「下水処理水」で「清流の女王」アユを養殖 『BISTRO下水道』とは
2020年10月03日 17:00
抜粋
「下水処理水」と聞くとなんだか汚いもののようなイメージがありますが、なんとその水で「清流の女王」とも呼ばれるアユを養殖する試験が行われています。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)


下水処理場でアユの養殖?
下水をきれいにして再び川に戻す役割を果たしている浄化センター。その処理水は厳しい環境基準をクリアしてはいるものの、やはり我々のトイレの排水や雨水などが元になっていると考えると、「きれいな水」というイメージはどうしても持ちにくいです。
しかし今、山形県鶴岡市の浄化センターにて、なんとその処理水を用いてアユの養殖を行う試験が行われています。これは昨年始まった取り組みで、紫外線で消毒を施した下水処理水を用いて、アユを養殖しています。
大きく太ったアユ(提供:PhotoAC)試験の成果は上々で、本年度も約2千匹のアユが育てられました。さらには香りや味の評判も上々といい、鶴岡市では下水処理水で育てたアユのブランド化を目指しているそうです。(『下水処理水でアユ育てる、山形 養分豊富で味も上々』東京新聞 2020.9.26)
下水処理水で養殖するワケ
「清流の女王」という二つ名を持ち、きれいな川に住む魚というイメージが強いアユ。なぜ、下水処理水で養殖を行うのでしょうか。
天然モノと養殖モノの違い
アユは塩焼き等で高い需要があり、天然物だけではそれを賄うのが難しいため、養殖が盛んに行われています。アユは雑食性のため養殖自体はそこまで難しいものではありませんが、どうしても天然物の味を再現するのは難しく、天然物と養殖物で評価に大きな差が出てしまう魚でもあります。
塩焼きにすると違いは歴然(提供:PhotoAC)味が違ってしまう理由は餌が違うから。天然物のアユは川の石につく藻を食べて育つのですが、これによってスイカのような香りをもっており、尊ばれます。一方で養殖物は魚のミンチなど動物性の餌を用いて育てるため、脂が乗り食味は悪くないのですがどうしても香りの面では劣ってしまうのです。
藻が育ちやすい環境
下水処理水は水温が約30度と高く、さらに窒素やリンを多く含みます。そのため、アユの餌となる藻が育ちやすい環境となっています。これにより、天然物と変わらない風味をもった養殖アユを育てることができるのだそうです。
BISTRO下水道とは
今回のこの試みは「BISTRO下水道」という活動の一環で行われています。かなりインパクトのある名前の活動ですが、国土交通省が主体となって行なわれており、下水処理水や処理に伴って発生した汚泥を農水産業に活用する、またそれを推進していくというものだそうです。
下水処理場(提供:PhotoAC)処理水や汚泥といった「下水道資源」には植物の成長に欠かせない栄養が豊富に含まれています。そのため例えば処理水を水田耕作に利用したり、汚泥を加工して肥料にするなど活用が行われています。(『BISTRO下水道』公共社団法人日本下水道協会HP)
鶴岡市でも以前から処理水を用いた飼料用コメの栽培が行われており、ほかの活用法もないかと検討した結果、アユの養殖に白羽の矢が立ったそうです。処理水を水産物に活用するのは全国でも珍しい例だといいますが、この「処理水アユ」が無事ブランドとなった暁には、下水道資源が全国で水産物の養殖に用いられるようになるかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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