『アジング』ステップアップ解説:「高比重PEライン」の長所と短所
2021年02月26日 17:00
抜粋
アジング界では数年前から登場した「高比重PEライン」。通常のPEは浮力が大きくアジングに不適といわれたが、高比重PEはその課題を克服したものである。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター 井上海生)
アジングでの高比重PE
通常、PEラインの比重は、水に対して0.98程度となる。つまり、水に沈みにくい。この特徴はライトラインにライトリグを使ったアジング、メバリングをやっていると、本当に体感できる。PEライン0.3号に、0.4gのリグを使うとほとんど沈まない(とはいえ多少沈みはするので、これでパーフェクトに表層レンジキープできると思っていると失敗する)。
高比重PEラインは、その短所を克服したライトラインである。比重は1.14~1.4程度までとなる。これで軽量リグが沈む。主にはライトゲームに用いられる号数での展開がある(エギングなどでも需要があるようだ)。0.2号~0.4号程度。
エステルラインとの比較で言うと、比重はほとんど同じ。そして何より高比重PEラインで特筆すべき点は、張力限界が強いという点だ。筆者が今回試験的に巻いた高比重PEは、0.3号で4.6lbという強度がある。およそ2kg程度の負荷に耐える。
高比重PEラインの長所と短所
エステルラインと比較して、さらに長所・短所について述べよう。
長所
・軽量リグが沈みやすい
・バックラッシュしにくい→これが強い!
・リーダーとの結束強度が強く保てる
・大型魚の襲来に耐える(獲れる可能性が上がる)
短所
・少し見た目の線径が太い(実測したわけではなく、あくまで目測)
・飛距離があまり出ない
・ノットが難しい(製品によってはひとつのノットしか使えないことがある)
・やや高価(0.3号の最新製品150mで3500円程度)
・まだそこまでいい製品が出ていない印象
ほぼ長短イーブンだろうか。しかし私としては、使っていて率直なところ「めちゃくちゃいいな」と感じたものがまだない。歴然とした何かがない。そこで「まだそこまでいい製品が出ていない印象」という私見を短所の最後に述べた。今後のフロンティアに期待だ。
実釣ではエステルに遜色しない
何よりも釣ってどうか、である。高比重PEラインを巻いて、アジング実釣してきた。
結果から述べると、エステルに遜色しない釣れ方をした。ほとんど同じ条件の海(新月大潮常夜灯下、水温12℃)、まあアジングに向いた環境ではないが、逆にいえば冬の低水温期のシビアコンディションでも、これくらいの釣果は出せたので、悪くはないと思う。
実はデイの視認が効く状況で、イトの海への入り方も見てきた。さすがに高比重といわれるだけあり、実にイトがきれいに入っていく。
しかし、なぜ高比重のPEラインというものができたのか、その理屈はあまりよくわからない。
いろいろと情報を集めたが、「こういう理由で高比重なんです」という、根拠確かな、私が納得できるだけの説明はなかった。おそらくそこがミソなのだろう。今後のメーカー同士の競争の思惑があり、あまりつまびらかに明かせないのかもしれない。
PEラインの「浮力」も強み
ライトゲームにおいて、高比重PEラインが今後のイトの主候補となっていく流れは、見えてきた気がする。シンキングPEライン、という通称も出てきた。スタンダードになるには時間がかかりそうだ。あるいは、「好みの人だけが使う」「状況に要されて使う」モノに留まるかもしれない。
私はアジングではエステル0.2号という号数しかほとんど使わない。これでも大体の魚は獲れるが、たまに抜き上げに緊張する個体(特にメバル)がいるのも確かで、強度の高い高比重PEがもっと洗練された仕上がりになれば、おそらくどこかの段階ですべてのスプールにスパッと入れ替えると思う。
だが、普通のPEを使うべきシチュエーションがあるのも確かだ。たとえば、沖の表層攻略である。キャロを使う場合は、やはりどうしても製品の仕上がりが完了している現行のPEラインを使いたい。ジグ単で表層に長くリグを定位させたいときも、タングステンのジグヘッドで飛距離を稼いで、PEラインの浮力を使う、という高等テクがある。またメバリングでも、少しでもレンジが入るとメバルが食わない日は、やはりPEラインの浮力を使いたい。
何もかもが一番うまくいきそうなのは比重1.0で、実際この数値のPEラインもあるのだが、まだ使用したことがない。今後使う機会があれば、またその印象をお伝えしたいと思う。
<井上海生/TSURINEWS・WEBライター>
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