キス&ハゼは普段何を食べている? 釣れた状況や胃の内容物から考察
2021年08月28日 17:00
抜粋
キスやハゼを釣る際、用意するエサは何でしょう?同じ多毛類でも微妙に釣れ方に違いがある。今回は釣況や調理の際に出てきた胃の内容物などから、キスとハゼのエサについて考察してみた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター牧野博)


魚のエサ
自然界の魚や昆虫は、その生育状況に応じてさまざまなエサを食べる。肉食性か、草食性か、また、ヒトのように雑食性かという大きな括りはあるが、エサとするものは生育段階や生息環境によっても大きくかわるようだ。
たとえば昆虫のキリギリス。キリギリスの成虫を手で捕まえた経験のある方ならわかると思うが、鋭いあごで血が出るくらい噛まれる。前足にはとげが沢山ついている。これはとりもなおさず、キリギリスは他の虫を捉えて食べる習性があること、つまり肉食性であることを物語っている。そのキリギリスも、ふ化した直後から1~2齢位までの幼虫時代には、草の葉などを食べているといわれている。
また、釣り人にはなじみの深いアユも、浅海にいる幼魚の時代はプランクトンを食べて育つといわれるが、中流域に遡上してトモ釣りの好敵手になるころには、川底の苔を食むのは、アングラーご承知のとおり。
キスのエサ
では、私が普段釣っているキスやハゼは、いったいどのようなエサを食べるのだろうか?魚の図鑑などを見ると、多毛類を好むとある。多毛類とはゴカイやイソメの類である。そのために、これらが投げ釣りのエサとして販売されているのである。
キス(提供:TSURINEWSライター牧野博)イシゴカイ
特にイシゴカイ(イソゴカイ)は数釣りやチョイ投げでは定番で、ハリに刺した時の動きのよさもあいまって中小型のキスを狙うには最適なエサといえるだろう。昔、冬場に南紀方面へ釣行した時、現地の釣り具店にイシゴカイがなく、置いている釣具店を探し回ったことがあった。
アオイソメ
また、関東で投げ釣りをしていたとき、先輩のキャスターに聞くと、「アオイソメでも(キスは)くるけど、メゴチやフグなどのゲストが多くなる。ただ潮が少し濁っているときは、アオイソメが効くこともあるよ。」と教えてもらった。
マムシ&チロリ
また、これはキャスターには先刻承知の事実であるが、大型のキスに的を絞るときには、夜釣り中心で、マムシ(イワイソメ)やチロリ(ギボシイソメ)などを使う。チロリは近年、和歌山市内の釣具店でも購入できるようになり、私も時々使っているが、昼の釣りでもキスに絶好のエサであると思う。
釣れるキスの型が16~20cm程度と揃っているようなときに同じ仕掛けにイシゴカイとチロリを交互につけて釣ってみると、やはりチロリを刺したハリにくることが多かった。河口部で釣る時などにも非常に有効だと思う。
チロリはイシゴカイほどハリに刺したときの動きはない。それでもなおかつチロリに食うということは、匂いや魚にとっての見え方など動き以外の要素がキスに訴求する力が強いということである。実釣でのこれらの状況を考え合わせるとキスも成長するに従ってエサの嗜好性はかなりかわっていくのだと思われる。
チロリは大型狙いに効果的?(提供:TSURINEWSライター牧野博)2種刺し
2種類のエサを同時にハリに刺すことも投げ釣りの世界では長年行われてきた。よく知られているのはカレイ釣りのときのマムアオ(ハリのチ元に小さく切ったマムシをたくし上げて刺し、下にアオイソメを2~3匹房掛けにする方法)であるが、筆者は冬場のキス釣りで活性が低い時、くずマムシを小さく切って下にイシゴカイを刺して釣ることもある(冬場はチロリが入手困難なため)。匂いと動きの両方で誘う狙いであるが、イシゴカイ単独の時と比べ、良型のキスがくることが多い。
エビやボケも食べてる?
