ハゼのミャク釣りステップアップ解説:「ミチイトの素材」を比較検証
2021年09月07日 11:30
抜粋
いよいよハゼが盛期を迎えるということで、今回はノベザオを使ったミャク釣りのミチイトの素材を、比較検証してみた。釣りスタイルに合った選択で釣果アップが望めるかも?
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター牧野博)


ハゼのミャク釣り
陸っぱりのハゼ釣りが間もなく盛期に突入する。これほど入門しやすく、だれもが魚とのやり取りを楽しめる釣りは他にないといえるのではないだろうか。特にミャク釣りは、仕掛けもシンプルで、リール操作も不要、チャレンジしやすい釣りといえる。
だが、まだまだミャク釣りもいろいろな面で改善の余地は残されているはずだ。このシリーズでは、ミャク釣りのタックルの各部を改めて見直すことにより、どのように釣り味や釣果がかわるか、研究することとした。
最初に着目したのは、仕掛けをポイントに投入し、底の情報をとらえ、ハゼのシグナルをアングラーに伝えてくれるミチイト。ミチイトの素材が釣果や釣り味にどのように影響するか、テストしてみた。
ミチイト素材ごとの特性
素材の特性(作図:TSURINEWSライター牧野博※サンラインHPの資料を参考にまとめたもの)ナイロンを基準にして各ラインの特性をまとめたのが上の表である。この表を参考に各ラインの特徴をまとめてみると……
・フロロカーボン=比重が大きいので仕掛けの着底が速く、イトが硬くて伸びが小さいので魚信がよく伝わる。屈折率が水に近いので水中でイトが見えにくい。
・ポリエステル=イトが硬くて伸びが小さいので魚信はよく伝わるが、直線強力や結節強力の点でナイロンより弱い。
・PE=編みイトであり、伸び率が低く、直線強力が大きいのが最大の特徴。その反面、繊維自体は極細なので摩擦に弱い。また、比重が水より小さく、ラインは水に漂う傾向があり、風の影響も受けやすい。
このようなイトの特性を参考とし、筆者はハゼのミャク釣りのミチイトに通常はフロロカーボンを使っている。
ミチイト素材を実釣で検証
目的:ハゼのミャク釣りにおけるミチイトとして使いやすい素材は何か?実釣テストで探る。
日時:2021年8月22日16時~18時半
ポイント:和歌山市 紀ノ川 右岸南海鉄橋上流側の河原および下流側護岸
タックル:サオ=特選水郷小継4.5m、オモリ=ショアゲ―ショア天2号に3cmの砂ズリと自動ハリス止めを付けたもの、仕掛け=自作ハゼ用連続仕掛けを2本バリにカットして使用(モトス=フロロ2号、ハリス=ポリエステル1号、ハリ=ジャストキス8号の2本バリ、エダスの間隔15cm、チ元に極小ビーズ玉を2個遊動で)。
ミチイトの長さ:サオ1本分
エサ:イシゴカイ
釣法:ミャク釣り
上記のタックルの条件は一定にしたままで、ミチイトの素材のみを変更し、実釣テストを実施。テストの中で、
・一定時間内で釣れるハゼの匹数
・ゲストの種類と匹数
・魚信の出方(感触)
・食い込みの良否
・オモリの操作性及び底の状態のとらえやすさ
・ライントラブルの有無
を比較検討した。
モノフィラメントイト3種比較結果
モノフィラメント3種の比較結果(作図:TSURINEWSライター牧野博)テストは最初にフロロカーボン、次いでナイロン、ポリエステルの順で20分間実施。全体の結果を見ると、この3種のイトはいずれもハゼのミャク釣りのミチイトとして使える。
フロロカーボンとナイロンの所感
フロロカーボンは、私が最も使い慣れていることもあり、ハゼの匹数も最も多くなったが、ナイロンも一定時間内の匹数ではほぼ互角といえる。ただ、フロロカーボンに比べ、伸びがあるのでオモリで底をさびくときに若干操作性が悪く感じられた。小石やカケアガリなどを捉える感度もフロロカーボンの方がいい。
ただ、ナイロンは伸びがあるためか、アワセのタイミングでは、フロロに比べ許容範囲が広い感じがする。この点はナイロンのメリットといえるだろう。普段フロロカーボンを使用しているが、魚信をすべて釣果に結び付けることができていない部分がある。このあたりは、感度や操作性と、ハリ掛かりのよさのどちらに重点を置くか、悩ましい部分であると思う。
ポリエステルの所感
ポリエステルは、他の2種のイトと比べかなり匹数は少なくなったが、これは上げ潮により釣り座が後退し、打ち込めるポイントがかわったことも考慮に入れる必要がある。
また、2回のライントラブルも影響している。ナイロンやフロロカーボンに比べ、伸びも小さく、なおかつ張りの強いイトなので、使いこなすには少し慣れが必要である。その反面、硬いイトであるため、魚信やハリ掛かりした時の魚の引きは最も鋭敏に感じられた。うまく使いこなしていけば、アタリ感度重視で即アワセで釣るタイプのアングラーにとっては、よさが発揮されるのではないかと思った。ハリスと共通化できるのもメリットである。
