【中部エリア2020】アユのトモ釣り初心者入門 エントリーキットでOK
2020年06月01日 11:30
抜粋
いよいよ今シーズンも待ちに待ったアユのトモ釣りシーズンが開幕する。初心者が初めの1尾を手にするためのポイントを解説しよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 武田英敏)
トモ釣りを始めよう
これからトモ釣りを始めたい、楽しみたい。トモ釣りを始めたが師匠や先生がおらず、イマイチ釣果が伸びないという人にサオや仕掛け選択、釣行河川の選択、釣り方など注意点を紹介したい。
トモ釣りは道具が高くて釣りが難しく、敷居が高い釣りのイメージがまず頭をよぎる。身近な友人、職場にもトモ釣りをする人がいない。そんな人もたくさんいるだろう。しかし近年、初心者向きのトモ釣り教室を行っている漁協も増えてきている。そのようなイベントに参加することも、まずは第一歩につながると思う。
入門キットで手軽に
そして、昨年モーリスから発売されたトライキット鮎リバーストン63は、本格的にアユ釣りを始めたいという人向けではなく、川に行ってみんなでワイワイガヤガヤ水遊びをして、バーベキューをしてアユを釣って釣れたアユを焼いてと、「夏の川でアユと遊ぼう」がコンセプト。
釣って楽しい、食べておいしい夏の風物詩であるアユ。日本に古くから伝わる伝統釣法アユのトモ釣りを、もっと気楽に楽しんでほしいと次世代のアユ釣りだ。このキットは水中イト、仕掛け、ハリが付属されていて、オトリと鑑札さえ購入すれば、すぐにアユ釣りを始められる。
友釣りのタックルについて
「本格的に始めたい。数年はサオや道具を同じモノを使用したい」というアングラーはネットでも購入できるが、私のおすすめは釣具店に行って店員さんに相談し、サオや道具を実際に手に取って見て確認し、希望金額内で見積もりをしてもらうというのが最も確実だ。
私のおすすめロッドは8.5m、9mで、サオの調子はどこの河川をホームグラウンドにするかによって微妙に変わってくるので、店員さんに相談するといいと思う。
完全仕掛けがおすすめ
仕掛けは作る楽しさもあり、自分のオリジナル仕掛けを作るのもまた面白いが、実際には慣れるまでは難しいため、完全仕掛けといった天上イト、水中イト、鼻カン周りイトがセットされているものがバリバスから発売されている。
水中イトの種類も複合メタルライン、ナイロンライン、フロロカーボンラインが選択できる。張り替え仕掛け、鼻カン周り仕掛けも発売されている。
水中イトの使い分けは、簡単にいえば速い流れ、水深がある川では複合メタルライン、緩い流れはナイロンライン、フロロカーボンライン。引き釣りなら複合メタルライン、泳がせならナイロンライン、フロロカーボンラインといった感じだ。
近年ではベテランの人はどのようなポイントでも複合メタルラインで釣る人が多くなってきているが、いろいろなラインを使用して、違いを勉強するのもステップアップにつながると思う。
ハリは魚との唯一の接点
ハリは3本、4本イカリパック、ヤナギ仕掛け2本、3本が発売されている。ハリの選択は難しい。ハリは魚との唯一の接点。そしてトモ釣りはエサを付けて口掛かりさせるのではなく、スレ掛かりさせる釣りだ。ハリ先には神経を使う。
種類もいろいろあり、重さや形状が掛かりに影響してくる。3本、4本イカリの違いについては、掛かりの速いのが4本、確実に深く掛けるなら3本。しかし、4本イカリは3本イカリより重く、根掛かりのリスクがある。
オススメのハリはバリバスならTYPE2の3本イカリと4本イカリ。初期ならハリの号数は6.5号、7号。この選択だけでも4パターンの異なる組み合わせになる。914Zは中~小型アユをターゲットとした、軽量オールラウンドタイプ。TYPE3はキツネ形状のフトコロが発揮する抱き込むような保持力の良さが特徴。
新登場のハリも要チェック
今シーズンバリバスから発売されたソニック+MB。MBとは「マイクロバーブ(極小半スレ)」のことで、スレバリではなくカエシが付いた半スレバリだ。バレにくいといったメリットはあるが、身体やウエアなどに刺さると大変危険で、使用の際には十分注意が必要だが、面白い発想のハリだ。