このように多毛類をよく食べるキスであるが、他の小動物は全く食べないかというとそうではない。和歌山では古くから紀州釣りのチヌが盛んであるが、チヌとキスは生息域が重なる部分も多いためか、外道とし良型のキスが時折掛かるという話を聞く。コマセの匂いに引き寄せられているということもあると思うが、エビなども好んで食べるようだ。
また、干潟の砂泥底には、ニホンスナモグリ(通称ボケ)が生息しているが、これはチヌ釣りの特効エサとして最近かなりポピュラーになった。筆者が投げ釣りのクラブにいた時、冬場のキビレ釣り(夜釣り)に紀ノ川河口へ何度も釣行しているが、エサはボケオンリーで十分だった。ところがこのボケは、良型のキスにも有効だという情報を教えてもらった。
そのことを実感したのはキス釣り中心の釣行になってしばらくたった時だった。いつものようにイシゴカイでキスを狙っていると、中小型に混じって、20cmクラスもぽつぽつ釣れてくる。帰宅後にキスをさばくと、良型の腹の中からはさみのような足が出てきたのである。チヌの夜釣りの経験もあり、それが未消化のボケであることはすぐにわかった。あの小さな口でどのようにしてボケを吸い込むのだろうか?
ハゼの食性
ハゼの食性もじっくり見つめてみると面白いものがある。ハゼもやはり多毛類を好む魚と言われる。関西ではイシゴカイ、関東ではアオイソメが主にミャク釣りのエサとして使われているようだが、ルアーではハゼクラなどにも反応するし、エサの許容範囲はキスよりもっと広いのではないだろうか。
ちなみにルアーの世界では最近対象魚が広がっているが、まだ、キスクラというのは聞いたことがない(秘かに実践しているルアーマンはおられるかもしれないが)。
ハゼ(提供:TSURINEWSライター牧野博)ハゼは匂いに反応?
以前に、身近な食品やペットフードでハゼが釣れないかというミャク釣りでのチャレンジをレポートしたことがある。あくまでそのときの状況での一つの結果ではあるが、魚の匂いのするキャットフードや乾きものの酒のつまみよりも、細切りハム(冷やし中華の具になるものである)に反応が出たのには驚いた。よく考えると試したエサの中で最も匂いの強いのはハムであった。そのため動きが皆無でもハリ掛かりしたのだと思う。
しかしそれらの食品やペットフードと動きのあるイシゴカイを同じ2本バリ仕掛けに刺すと、上下を入れかえても必ずイシゴカイの方にハゼは食う。
ハゼはキスに比べて底に静止することも多く、キス程泳ぎも速くない。釣れた時にリリースすると、しばらく足元の川底で止まっていることがよくある。ピンギスをリリースしたとき、一目散に泳ぎ去るのと対照的である。
逆に、底に静止してエサを探すのであれば、匂いや視覚をより活用しているはずで、キスとはエサを取るときの習性がかなり違うのではないか?常に遊泳しながら俊敏な動作でエサに食いつくキスとは異なり、ときどき川底に静止しながら匂いと視覚でエサを探し、徐々にエサにアプローチするような動きが想像できる。
フィッシュイーター?
またハゼには姿に似合わず獰猛な面もある。ハゼ釣りの対象魚はマハゼとウロハゼであるが、特にウロハゼとマハゼは少し習性が異なるように思えてならない。
ハゼは大きさの割に口の大きな魚である。カレイバリのような比較的大きなハリにも掛かるのはそのためであると思うが、マハゼとウロハゼを並べて観察すると、ひれの模様や体色以外に、頭の形が微妙に違っている。ウロハゼはマハゼと比べてやや頭が大きく、口もマハゼに比べて一回り大きく、しかも若干扁平している。
ウロハゼの口(提供:TSURINEWSライター牧野博)以前18cmほどの良型のウロハゼを釣り、料理しようとさばくと、腹のなかからマハゼの幼魚がほとんどそのままの状態で出てきて驚かされた。
ハリ掛かりしたデキハゼに食いついたのか、単独でデキハゼを食べたのかははっきりわからない。しかしハリ掛かりしたマハゼに飛びついたのであれば、エソやマゴチと同じく、ウロハゼも小さいながらフィッシュイーターということになる。ウロハゼやマハゼがどんなエサを食べているのか、深く調べていくと案外面白い事実が見つかるかもしれない。
就餌行動の研究に期待
筆者の限られた釣りの経験からの知識を述べてきたが、キスとハゼだけを例にとっても、魚の大きさや生育環境によってエサの種類や取り方はかなりかわってくる。また、同じような投げ釣りのターゲットで共通のエサで狙えるものであってもエサに食いつくときの行動は大きく違っている。
魚の就餌行動には、エサの嗜好性と、エサを取る時にどのような感覚を主に働かせているか、視覚主導か、嗅覚重視なのかという問題が共存している。これは水産学の研究分野であるのでその分野のエキスパートの方からの情報を待たなければならないと思うが、そうした研究が進めば、釣りの世界もまたさらに面白くなってくるはずだ。
<牧野博/TSURINEWSライター>
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