釣り人的「防災情報チェック」術 渓流釣りに出かける前に知っておこう
2021年07月30日 16:30
抜粋
増水や崩落など、渓流でのヤマメ・イワナ釣りには、自然災害の危険が潜む。今回はそんな危険から身を守る防災情報チェックの方法を紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター小島満也)


ハード&ソフト両面で安全対策
ヤマメ・イワナ釣りのフィールドは主に山間の谷川。宝石のように美しい渓流魚が泳ぐ釣り場だが、生息地は傾斜のきつい沢だったり、大岩が累々と重なる渓谷だったりする。
山岳渓流に足を踏み入れるには安全第一、遡行に適した装備などハード面とともに、知見などソフト面での備えも欠かせない。その上で、釣行前にその河川の防災面での情報が得られれば、安心・安全度はさらに担保される。
予め釣行河川の防災に関わる危険度情報が入手できれば、豪雨などによる沢筋の土砂崩落などを回避することは可能だ。
ハザードマップ
では、河川の防災情報を入手するにはどうしたらよいのか。提案するのは、自治体が作成しているハザードマップ(防災マップ)の活用である。
飯能市が発行している土砂災害ハザードマップ(提供:TSURINEWSライター小島満也)内容として、主に河川の氾濫区域や土砂災害などの発生の恐れがあるエリア、災害発生した際の避難経路、避難場所などが地図上に落とされている。渓流に土砂災害発生の危険性があるのかどうかも示されているので、釣り人が活用しない手はない。
多くの自治体はこのハザードマップを紙ベースで発行しているが、遠方の自治体だと入手に手間がかかる。だが、近年はホームページでも情報発信しているので、釣行予定している河川が所在する自治体を検索し、プランした河川周辺の防災情報をチェックするといいだろう。
土石流危険渓流
ハザードマップで示されている土砂災害危険個所だが、発生する自然現象によって「急傾斜地崩壊危険箇所」「土石流危険渓流」「地滑り危険箇所」に区分され、それぞれ表示されている。このうち、渓流釣り愛好者に最も密接に関係するのが土石流危険渓流である。
地図上に示された土砂災害の危険箇所(提供:TSURINEWSライター小島満也)山腹や河床の土砂が長雨や豪雨などによって一気に下流へ押し流されるのが、土石流。土石流危険渓流はこの土石流発生のおそれがあり、人家や公共施設に被害の生じる恐れのある渓流を指す。
土石流危険渓流に注意
土石流危険渓流は、土砂災害防止法に基づいて都道府県が調査し、公表する。埼玉県を例にすると、県内土石流危険渓流の総数は1202箇所(平成15年3月現在)。そのうち、筆者が居住する飯能市については271箇所で、これは埼玉県内で最多の指定数だ。筆者がヤマメ釣りでよく出向く名栗川流域と、その北側を東進する高麗川流域に土石流危険渓流は数多く存在する。
飯能市の渓流沿いに設置されている標識(提供:TSURINEWSライター小島満也)一昨年10月の台風19号襲来時、両河川の土石流危険渓流からは大量の土砂が濁流とともに本流へと押し流されたが、幸いにも大きな被害につながることはなかった。しかし、過去に両河川の上流部では大規模土砂災害が発生、多くの人命と財産が失われている。
過去の土砂災害を教訓に
例えば、名栗川流域。降雨が続いていた明治43年8月10日夜。名栗村(当時)穴沢(あなざわ)地区の標高500mほどの尾根の東南斜面の山林が高さ約216m、幅約90mにわたって、雷鳴のような音を立て突如として崩れた。
甚大な被害が出た穴沢川沿いに建立された碑(提供:TSURINEWSライター小島満也)崩落した大量の土砂は名栗川支流の穴沢川へと流れ込み、土石流となって流れ下り、家屋を押し流した。被害は甚大で、穴沢地区では家屋2棟が埋没・全壊、6棟が流失し、男女17人が亡くなり、5人が行方不明となった。
被災から32年後の昭和17年。穴沢川沿いには遺族によって犠牲者の名を刻んだ碑が建立され、今もなお、名栗ではこの惨事を忘れてはいけないと、語り継がれている。穴沢川も土石流危険渓流である。
スマホアプリも併用しよう
自然災害回避の観点から、釣行をプランした渓流や付近の地形上の危険度をその自治体が発行するハザードマップで事前確認しておけば、「強い雨が降ってきたから、脱渓しよう」などと、釣り場での対応(避難行動)に生かすことができる。
ただ、土石流危険渓流に指定されていないからといって、悪天候の中、谷での魚釣りを続けるのは控えたい。
釣行当日の防災情報の入手方法として、筆者がよく利用しているのはスマホアプリ。天気予報のアプリは複数あるが、特に気に入っているのは「NHKニュース・防災」アプリである。
「NHKニュース・防災」アプリの災害情報画面(提供:TSURINEWSライター小島満也)最新ニュースとともに現在地や指定地域の天気予報、災害情報、雨雲の動き、マップ上で河川情報なども得られるので、重宝している。
<小島満也/TSURINEWSライター>
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