初めての釣りは「船釣り」で決まり:初心者向け完全マニュアル公開
2020年07月25日 17:00
抜粋
船釣りは初めて釣りをする人にとって、非常に心強く楽しめるものです。「釣りは初めてだけど、船に乗って釣ってみたい」という人へ、船釣りマニュアルを紹介。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)


2つのサカナ釣り
サカナ釣りは陸地から竿を出して釣るいわゆる「陸っぱり」の釣りと、船に乗って沖に出て船上から釣る「船釣り・沖釣り」があります。
前者の陸っぱりには防波堤や砂浜、釣り公園などの施設なども含まれます。また、船には乗るけれど、船で行く先は波止であったり、岩場であったりと、船は利用するけれど釣りは陸地でという釣りもあります。後者の船釣りは船に乗って沖へ出て、釣りをするのも船の上という釣りです。
ドキドキわくわくの出港(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)一般には手軽でファミリーにも人気が高いのは波止釣りでしょう。自分で好きなようにできるのもその理由の一つです。ただし、慣れた人がいないと、釣り場で迷ったり、本来なら釣れたはずの魚も、釣り方などを知らないがために釣れなかったということもあります。
「船で釣る」とは
船釣りとは、その名の通り船から竿を出す釣りの方法です。沖へ出て釣るので「沖釣り」とも呼ばれたり、エサを使わず、ルアー(エサに似せた疑似エサ)を使って釣る人の間では「オフショアフィッシング」とも呼ばれます。いずれにしても、船長がサカナの居場所に連れて行ってくれるので、釣る側としては、仕掛けをチョイと落とせば釣りがスタートします。
さて、船から釣りをする場合、おそらく初めての人が心配なのは乗り物酔いではないでしょうか。船酔いの対策としては、「よく寝る」、「酔い止め薬を服用する」などの他、慣れることで克服できることもありますが、どうしても無理な人もいるようです。
船釣りを楽しめるかどうかは、船酔いするかどうかで分かれるといっても過言ではありません。が、「自分はきっと酔うハズ」と思っている人でも、酔い止め薬を服用して乗ってみると、以外に酔うことがなかったなんて話をよく聞きます。
職漁船と遊漁船
サカナを釣る、採る船としては、漁業を生業とする職漁者が乗船するいわゆる職漁船と、一般の人が乗って釣りができる遊漁船があります。小規模な職漁専門の船は船長1人、または数人が乗り込んで、サカナを採ります。サカナを採る方法が竿での釣りあったとしても、職漁船は職漁船です。そのような船は、常に漁業者として乗り込む人にとって、サカナを効率よく採れるよう船の中も船内をカスタマイズしています。
一般の人が乗って釣りができる遊漁船には、不特定多数の人が楽しめるような設備が設置されています。たとえば、荷物だらけで船の縁に立つこともできなければ釣りはできませんから。いわば、食堂のテーブル、居酒屋のカウンター的なイメージと思ってください。決められた場所に座ってしまえば、釣りをする上ではあまりウロウロする必要もなく過ごせるという訳です。
乗合船と仕立船
遊漁船はさらに乗合船と仕立船に分けることができます。乗合船は市バスのようなもの、仕立船はタクシーやチャーターした観光バスのようなシステムと思っておけば間違いないでしょう。
乗合船は見ず知らずの人たちが、バラバラに申し込んで集まってきます。いわば、他人どうしの集合体です。どんな人が一緒に船に乗るかは分かりません。また、その日に何人が乗船するのかも聞いてみなければ分かりません。
いろいろな人が乗り合わせる乗合船(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)対して仕立船は、その日の船を1隻丸ごと貸し切るスタイルです。そのため、「貸し切り」や「チャーター船」などとも呼ばれます。グループや家族水入らずで楽しむことができるシステムで、もちろん、こちらで集めた人以外の釣り人は乗船しません。
船の釣りの料金
乗合船の乗船料金システムはシンプルです。たいていの場合は入場料のようなもので、「1人7000円」などと紹介されています。その日に何人が同じ船に乗っても1人が支払う料金はかわりません。
ただ、仕立船は船を貸し切るので、1隻分の料金を支払います。船によって料金はかわりますが、「4人まで32000円、1人増し5000円」と設定されていれば、1人で乗っても4人までの32000円を支払う必要があります。逆に4人で乗っても料金合計は32000円なので、割り勘にすると、1人8000円ずつということになります。5人乗れば追加の1人分となる5000円をプラスするので合計料金は37000円となります。これを割り勘にすると、1人7400円と少し割安になりますね。グループで人数が集まれば、仕立船の方が割安になる場合もあります。
