厳しいからこそ価値ある1尾 寒チヌ狙いのフカセ釣りで夢と浪漫を追う
2020年02月16日 11:00
抜粋
年間を通して海水温が最も低いこの時期はチヌの動きが鈍る。警戒心が強く、「寒チヌ」とも呼ばれ、最も難しい釣りとされる。だからこそ繊細なチヌを追い求め、「1尾」に挑む釣り師がどれだけいるか、昔を問わず根強い人気をはせている。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版 APC・南健一)


厳しいからこそ価値ある1尾
2月の冬磯・波止釣り、まずは寒さ対策を万全にして厳寒の磯に立ち向かい、厳しい条件の中で勝ちえた1尾の感動は大きい。冬にとる行動、エサなどチヌの習性を知ることが、最も大切であろう。
透明感の増す海中からキラリ浮上するチヌの舞いに釣り人は魅了される。そんなワンシーンに出会えるためにどんな作戦を組み立てればよいか修学して出かけよう。
難しい寒チヌ狙い(提供:週刊つりニュース西部版 APC・南健一)フカセ寒チヌポイント
秋から冬へ落ちていく時期、食欲旺盛で活発にエサを追う時もあったが、押し寄せる寒波によってもたらされる海水温度の低下は行動範囲を狭める。
この時期、変化しにくい岩礁地帯のくぼみや沖の深場の越冬場所へ移動する。食欲も減退気味になり、そんなチヌにどうつけエサを食わせるか、まきエサで興奮させるしかあるまい。
意外性のあるチヌ、身近な存在で人間の生活環境に近い地域に生息する。川から流れ込み海水と交わる汽水域にも多く、港との湾内、地磯の出先など生息する範囲が広いので、手軽に狙える対象魚として釣り人に人気がある。年間を通して潮流れの良い所は仕掛けを送り、広範囲に探れる。
名の知れた名礁もいいが、地磯、波止など歩き回り、自分だけの秘めたポイントを探って好釣果を上げればテンションも上がり、健康志向の「歩き回る」釣りもまた良いだろう。
広域略図(作図:週刊つりニュース西部版 APC・南健一)波止狙い
波止からの狙いは、釣座の先からある程度水深があった方がいい。大分県南・入津(にゅうづ)湾、米水津(よのうづ)湾など、海岸線に沿って複雑に入り組んだ入り江が奥深く、その波穏やかさは地形を生かした養殖産業が盛んだ。
湾内狙い
湾内には無数のイケスが設置されて、チヌ師にとって、このイケス周りが絶好のポイントとなる。特に漁師がエサをやるときは網からこぼれたエサを拾い食いする魚がいて、チヌもまたしかりである。時にはとてつもない大きなマダイがアタるときもある。
地磯狙い
地磯からも仕掛けの届く範囲内にイケス棚があるので狙いめとして参考にしていただきたい。
大分県南・西浦湾の出先にある沖テトラは寒チヌのすみかとなっているので、少し太めの仕掛けで、イトは出さず、強引なやり取りをする。なぜかといえば、すぐテトラの中に入り込むのだ。私のここでの記録は54.5cm。まだまだデカいのがいるし、私は確信している。45cmのイシダイもクロの型の良いものも釣れる。
足場は潮が引けばノリがついているので注意すること。
オススメの釣り場
大場所としては長崎・対馬の浅茅(あそう)湾、五島・福江島の玉之浦湾、鹿児島・上甑(かみこしき)島の浦内湾など大チヌが潜むといわれている。
対馬の浅茅湾に限っていえば、ポイントは広くて無数にあり10回や20回行ったところで、どこで釣っていいのやらという印象だ。全般的に水深があり、基本的には上礁して水深を測り、海底から少し切ったタナ決めをして、まきエサ、つけエサをなじませながら狙う。
浅茅湾には足場の良い岸壁がある(提供:週刊つりニュース西部版 APC・南健一)壱岐・郷ノ浦沖に点在する原島、机島、平島、長島など好ポイントが連なる。特に沖磯の独立瀬、金白、長島の黒瀬1番、1.5番、2番。金白は小さな礁で瀬全体がポイントといっても過言ではない。特に南向きが潮通しも良く、遠くでアタる。
長島・黒瀬周りの2番は北に向いた突端が良く、下げ潮の右流れが時合いとなる。タナはサオ1本半前後を干満によって微妙に変える。瀬が低く、北に向いた分、北西の風には波が瀬を洗い、冬の波、風には弱いが、上礁できれば釣果は手堅い。
寒チヌ狙いフカセ釣りタックル