なお、フロロカーボン、ナイロン、ポリエステルいずれも、穂先リリアンへの結び(ぶしょう付け)では全く問題なく使用でき、途中で外れることも皆無だった。
フロロとPEラインの比較結果
続いて、モノフィラメント3種類のラインの中で、最も釣果のよかったフロロカーボンを、PEラインと実釣で比較してみることとした。
フロロとPEラインの比較結果(提供:TSURINEWSライター牧野博)※ポイントを南海鉄橋下流側の護岸に移して実施(上げ潮による)。
PEラインの特性
ここ十数年でPEラインはさまざまな釣りのジャンルでかなりポピュラーなイトになった。先日釣りイトメーカーのHPを見ていたら、チヌやグレのフカセ釣りのミチイトにもラインナップされていて驚いた。イトを製造する技術が飛躍的に進歩しているからだと思う。
投げ釣りは他のジャンルと比べ、アングラーとエサを食う魚の距離が著しく遠く、そこでキスなどの比較的小型の魚の情報をキャッチするのだから、伸びが極く少なく、魚信を捉えやすいPEラインがその特性を存分に発揮できる分野だったといえる。ただ編みイト(マルチフィラメント)のためにイトに張りが少なく、リールを使う釣りではライントラブルが起きやすいのも事実である。
ただ、ハゼのミャク釣りは通常リールなしのノベザオの釣りだ。したがって投入時のライントラブルの問題さえクリアできれば、フロロカーボンなどのモノフィラメントのイトに比べ、魚信がはるかにシャープに出て、底の変化(起伏や小石など)も手に取るように分かるはずだ。素材の種類や要求される性能は違うが、アユ釣りではかなり以前からメタルラインがよく使われているのもヒントになった。
結果を分析
今回の実釣テストで、フロロカーボンとPEラインの比較を行ったところ、まさに予想通りの結果となった。
同じ場所で、同じ実釣時間の条件で、PEラインがフロロカーボンに匹数では大差をつけた。PEラインの場合、サオのアクションでオモリを操作する時、底の小さな起伏や小石までがシャープに手元に情報として伝わる。
また、ハゼの匹数ではフロロカーボンを大きく上回ったが、この中にはデキハゼも混じっていたことから、魚のアタリ感度という点では、イトの伸びが極小のPEラインのメリットをはっきりと実感することができた。仕掛けのハリはジャストキスの8号と大きめなので、そのことを考えると食い込みも悪くなかったといえる。
投入時にミチイトがトラブルを起こすこともなく、ミャク釣りのミチイトとしても充分使用できるし、逆に少しでも多くアタリを捉えたい場合にはPEミチイトの使用を覚えておいて損はない。
PEライン使用の注意点
ただ、フロロカーボンと比べイトの比重が小さいので、投入後の仕掛けのなじみは少し遅い、イトの伸びが小さくサオのアクションがよりダイレクトにオモリに伝わるため、オモリが手前に寄ってくるのが速い。風や潮の影響を受けやすいといった傾向が見られた。イト自体はしなやかなので風の強い日などは若干ライントラブルが出るかもしれない。またシモリや障害物へのこすれは避けなければならない。
仕掛けのセッティングでは、PEラインの表面の摩擦係数が低いために、穂先リリアンへのぶしょう付けがうまくいくか、実釣中に抜けないかが懸念されたが、全く問題はなかった。ただ、イトがしなやかなので、チチワを作る時には、ゆっくり慎重に行う必要がある。
チチワ作りはゆっくり慎重に(提供:TSURINEWSライター牧野博)テスト結果まとめ
モノフィラメントイト3種の比較では、ナイロン、フロロカーボン、ポリエステルいずれもハゼのミャク釣りのミチイトとして使用することができる。実釣テストを通じての印象では、各イトの一般的な物性が、かなり鮮明に体感できた。自分の釣り方のタイプ(早合わせ、普段使っている竿の調子など)に合わせてミチイトを選ぶこともできると思う。
また、PEラインがハゼのミャク釣りのミチイトとして充分使用できることがわかった。心配されたライントラブルも、ミチイトの長さがサオ1本分と短いので、あまり発生せず、投げ釣りで実感できるアタリ感度や底の状態の把握も同じようにメリットとして感じられる。使いこなしていくと、また新しい特性がつかめる可能性がある。
盛期を迎えるハゼ(提供:TSURINEWSライター牧野博)今回のテストで釣りあげたハゼは約2時間半で総数58匹だった。型は10~12cmが主体。今後も、仕掛け各部の見直しを中心に、テストを続ける予定である。
なお、使用済みのラインは釣り場に放置せず、短くカットしてゴミとして持ち帰るように心がけたい。
<牧野博/TSURINEWSライター>
紀ノ川
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