深海の大物『アブラボウズ』釣りで90kg級モンスター頭に船中11尾

2021年09月29日 11:00

[TSURINEWS]

抜粋

5年ぶりに小名浜沖のアブラボウズ釣りを楽しんできました。船中12人中11人が本命を確保し、なんと90kgのモンスターも浮上した釣行をレポートします。

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(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

深海の大物『アブラボウズ』釣りで90kg級モンスター頭に船中11尾

アブラボウズ釣り

キンメやアコウ、ベニアコウといった深海の釣りのゲストとして登場するアブラボウズ。分類的にはギンダラの仲間で、同等の料理にすることによりとてもおいしくいただける魚です。また釣味としても抜群。最大で100kg超になることから、アタった瞬間は何とも言えない緊張感が走るとともに、モンスター級を数人がかりでギャフアップした暁には間違いなく船中大盛り上がり!正に深海釣り版「トレジャーハンティング」といったターゲットです。

小名浜沖は近年、そんなアブラボウズを専門で狙う数少ないエリアとして定着。ポイントまで2時間以上沖に走ることから、海況が落ち着く初夏から晩秋にかけてが狙い目なのですが、巨大アブラボウズ狙いなら、実は冬場が狙い目。限りなく出船は少ないのですが、出船した暁には巨大な「トレジャー」が待ち構えていることでしょう。

深海の大物『アブラボウズ』釣りで90kg級モンスター頭に船中11尾巨大なアブラボウズが狙える(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

アブラボウズ釣りのタックル

サオはオモリ500号が背負える深場ザオ。アブラボウズは底にいる魚なので、600mの水深でもしっかり底をとらえることができる硬めがオススメです。リールは大型電動リールが基本で、コマンド9~15番、マリンパワーなどが主流なのですが、最近はダイワの1200番、シマノの9000番等、小型ながらもパワフルな最新鋭のリールも目立つようになってきました。

深海の大物『アブラボウズ』釣りで90kg級モンスター頭に船中11尾アブラボウズ狙いのタックル(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

アブラボウズ釣りの仕掛け

仕掛けはミキイト40~50号2.5~3m、ハリス25~30号1~1.3m、捨てイト1.5~2mにネムリムツ28号、クエ30号前後の2本バリが基本。水中ライトはサメを寄せるので使用禁止(光勝丸)ですが、タコベイトは有効なアイテム。4~5号の大きめがいいです。

深海の大物『アブラボウズ』釣りで90kg級モンスター頭に船中11尾仕掛けは2本バリでオモリは500号(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

エサはスルメイカやヤリイカの1匹掛けが基本で、上バリにはコマセがわりにサンマの半身、イワシ1匹を付けておくのも有効。

付け方はチョン掛けで問題ないのですが、くるくる回転してイトよれしないよう、エンペラは切り取っておいた方がいいです。

深海の大物『アブラボウズ』釣りで90kg級モンスター頭に船中11尾今回タコベイトはケイムラとオレンジを選択(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

そしてクーラーボックスは大型一択。最低でも60L、中にはなんとイグルーの142L(150QT)を持ち込んでいる方もいました。

最悪の場合?は包丁を持参し、頭と尾ビレ、内臓等をなくせば容量をかなり小さくすることが可能。帰りの工程は行き同様2時間以上かかるので、解体する時間は十分あります。

深海の大物『アブラボウズ』釣りで90kg級モンスター頭に船中11尾解体の準備も(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

アブラボウズの釣り方

投入は船長の合図で大トモから順番に。着底後は底にいる魚ということで「オモリトントン」の状態をキープします。巻き上げのタイミングは自由なので、アタったらドラグを調節し即巻き上げ。決して多点掛けは狙わないように。掛かった後はかなり暴れるので、モタモタしているとオマツリの原因になってしまいますし、何よりサイズによってはリールが止まってしまう恐れもあります。焦らず、かつ迅速に操作しましょう。

また、600mのポイントではコウジンメヌケ(ベニアコウ)、400mのポイントではバラメヌケなどが食ってくることもあります。本命1~2本上げて「お土産十分」とばかりに道具をかたづけてしまうのではなく、エサのイカを短冊にして「赤い魚狙い」に切りかえるのも面白いです(一応船長に確認のこと)。

ただし、それでもアブラボウズが食ってくる可能性があることは一応付け加えておきます。

580mのポイントから開始

船は2時半間走ってスローダウン。陸岸が見えないような遥か沖のポイントにやってきました。やがて船長の合図で大トモから順に投入開始。隣の友人が無事に投入を終え、続いて私も投入完了。数分後、無事着底を確認しました。すると、先に着底した3~4人にアタリ発生!船中一気に緊張が走る。続いて私のサオにもアタリ!と思いましたが、残念ながら先にアタッた方とのオマツリ。仕掛け1つロストしてしまいましたが期待は膨らみます。