それとヤナギ仕掛けギブ(2本ヤナギ、3本ヤナギ)。ついにベールを脱ぐ禁断のヤナギ仕掛け「速攻ヤナギ」。追い気の低い群れアユ攻略といった獲れない、釣りこぼしのアユを拾うことのできるヤナギ仕掛けだ。ギブは現在でも最速を誇る超早掛けバリ。群れアユや追い気の悪いアユを攻略するのにオススメだ。
あと数種類あるが自分の釣りパターン、ポイントで自分の釣りに合ったハリを選択するといいだろう。
まずは小規模河川にエントリーしよう
初心者だけに言えることではないが、まずはトモ釣りを楽しむことにおいて一番大事なことは、ケガに注意し安全第一で自分の体力で楽しめる河川を選ぶこと。
小規模河川から釣行計画を立てた方が良く、川幅が狭く透明度の高い河川ならアユの動きが目視できるポイントも多いしサイトフィッシングも楽しめて勉強にもなる。根掛かりしても立ち込んで外しやすく、オトリの回収も比較的容易に行える。
おすすめ河川は三重県の宮川上流や大内山川。両河川とも初心者が入門するのに最適の河川だ。宮川上流は放流オンリーの河川だが放流が多く、今シーズンは人工産4500kgを放流予定。大内山川は天然遡上もあり終盤まで楽しめる。
オトリを川にナジませる
実釣だが、まずは釣り始めは養殖オトリからスタートがほとんどのため、動きが悪いと思い引っ張ったり、キツイ瀬から始めたりするのではなく、オトリが自力で泳げるポイントや、オトリに負担がかからないポイントからスタートする。それと万が一根掛かりしても回収できるポイントを選ぶのも大事だ。
養殖オトリは川にナジむ(慣れる)まで数分かかるため、むやみやたらに引っ張らずに我慢してオトリ任せにすることが大事だ。この作業ができるかできないかが、一日の釣りを左右する。
良い循環をつくり出そう
トモ釣りは循環の釣り。時合いやオトリの動きがいい間はアユがアユを呼んできてくれるが、反対にパターンが崩れてしまうと他の釣りにはない負のスパイラルに陥る。それはオトリという生きたモノでの釣りのため、難しさがあるが面白いところだ。
そのため元気なオトリがないと釣りが成立しない。一般的にオトリ購入は2匹が普通で、この2匹を大切に扱って釣りを展開していくのも勉強のうちだが、私的には数匹オトリを購入してどんどんオトリを交換することもいいと思う。大会でもあるまいし、2匹スタートといったルールも存在しない。
釣れたアユのストックに余裕ができてくると、狙えなかった深場のポイント、流れが強いポイント、根掛かりしても回収しにくいポイントを狙うのも面白い。同じポイントで5分を目安に、掛からなければ自分の立ち位置を変えたり、オトリを泳がせるラインを変える。オトリを回収して逆バリの状態、ハリを点検する。それで掛からなければ、自分に釣れるアユがいないと判断してポイントを変わっていく。
目標を持った釣りを心掛ける
慣れてくれば背バリ、オモリを使用すれば、ノーマル仕掛けとは違うトモ釣りの世界が見えてくる。私自身にも言えることだが、釣りは釣りたいが先走ったり釣果が欲しいが先走れば、ステップアップはしないと釣りの大先輩から言われたことがある。
その日その日に自分なりの目標を持って、「今日はオトリを大切に弱らせない釣りをする」、「今日は瀬のポイントを中心にも釣る」、「今日はポイントをいろいろ移動する」など意識することも、自分なりの引き出しが増えると思う。
何の釣りでも言えることだが、釣りは体力、気力、集中力などかなり消耗する。釣り始めのパワーのままで最後まで釣り続けることはまずできない。適度な休憩を取り、再開することも釣果につながる。
トラブルや冷水病に注意
それと他の釣り人とのトラブルもなきにしもあらず。近年川は台風などの影響で砂地が多くなり、小河川は特に狭いポイントに釣り人が集中することが多い。先行者がいれば必ず声をかけて入川する。他の釣りとの間隔は、最低上下サオ2本以上空けよう。
それとどこの漁協も心配し力を入れている、アユ疾病まん延防止(冷水病対策)についても注意が必要だ。釣ったアユ、オトリアユは必ず持ち帰る。他の河川でのオトリアユとして購入したアユ、釣ったアユはオトリアユとして持ち込まない。使用後の釣具は、十分に乾燥消毒する。
敷居の高い釣りと思われがちだが、今シーズンはトモ釣りにチャレンジしてみては。
<週刊つりニュース中部版 武田英敏/TSURINEWS編>