船に乗っているスタッフ
乗合船、仕立船ともに釣り人に快適に釣ってもらうために釣りに詳しいスタッフが乗船しています。その代表は何といっても船長です。船を操作して、サカナのいる場所に連れて行ってくれるだけではなく、毎日のように釣りを見ながらアドバイスを行っているので、的確です。分からないことがあれば船長に聞くのが手っ取り早いですが、船長も忙しい時が多々あります。
タモ入れなどをサポートしてくれる船長(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)心強い船長と仲乗り
サカナの取り込みや操船などで手が離せないこともあります。そんな時に助けてくれるのが、アシストとして乗船しているスタッフです。「仲乗り」とも呼ばれるこのスタッフはとにかく船内に目を光らせていて、仕掛けが絡めば飛んできてほどいてくれたり、サカナが掛かったら横に来て釣り上げるのを手伝ってくれるなど、心強い存在です。
ただし、船の規模によっては仲乗りがいないことも多々あります。少人数の船なら、船長が全て面倒を見ることができるという判断です。1隻に30人近くも乗船する船だと、やはりトラブルも多く発生するので、仲乗りはかなりの確率で乗船しています。仲乗りは釣り人の手伝い、アシストをするために乗船しているので、分からないことや、釣れなかったりした時もアドバイスを請うようにしましょう。
前述のように船長はその船で毎日のように沖へ出ています。船に乗ったら、船長の指示は絶対です。これは釣りのアドバイスにとどまらず、安全対策や危機管理もプロなので、船長の指示を聞かなければ、早々に危険に晒されるといっても過言ではありません。
波がなくても、船長が「荒れてくるから時間は早いけれど帰港します」といえば、必ず、海は荒れてきます。実際に荒れてしまうと、船の航行が困難になることもあるので、その前に判断してくれるのです。
釣り船の設備
遊漁船は釣り人が竿を出して魚釣りをするのに特化した船です。そのため、誰が乗っても利用しやすいいろいろな設備が整っています。これは、船長によってもかわりますし、船の規模によっても大きくかわってきます。代表的な設備としては「トイレ」「椅子」「キャビン」「循環パイプ」「個人イケス」「屋根」「竿受け」「電動配線」などがあります
トイレ
トイレは船の規模にもよりますが、大きな船では男女別々のトイレが設置されていたりしますが、小さな船ではないこともありますので、特に女性が一緒に乗船する場合には、まず問い合わせる項目となります。
椅子
椅子は船の外に向いて座るようにできていて、釣りをしている最中や船で移動している最中に座れるように設置されています。何よりも船の移動中などは立ってウロウロすると危ないので、椅子にしっかりと座っておくことが常識です。
釣り座に椅子が付いていることも(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)キャビン
キャビンとは釣り人、お客さんが中に入ることができる船上の部屋のことです。長距離の移動時などは外に出ていると危ないし、しぶきを被ったりするので、船長から「キャビンに入っておいてください」とのアナウンスがあればすみやかに中に入ってください。こうすることで、船長が安全に航行へ集中できるのです。
また、小型の遊漁船ではキャビンがない場合もあります。船長のいる操舵室の後方にスペースがあったりして、波が被らないようになっている場所もあるので、そのスペースを利用して移動します。
キャビンにエアコンが付いている船もあり、夏場など暑すぎて熱中症などが気になる時はエアコンの効いたキャビンでくつろぐのも手です。
屋根
これは船の上部を覆うように付けられたテントで、雨や直射日光を防いでくれます。ただし、屋根付きの船はどこにでもあるという訳ではありません。エリアとして、屋根付きの船が多いエリアとそうでないエリアがあることも覚えておきましょう。
屋根となるテントが付いている船も(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)個人イケス
