兵庫の養殖カキで「季節外れ」の貝毒が報告 通常は春〜夏に発生のナゾ

2020年12月12日 11:00

[TSURINEWS]

抜粋

冬の料理に欠かせないカキ。その主要産地のひとつ・兵庫県で危険な貝毒の発生が報告されました。通常は春~初夏にかけて発生するはずなのですが…。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

兵庫の養殖カキで「季節外れ」の貝毒が報告 通常は春〜夏に発生のナゾ

兵庫の養殖マガキから貝毒検出

気温が下がるほどに需要が高まると言われるカキの一種・マガキ。養殖品の出荷が最盛期を迎えるこの時期ですが、通常は発生しないはずの貝毒が発生し、関係者を悩ませています。

兵庫県水産技術センターは2日、播磨灘西部沿岸で採取した養殖マガキから、規制値の1.25~5倍の麻痺性貝毒を検出したと発表しました。すぐに養殖業者に出荷の自粛を要請し、あわせて採取日の11月30日以降に出荷したカキの回収を指導、購入者には食べないよう呼び掛けています。(『養殖マガキから規制値超の貝毒 播磨灘西部 県、出荷の自粛要請』神戸新聞NEXT 2020.12.2)

兵庫の養殖カキで「季節外れ」の貝毒が報告 通常は春〜夏に発生のナゾカキの需要が増える時期だが…(提供:PhotoAC)

この地域では6つの漁協に所属する73の業者がマガキを養殖しており、例年10月~翌年4月ごろにかけて出荷しています。水揚げと出荷が最盛となる12月に貝毒が規制値を超えて検出されたのは過去になく、小さからぬダメージが予想されています。

「麻痺性貝毒」の恐怖

貝毒とは植物プランクトンの一種が作り出す海洋生物毒(マリントキシン)のひとつで、原因プランクトンが出荷規制値を超えて検出された際に「貝毒が発生した」と規定されます。貝毒はそのプランクトンを摂取した二枚貝の体内に蓄積され、それをヒトが摂取することで中毒症状を引き起こします。熱しても冷凍しても、その毒性は弱まりません。

兵庫の養殖カキで「季節外れ」の貝毒が報告 通常は春〜夏に発生のナゾ焼いても毒性は失われない(提供:PhotoAC)

今回発生したのは貝毒のなかでも「麻痺性貝毒」と呼ばれるもので、出荷規制値を超えた貝を食べると、神経が麻痺するなどの症状が出て、重症時は死ぬこともある非常に怖いものです。

麻痺性貝毒そのものは当海域でも発生することはしばしばあるものの、通常は養殖終盤の3~5月に発生する事が多く、しかも今回検出されたものとは別の種類のプランクトンであることが多いそうです。

なぜ12月に貝毒が?

今回検出された貝毒原因プランクトンは「Alexandrium catenella(アレキサンドリウム・カテネラ)」という種類です。この種は麻痺性貝毒プランクトンとしては一般的なものとなっています。

しかし、このアレキサンドリウム・カテネラの発生に適した水温は20℃~23℃とされており、通常は4~8月に発生することが多いそうです。(『兵庫県水産技術センターだより』 2020.12.1)瀬戸内海の水温が下がる12月に発生することは、これまでほとんどなかったのではないかと考えられます。

兵庫の養殖カキで「季節外れ」の貝毒が報告 通常は春〜夏に発生のナゾあらゆる二枚貝が毒性を帯びる(提供:PhotoAC)

現在、世界的に「海洋温暖化」が起こっていることが知られていますが、それにともない、本来は熱帯地域の海に棲息する有毒プランクトンの棲息域が北上しているという報告があります。

瀬戸内海の水温も年々上昇しており、漁獲される魚種の変化が起こるなどの現象が報告されています。もしかすると、今回12月に貝毒が発生してしまったことも、温暖化が関係している可能性もあるのかもしれません。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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