100均アイテムの『リリアン』で自作するフライフィッシング「ライン」
2021年04月25日 11:30
抜粋
フライフィッシングのラインはどれも高額なのがネック。そんな悩みを解決する「庶民派アイディア」として、今回は100均アイテムでのフライライン自作を紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター片桐真流)
フライラインの種類
一般的なフライラインは、コアと呼ばれる芯と、それをコーティングするPVC(ポリ塩化ビニル)などの樹脂で出来ており、コーティングの厚みを変えることによって太さを変え、組み合わせることで形成されている。
通常のフライラインは、フィールドや対象魚などの用途により使い分けが可能であるが、芯となる素材には主に3種類が挙げられる。
ブレイデッドコア
最も一般的に使われる素材で、ヒモ状の芯の内部に空気を含み浮力が得やすく、フローティング(浮く)ラインに使用される。伸縮が少なくて柔軟性があるので、寒冷なフィールドでもしなやかさを維持する特徴がある。
モノコア
透明ナイロンの芯でシンキングラインに使用される。程良いの伸縮性と強度がありラインを細く仕上げられ、直進性が良いのでキャスティングしやすい特徴がある。
ブレイデッド・モノコア
ナイロン編みのヒモ状の芯でハリやコシがあるので、フライラインの直進性が高くてターンオーバー性能が強い特徴がある。
シルクライン
1960年代以前のバンブー・ロッド(竹のロッド)時代から職人が伝統的な製法と最新の技術で製作するシルク(絹)を使用したラインで、空気抵抗が少なく浮力と飛距離があり、しなやかなターンオーバーと振り心地を楽しめるビンテージライクなフライラインである。
高額であるが愛用者も多く、ラインにオイルを染み込ませる「グリスアップ」のメンテナンスが必要であるが、この面倒な作業を楽しむことによりフライラインを「育てる悦び」を得られるラインである。
フライラインの規格
フライラインの規格にはAFFTA(American Fly Fishing Trade Association)というアメリカの団体が定めた重さの規格があり、グレインという重さの単位で表される(1グレイン=0.0648g)。
フライラインは、エネルギーをスムーズに先端のフライに伝達するためにテーパー(徐々に先が細くなる)が付けられ、テーパーを変化させること(ウェイトフォワードやダブルテーパーなど様々)でフライライン特性が出てくる。
また、技術進歩によって、従来のツルツル表面のフライラインだけではなく、様々なコーティング加工により、摩擦抵抗を軽減した表面加工ラインも存在する。
100均素材の「リリアン」で自作
今回は表記したフライライン各種に近い振り心地を楽しめるようなラインを100均素材の「リリアン」で自作してみる。
既にリリアンライン製作を実践されている諸先輩もいらっしゃるので、文献を色々と参考にさせて頂いたが、当方もヤマメ、ニジマスなどの渓流魚から、オイカワ、カワムツなどの小物遊びに対応出来るライン製作に挑戦をしてみようと思う。
必要な道具
まずは必要な道具を紹介しよう。
100均で売られている「リリアン」、画材用の乾性油「ペインティングオイル クイックドライ」を用意。材料費700円程度でフライライン製作のマテリアルは揃うだろう。
リリアンの作り方
まずは100均リリアンをある程度引っ張って、アイロンを当てて適度に伸ばして多少のテーパーを付けておく。
適当なカップに100均リリアンを入れて、ペインティングオイルに全体を浸してハーダニング(乾性油でコーティング)する。
ハーダニングから1日程度の乾燥でリリアンがパリッとしてくるが、表面がフライラインのように滑らかになるまで何度かハーダニングと乾燥を繰り返していく。4〜5回程度のハーダニングでライン#3程度のフライラインに近くなる。
回数を増やせば、リリアンの網目に十分オイルが浸み込んでコーティングされ、ライン#4〜#5程度の仕上がりになるだろう。
100均リリアンは10m単位になるので、仕上がったらライン同士に芯となるナイロンラインをリリアンの網目から通して連結。
結合部分をエポキシでコーティングして継ぎ目を滑らかにしておく。仕上げにミューシリンなどのラインクリーナーでライン全体を軽くメンテナンスをして完成。
実釣で検証してみたが、飛距離はさほどでもないが、既製品に劣らず程良い重量感でフライラインとしての役割を見事果たしてくれた。ハーダニング回数を色々試しながらラインの太さを調整したり、番手ごとにオリジナル製作をしてみても面白いと思う。
100均リリアンなので、ラインのカラーバリエーションも豊富で、なによりコスパが良いのが最大のメリットである。
また、リリアン以外の素材で、超高分子量ポリエチレン繊維の「ダイニーマ」でもハーダニング製作してみた。
耐摩耗性や耐衝撃性の高い素材で、ロープや釣り糸に使用されているが、比重が. 0.97 と 1 以下で水に浮くという軽さが特徴でフローティングラインとして使えないかと思い、試してみたが、小渓流では十分活用出来て、釣果もそれなりにあった。
コストをかけずに身近な材料で、簡単にお手製のフライフィッシングラインが出来るので、渓流や小物釣り用にお試し頂きたい。
<片桐真流/TSURINEWSライター>
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