個人イケスはその名の通り、船の上で釣り人ごとに使えるイケス、つまり釣った魚を入れておく場所です。これはいろいろなスタイルがあります。足元にコンテナを置いてあったり、椅子の横に組み込まれていたりと様々ですが、用途は同じです。釣った魚をすぐにクーラーボックスに入れておかなくても、しばらくは泳がせておくこともできる便利な設備です。
個人イケス(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)循環パイプ
循環パイプは、あまり聞き慣れない単語だと思います。実は船の内側全体に海水を通しているパイプのことです。釣りによっては、便利で重要な設備なのです。役目としては、自分が座っているところに通っているパイプから海水が出ることで、足元のバケツなどに常に新鮮な海水が供給されます。
また、個人イケスにも海水を供給することによって、イケス内の酸欠状態を防いでくれるので、魚によっては港に帰ってくるまでイケスで泳がせておくこともできます。また、ちょっとした手洗水にもなります。
竿受け
船釣りは、竿を常に手に持って釣る方法と、魚が掛かるのを竿を置いて待つ釣りがあります。竿を置いて待つ時はもちろんですが、ポイント移動する時や竿から手を離して作業をする時には、竿が船から落ちないように固定できると便利です。
竿受けに掛けたまま釣りをする(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)そんな竿受けが始めから船縁に付けられている船も増えています。竿に取り付けるヘッドと呼ばれるアイテムを貸して貰えば、竿を固定できるようになります。また、竿を船縁にある穴に突っ込んで置いておくようなスタイルもあります。
電動配線
後述しますが、船釣りではリールを手で巻く「手巻き」の釣りと、電動モーターを搭載し、スイッチ一つで巻き上げが自動でできる「電動リール」を使う釣りがあります。電動リールを使用する場合、どこかにコンセントのかわりになる電源が必要です。これが電動配線です。
循環パイプ同様、船の周りなどに張られた配線から電源を取ったり、個々のバッテリーを用意してくれている船もあります。ただ、釣りの種類によっては、基本的に不要と考えて、電動配線が設置されていない船もあります。そんな時に電動リールを使用する場合はバッテリーを持参する必要があります。
船でできる釣りの種類
船からできる釣りの種類は多彩です。地方によって、季節によってもかわりますし、同じエリア、季節でも狙いたい魚の種類によって大きくかわります。また、エサを使って釣るのか、エサを使わないルアーを使って釣るのかでもかわってきます。
大きく分けるなら、エサ釣りとルアーの釣り、手巻きでの釣りと電動リールの釣り、手持ちと置き竿の釣りなど挙げるとキリがないほどです。そこで、まずは釣ってみたい魚の種類を思い浮かべてみましょう。
ライトな釣りの1シーン(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)その対象魚を釣具店のスタッフに伝えて、その上で初心者であることをいえば、同じターゲットでもビギナーが挑戦しやすい釣り方を教えてくれるはずです。釣り方、ターゲットが決まれば、その釣りをさせてくれる船を選べば良い訳です。
船釣りに必要な道具
船釣りに必要な道具といえば、竿、リール、道糸、そして仕掛け類です。それぞれに種類やタイプは多彩で、前述のようにまずは釣ってみたい魚を決めてから、揃える道具へとたどっていくのが手っ取り早しでしょう。ただし、電動リールなどは安価なものでも数万円はするので、予算との相談も必要です。
電動リールと仕掛け(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)船釣りには様々な道具があって、種類も多いと前述しました。そんな道具を思い切って購入する場合には、釣具店スタッフの力を借りましょう。ただ、最初から道具を揃えてまではという人が多いと思います。そんな時に助かるのが船にある貸し道具(レンタルタックル)です。
レンタルタックルの有効利用
レンタルタックルは船によって様々です。無料で貸してくれる船や、少額ですが料金を支払う船、保証金として最初に支払い、海に落としたり破損しなければ保証金が返金されるシステムなどいろいろなタイプがあります。この項目も事前確認したい部分ですね。
その際には、レンタルタックルに付いているものの確認は絶対です。たとえば、「レンタルタックルあります」と謳われていても、その先の仕掛けまでがセットになっているかどうかは不明です。なので、事前に確認して、別に持っていかなくてはならないものや、船で購入できるものなどをしっかりと聞いておく必要があります。基本的には竿とリールがセットされた部分のみというレンタルが多いようです。
