河口の春告魚「シロウオ」漁が解禁 「シラウオ」とは実は全くの別種
2021年01月29日 17:00
抜粋
愛媛の川で、早春の風物詩「シロウオ漁」がスタートしました。あまり聞き慣れない名前と思う人も多いと思いますが、全国各地で伝統的に漁獲されているローカルな人気魚です。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
愛媛の川で「シロウオ漁」が解禁
愛媛県宇和島市津島町の岩松川で、早春の風物詩として知られるシロウオ漁が今年も始まりました。シロウオは体長4cmほどのハゼ科の魚で、全身がきれいに透き通っているのが特徴です。
岩松川でのシロウオ漁は、小舟と岸の間に網を張って行います。潮の満ち引きで川の流れが逆流するタイミングを見極めて、網を入れるのが匠の技なのだそう。
毎年この時期に開催される「津島しらうおまつり」が、今年は新型コロナウイルスの影響で中止になったため、シロウオ漁は例年より少し遅くスタートしたそうです。地元の料理店でシロウオ料理を楽しめるほか、河原で直売も行っているそうです。(『「春告げる魚」宇和島でシロウオ漁始まる【愛媛】』愛媛朝日テレビ 2021.1.18)
シロウオは川の春告魚
シロウオはハゼ科の魚には珍しく、海と川を行き来する性質があります。普段は浅い海の沿岸に生息する海産魚なのですが、産卵期の早春に成魚が川を遡上します。
彼らは冬の終わりから早春にかけ、満潮に乗って汽水域の最上流、時には純淡水域まで遡上し、産卵を行います。全国的にその頃が漁期となっており、河口部に石や竹などで作った「やな」をかけてカゴに追い込んだり、定置網をかけて漁獲します。
上記の岩松川のほか、福岡の都心を流れる室見川、佐賀県北部を流れる松浦川での漁が全国的に有名になっています。室見川では漁期の間、漁場のすぐ横にプレハブの直売所が建てられ、購入する客で賑わいます。
「シロウオ」と「シラウオ」は全然違う
シロウオは活けでないと味が落ちるといわれており、漁獲されたあとは酸素を充填したパックで生きたまま流通します。そのため地域的な水産物となっており、都市部ではあまり食用にされていません。
とくに関東周辺ではマイナーな存在である一方、天ぷらだねとして名高い「シラウオ」の知名度が高いため、しばしば混同されています。しかし和名こそ似ていますが、シロウオは漢字で書くと「素魚」でハゼの一種、シラウオは「白魚」でシシャモに近い種類となっており、互いに非常に遠い存在なのです。
ただ調理法は似通っており、いずれも天ぷらのタネ、生食、卵とじで食されています。シロウオは「踊り食い」も人気が高く、「のどごしを楽しむ」唯一の魚であるとも言われています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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