今さら聞けないエステルラインのキホン:大敵「バックラッシュ」予防法
2021年04月26日 11:30
抜粋
ライトゲームではいろいろメリットのあるエステルラインだが、バックラッシュしやすいという短所もある。今回はエステルラインのバックラッシュ低減について考えてみよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
バックラッシュの理由
エステルラインはなぜバックラッシュするのか。まずはその理由を考えたい。
素材の性質
バックラッシュは、スピニングリールではほとんど起こらない現象ではあるが、エステルラインは別だ。エステルラインは「ポリエステル」製で、いわばスーパーのレジ袋などと素材的には近いところにある。その大きな特徴を言うなら、「素材同士がひっつきやすい」。スーパーの袋をめくるときのことを考えてみよう。あれはくっついてなかなか厄介なものだ。
風の抵抗
そこへ、風の抵抗というものが加わる。スプールから放出されるときに、素材が微妙にひっつき合いながらバットガイドをくぐっていく。この一瞬の過程で、体感的には微弱な風が吹いているくらいでも、イトがばたつく。バックラッシュが起きやすいのは、何よりこの、キャスト時の風の抵抗、イトのばたつきによるものだと筆者は考えている。
テンションの緩み
アジングや管理釣り場では、1gアンダーのリグを頻用する。この巻き取り時にも、バックラッシュに繋がる「テンションの緩み」が生じる。これが0.8、0.6gくらいまでならそれなりにテンションをかけて巻き取ることができるのだが、0.4g程度からは、どうしてもある程度以上緩んでしまう。つまり、ふわ~っとした状態でスプールに収まってしまうのだ。
そういう状態でキャストすると、やはりスプールからバットガイドまでの間でイトがばたつき、バックラッシュを招いてしまう。これはよく注意してメンディングするしかない。
道具側の対策
以上、エステルラインがバックラッシュしやすい理由について述べた。これを踏まえて、道具側でできる対策が、2つある。
ラインを細くする
ラインが細くなればなるほど、風の抵抗を少なくできる。一般的に推奨されるエステルラインの号数といえば0.3号程度だろうが、ためしにこれを0.25号にしてみよう。筆者の経験上、これだけでかなりバックラッシュは低減できる。そして、ラインのメーカーにもよるだろうが、エステルの0.25号と0.3号の強度の差は、ほとんどない。
慣れてしまえば、エステルラインの最細号数である、0.2号にまで振り切ってしまうのもいいだろう。0.2号となるとアジングや小さなメバル以外には使えないラインになってしまうが、確実にバックラッシュは減る。また、風の抵抗を受けにくいので、如実によく飛ぶ。
ラインローラーを使う
エステルラインの巻き取りに関しては、ラインローラーの仕事量が結構大きい。ラインローラーの回転性能が悪いと、イトがうまくスプールに収まらない。このパーツに関しては、特にあまり回転しない部品である「シム」が入っている場合は、回転性能の良い金属製の「ベアリング」に入れ替えてしまおう。
また、キャスト時には、ラインローラーがロッドの手元に向く位置でベールを起こして投げる。そうすると、巻き出し時にベールを戻
した際、自然とラインローラーにイトが載り、スムーズに巻き取り開始できる。
釣り人側の対策
では、次に、エステルラインのバックラッシュ低減のために、実釣中、釣り人ができることは何か。これは、あらゆる意味での、「ラインメンディング」に尽きる。
「ラインメンディング」とは、もともと渓流釣りの用語で、川の流れの影響を受けて横へ横へと流されていくラインと、自分(釣り人)の立ち位置を、一直線にする、という意味だったらしい。
それが最近ソルトやバス界でも聞かれるようになって、若干、ニュアンスが変わってきている。今のラインメンディングという言葉の意味は、「常にラインがどのような状態にあるか意識する」というところだろうか。釣り人とラインの立ち位置、角度の関係、そしてテンションの状態、それに伴い、リグが今海中でどのような状態にあるか。これを意識し、適切なロッドワーク、リーリングを行う。
特に巻き出し時、またベールを倒して起こす(フリーフォール)操作のあとには、メンディングに注意したい。具体的には、巻き出しのときに、必ずスプールからバットガイドまで出ているイトを少し引っ張ってテンションをかけてやる。これでかなりイトの収まりがよくなる。フリーフォールの後も同様だ。イトを軽く引っ張り、ラインローラーに載せる。
このような心掛けで、またバックラッシュが低減できるはずだ。
切ったイトは持ち帰ろう
最後に。どれだけ注意しても、バックラッシュは起きるときは起こる。これは仕方ない。どういうわけか、一釣行中に、連発する日もある。これはもう、潔く切ってしまうことだ。
そして、悔しくもバックラッシュで切ってしまったイトは、必ず釣り場に捨てずに持ち帰って処分しよう。釣り人のマナーとして、イトも何もかも、そのへんに捨てたりするのは一切なしだ。
<井上海生/TSURINEWSライター>
The post 今さら聞けないエステルラインのキホン:大敵「バックラッシュ」予防法 first appeared on TSURINEWS.