が要求される。そのためロッドはエギング専用モデルが耐久性の面でも安心でき、先調子のため軽い力でエギの操作が可能となる。
オススメの長さは遠投性と操作性のバランスを考慮し、8.5ft前後。秋の子イカシーズンなど通年楽しみたい場合は適合エギサイズ3.5号程度のMLもしくはMパワーモデル、春のモンスターサイズに重点を置く場合は4号程度のMHパワーでもいいだろう。
メインラインは水中でのライン抵抗を考慮し、PEライン0.6~0.8号。リーダーの結束は根ズレ対策のため必須となり、フロロカーボンラインの2号程度を選択しよう。2kgオーバーでも安心したファイトが楽しめ、飛距離と強さのバランスを意識したセッティングだ。
春エギングのエギ
エギはアオリイカ釣り専用のルアーである。ルアーのサイズは春の親イカシーズンでは3.5号が基本となる。
カラーについては、エギの表面に巻かれる上布とその下地に貼られるカラーテープの二重構造となっており、状況に応じたカラーチェンジは釣果を伸ばす重要な要素となってくる。そのため私の使い分けとしては、下地は定番の金系とシルエットがはっきりする赤系を中心に、上布は光量の少ない朝夕のマヅメ時は、目立ちやすいオレンジやピンク系、日中や潮の澄んでいる場面では紫や銀系の地味カラーに加え、紫外線に反応してボワッと発光するケイムラカラーもオススメだ。
夜はライトを当てると発光する夜光カラーも試してみたい。このように状況を考え、独自の考察でカラー選択も楽しんでみよう。
釣り方&マル秘テク
エギングの釣り方とテクニックを紹介する。
1.キャストとレンジの考え方
キャストは振りかぶった際、ロッドにエギの重みを感じてから振り抜こう。特に朝夕のマヅメ時はチャンスタイムのため、活性の高い個体に狙いを絞る。底を取るという固定観念はいったん捨て、5秒、10秒とアクションを開始する水深を表層から順に下げていく方が効率的だ。いきなり根掛かりさせ、アオリイカに警戒心を与えることだけは注意しよう。
その後、反応がなければ底付近のアプローチが有効となり、着底は海面に吸い込まれているラインが止まる、ラインテンションが抜けるなどが合図となる。
2.シャクリ動作
誘いとなるアクションは「シャクリ」と呼ばれ、エギを左右に大きく跳ね上げることで、アオリイカの捕食意欲を刺激する。
1回のシャクリに対し、リール1回転が基本となり、ロッドとリールハンドルを握った形で上方向にラインをパシッと弾く感覚でシャープに動かす。その際、リールのハンドルを持っていることによりリールは自然と1回転し、手首とヒジの力を抜くことでスムーズなシャクリ動作が行える。回数に制限はないが、3~4回をワンセットと考えよう。
3.フォールとアタリの取り方
エギングで最も重要なタイミングが、シャクリの後のエギを沈める「フォール」である。アオリイカがエギに抱きつく間を与える動作となり、シャクリ後はスッとロッドを斜め下方向に構え、ラインテンションは張らず緩めず程度を意識する。これをカーブフォールと呼び、多くのシーンで活用する基本となる。その際エギは海中でゆっくりと円弧を描くイメージで沈んでいく。
アタリの出方としては、ロッドの穂先がグッと持っていかれる明確なアタリから、海中に吸い込まれるラインが止まる、テンションが緩むなどがある。特に視覚が制限されるナイトゲームでは集中力が必要となり、手元に伝わる感覚が頼りとなる。変化や違和感があった際は、迷わずヒジを起点に力強くアワセを入れよう。アワセが決まった際は壮快そのものだ。
またリールのドラグは、シャクリやアワセを入れた際にチリッと滑る程度に調整しておくことで、アワセ切れや掛かりが悪い際の身切れなども防止できる。
4.海面ダートはマル秘テク
私も実践して驚いたマル秘テクを紹介しよう。これはアオリイカのヤエン釣りをする人から聞いたひと言がヒントになっている。
ヤエン釣りで「アジが着水したと同時にラインが勢いよくひったくられ、ヒットすることが多々ある」とのことだった。まさかと思い、これをエギングで再現。着水と同時に暴れるアジをイメージし、海面でエギをダートさせる。
すると驚いたことに、アオリイカがヒットしたのである。その後このような状況はたびたびあり、私の推測ではエギが着水した音や振動でアオリイカが興味を示し、その後のダートで反射的に捕食行動を取るといったメカニズムではないのかと思っている。アオリイカはエギを沈めて釣る。そんな固定観念を覆す発見であった。
ファイトとランディング
ヒットした際は、焦らずやり取りを楽しもう。イカ類特有のジェット噴射は横走りがなく、ロッドの弾性やリールドラグを活用して受け止める。最も注意してほしいポイントは、ヒットから取り込みまで絶対にラインのテンションを抜かないこと。エギのカンナ部分にはカエシがないため、テンションが抜けることは即バラシに直結する。
また取り込みの際はギャフ、ネット、どちらの場合もアオリイカの胴側(頭)からアプローチしよう。また、アオリイカは引っ張った方向に逃げるため、ロッドを寝かすと海面に浮いてきやすいことも覚えておこう。
絞め方と持ち帰り方
アオリイカは、イカの王様と呼ばれるほどの美味である。釣ったイカを新鮮に持ち帰るためには、生け絞めは必須。専用のイカ絞めピックなどを使用し、眼と眼の間を突き刺す。体色が透明になれば成功。
ジップロックなど、小分けのビニール袋を使用すれば、クーラー内を汚さずに済む。鮮度維持には身が直接氷に触れることを避け、冷やし過ぎは逆に細胞の壊死を早め鮮度低下へと繋がる。
最後に
近年三重県でも釣り禁止のフィールドが多くなっている。ゴミの後始末はもちろんであるが、イカスミによる汚れは、見た目だけでなく衛生面にも影響する。海水をくみ上げ、ザバーッと流すだけで釣り場はきれいになる。
また、コロナ対策で悶々とした日々を送られている人も多いと思うが、今回の内容を読んで少しでも皆さんのイメージアップにつながれば幸いである。
<週刊つりニュース中部版 橋本広基/TSURINEWS編>