この季節のチヌの引きは脂肪分をそぎ落としてスリムなので、身軽で動きやすく、引きのインパクトは強い。サオも自重が軽く、しなやかなものを使用したい。タメがきき、反発力のあるサオで、伸ばせば柳のようだが、ピーンと張った腰があり、リールシートの握り良さが必要だ。
タックル例(作図:週刊つりニュース西部版 APC・南健一)魚を掛ければ相手が走る前にグっと腰を落として足で踏ん張る。チヌに先手を与えず、頭をこちらに向けて走りを阻止する。
40cmから45cmのサイズだと最初の走りはやけに暴れるが、どっしりと構えて対処すると2、3回の走りでだんだんとサオの反発力でジワリと浮いてくる。その一連の流れで感じる強さで魚の大きさが分かる。50cmを超えてくるとその差は歴然で、重さが加わる。
最初のアタリから次に移行する時、「軽いな」というイメージだが、不審に思っていると、ズシっ、ズシっと頭のひと振りも重みがある感触が手元に伝わる。次に突っ込んでくる走りは想像を絶する。しっかり構えてグっと踏ん張る。
沖で掛ければいったん海面近くまで浮いてきて目で確認できる。魚は沖へ走れないと分かると右へ左へと力の限りを振り絞ってハリを外そうと必死だが、こちらも必死。
そのやり取りが釣り人にはたまらない。このサイズ相手では慎重にならざるを得ないが、サオを信頼してリールのドラグを締めて1mmもイトを出さず、サオの反発力で浮かせて走りに耐える。
ミチイトは新しいものを
そんなチヌを相手にするためにもミチイトは5回の釣行に1回の割合で巻き替えること。海水に浸ったラインは劣化が早く、早めに巻き替えることが次の釣行での好釣果につながる。帰ったらスプールを外して塩抜きの水洗い。イトを先端から手で触りながら、ささくれていたら10mくらいは切って捨てよう。
また、スプールに先に巻かれた個所のミチイトは劣化の程度が低いので、100mくらい残っていれば他のスプールに反対に巻き替えれば節約になるだろう。なお、イトには専用にフッ素コーティング材をスプレーしておく。
ハリスとハリも要チェック
ハリスは新しいものを使い、仕掛けを上げるたびに指先でチェックしたい。ハリも常にハリ先が尖っていることを指爪に当ててチェックする。ハリ先があまくなっていると爪上を滑るので、その時はすぐに交換を。
寒チヌ釣りでは1回のアタリを大切にしたい。アタリから取り込みまで、サオ、ミチイト、ウキ、ハリス、ハリのバランス条件が完璧である必要がある。
エサ
まきエサはオキアミ、チヌ専用集魚材2袋、ムギなどで、比重の重い沈みの早いまきエサを重点に置く。ムギをたっぷり入れて手でよく練り上げる。40Lバッカン満タンが一日分のまきエサ量となる。
つけエサはオキアミ生とボイル。まきエサはチヌにインパクトを与える臭いで興奮させて、広範囲に散らばっているチヌを集合させる効果がある。まいたまきエサの中につけエサがある…そんな仕掛けの流し方が基本だ。
貴重な寒チヌの1尾をウキフカセで狙う!の巻(作図:週刊つりニュース西部版 編集部)年無し超えの60cmの夢を追う
私は単独釣行が多く、週2、3回ペースで釣行を重ねている。
今の釣り師にチヌ釣りのことを聞いてみた。「ぶっちゃけ、そんなに遠くに行かなくても(お金をかけなくても)近場でどこでも釣れるんですよ~」という言葉が返ってきた。ロマンのないことだ…対馬・浅茅湾に行けば60cm超えも出る夢がある。
大きな入り江のリアス式海岸は水深があり、湾奥に入り込めば静けさが漂い、鏡のようなナギの海面に山々が写り、仕掛けを打てば着水点から波紋が広がる。取り込まれたチヌの悠然と横たわる姿は釣り師の憧れだ。
関東や関西から訪れる対馬ファンも少なくない。なんといってもチヌの大きさだ。過去には64.5cm4.5kgも釣り上げられている。由緒ある日本の原風景がまだ残る対馬・浅茅湾。そんな釣り場であと何年釣りができるのか。老釣り師は去らねばならないのか・・。いや、まだ一線級(現役)の釣り師でいたい。
「健ちゃん、みんな仲良く楽しく釣りをしようぜ」と私を気遣ってくれる御大・妹塚壮輔さんとて同じだ。(※妹塚壮輔=いもちゃんダンゴで有名な北九州・妹塚釣具店店主)
<週刊つりニュース西部版 APC・南健一/TSURINEWS編>