船釣りの服装など
船釣りの服装で気を付けたいのは、とにかく晴れている時でも船による水しぶきを被ったり、エサを扱う時や魚を釣り上げた時など、かなり海水や汚れが付きます。そのため、薄手のレインウエアを着るなど、濡れても良い格好で楽しみましょう。
もう一つ、重要なのが足回りです。船の中はエサや魚の汚れなどで良く滑ります。また、循環パイプから常に海水が足元を洗っている場合もあります。滑り止めと防水を兼ねた履き物が理想です。各メーカーから船釣り用のデッキブーツなどが発売されているので、利用すると良いでしょう。
注意点としては、釣り用のシューズやブーツにはいろいろな種類があって、見た目は同じでもソール部分が大きく違います。岩場での釣りを前提とした金属製のピンが付いたピンソールなどは、船のデッキを傷付けるので厳禁です。ラジアルソールかデッキシューズタイプのソールが良いでしょう。
最後にこれが実はもっとも重要なのですが、ライフジャケットの着用は絶対と覚えておきましょう。特に近年、法律で桜マークの付いているライフジャケットでないと罪に問われることになっていて、きっちりとした型式承認のライフジャケットを着用しましょう。
船釣りのマナー
船釣りは1人でやることもあれば、親しい仲間どうしで船に乗ることもあるし、知らない他人どうしが同じ船に乗り合わせるスタイルもあります。狭い船の中で好き勝手に行動をすると、収拾の付かないトラブルに発展したり、危険度も増します。楽しい釣りで一日を終えるために思いやりを持ってマナーを守ることが重要です。
遅刻しない
船釣りは1日1便の予約制の乗り物です。集合時間に遅れると、周りの人に多大な迷惑をかけます。交通事情なども考慮して、余裕を持って自宅を出発しましょう。
勝手な行動は慎む
周りがやっていないのに「これくらいなら許されるだろう」といった勝手な行動は慎みましょう。特に慣れていない人には、常識が常識ではない認識となることもあるので、何か行動をしたいときにはまずは船長や仲乗りに相談しましょう。
周囲の人と仲良くしよう
乗合船の場合、すぐ隣に知らない釣り人が竿を出します。朝にはお互いに挨拶を交わして、できれば仲良くなることで自分の利益になることが多々あります。たとえば、お隣さんがよく魚を釣っていれば、釣り方などを教えて貰うのも釣れるコツです。
絡んだら声を掛ける
仕掛けを垂らす場合、波止などとは違ってかなり深いことも多いのが船釣りです。そのため、仕掛けが絡んでしまうことも多々あります。そんな時にはケンカ腰にならずにお互い、「すいません」ということで気分良く釣りをしましょう。
竿を横に振らない
船釣りでは竿の扱いでやってはいけないことがあります。それは魚を自分の横に上げたり、竿を横に振らないことです。特に混雑していてお隣さんとの距離が狭い時には、竿を横に振ることでオモリやハリなどの危険なパーツが隣の人に当たることもあります。仕掛けの上げ下げ、竿の動かす方向は自分の正面で行うことを身につけましょう。
魚を抜き上げるのも正面で(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)船長のアナウンスをよく聞く
船長からのアナウンスには非常に重要な項目が含まれています。たとえば、釣りをスタートする際に仕掛け投入OKの合図があったり、移動時には仕掛け回収の合図もあります。仕掛け回収の合図を聞き漏らし、みんなが仕掛けを上げているのに、糸を垂らしたままで、移動ができずに時間をロスしてしまうといったシーンもよく見受けられます。
また「水深○m、×m辺りを釣ってみてください」といった釣りの情報なども発せられるので、よく聞くことに越したことはありません。
初心者にも釣れる秘訣紹介
初めて竿を持った人が船に乗り、その日一番の釣果を上げる「竿頭(さおがしら)」に輝くこともあるのが船釣りです。もちろん、修練を積んだベテランが良く釣るのは当たり前なのですが、船釣りの場合は、案外「ビギナーズラック」が多いように思います。
良く釣る初心者の共通点はズバリ「船長や仲乗りのアドバイスを最後までしっかり守っている人」です。慣れてくると、自分の工夫であれやこれやと釣りを変化させますが、外れることも多いのです。特に工夫が必要な場面は魚の食いが悪い状況が多いはずです。そんな時に、確実に釣れるのがその釣りに精通した船長や仲乗りのアドバイス通りの釣りなのです。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>