続けて同ポイントで2投目。1投目と同様に3~4人にアタリがあったものの、残念ながら私、そして隣の友人も魚には嫌われてしまいました。次の投入に期待を込めて準備をしていると……何やら大トモ付近でざわついています。

何となく察しはついたので私と友人も近寄ってみると、船長「手を貸して~!」。私もギャフを持って引き上げに参戦!呼吸を合わせ、3人がかりで引き揚げたアブラボウズはなんと90kg!(後の計量)。正にモンスターでした。

深海の大物『アブラボウズ』釣りで90kg級モンスター頭に船中11尾ギャフ2本では歯が立たず(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

同じポイントで3投目をやるも、やや潮が速くなったようで、あちらこちらでオマツリ騒ぎ。船中1本本命が浮上するも、船長やや浅いポイントに移動を決断。

オマツリやモンスターの引き上げ、浅めのポイントへの移動にてかなりの時間を要し、この時点で時間は10時すぎ。残りは1投、ノートラブルでやっても2投がせいぜい、といった所でしょう。我々2人、絶体絶命の窮地に追い込まれてしまいました。

ラストの流しで待望のアタリ

4投目の水深は450m。モンスターは出ないけど魚影はそれなりに濃いポイントとのこと。無事に投入を終え、祈るような気持ちでサオ先を見つめます。するとその祈りが通じたのか、サオ先が根掛りのように抑え込まれ、その後すぐさまガンガンと派手にたたかれました。間違いなく本命、アブラボウズのアタリです。

落ち着いてドラグを調節し、船長に声をかけてから中速(やや低速気味?)で慎重に巻き上げ開始!

そしてふと横を見ると……友人も一足早くアタっていたようで既に巻き上げ開始から100mが経過。あまりにも緊張感ありすぎて声すら出なかった模様(笑)

反対側でこの日最大級のオマツリ騒ぎが起きていることから、これがラストの流しであることほぼ確定。もう、バラしてしまったら……確実にしばらく立ち直れません。

深海の大物『アブラボウズ』釣りで90kg級モンスター頭に船中11尾巻き上げ中もガンガンたたかれるサオ(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

残り100mを切った辺りから暴れ方はさらに派手になり、心臓に悪いことこの上ないです。身は軟らかく、しかもアコウと違って水面でバレても泳ぎ去ってしまう魚なので、取り込みが終わるまで気が抜けません。

24kgアブラボウズ登場

やがて友人のリールカウンターが0になり、仲乗りさんのギャフアシストにより無事取り込み完了!続いて私のリールもカウンターが0になり、友人によるギャフアシスト。ギャフはがっちり下顎真ん中に掛かり、完璧な取り込みにて本命を確保しました。思わず2人でハイタッチ!

帰宅後の計量の結果、私が釣ったアブラボウズは24kg。結果的に持参した80Lのクーラーボックスにギリギリ押し込めるサイズということで、丁度よかったです。

深海の大物『アブラボウズ』釣りで90kg級モンスター頭に船中11尾80Lクーラーでも尾ビレがはみ出る(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

因みに友人が釣ったアブラボウズは14kg。私のクーラーボックスよりやや小さい60Lのものを持ち込んでいて、同じように尾ビレが少しはみ出る程度。これもお土産的には願ったり叶ったりの丁度いいサイズでした。

3打席連続空振り三振でしたが、4打席目に逆転ホームラン!しかも2人そろって。これぞ「大物釣りの醍醐味」ですね。

保存について

アブラボウズはその名の通り、脂のノリは抜群でとても美味しい魚。バラムツのように人体で消化されない脂とは違って食用としては問題ないのですが、脂肪分が40~50%と驚異的な数値なので食べすぎには注意が必要(因みにキロサイズの天然マダイは5~6%)。

しかし、長期間冷凍保存してもそう簡単に脂は落ちませんし、むしろサイズによっては1年近く冷凍保存し、ある程度脂分を落としてから取引する、といったことも普通に行われているそうです。釣れた暁には小分けにして冷凍保存しましょう。

深海の大物『アブラボウズ』釣りで90kg級モンスター頭に船中11尾我が家の釣り魚専用冷凍庫(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

実は我が家では、この春から子供が高校生になり、お弁当生活がはじまったことと、コロナ禍による冷凍食品の買いだめが重なったことにより、冷凍庫のキャパが悲鳴を上げていました。というワケで、今回のアブラボウズ釣行を機に家族会議を経て、新たに冷凍庫(100L)を購入。もちろん、釣り魚専用で(笑)

これならしっかり解体さえすれば、モンスターサイズも楽々収まりそうです。

定番の料理を紹介

苦労して釣った中型サイズのアブラボウズ。定番のものばかりですが、色々と料理を作ってみました。

マグロで言う赤身の部位なのですが、大トロ以上の脂のノリ。我が家では1人4切まで。

深海の大物『アブラボウズ』釣りで90kg級モンスター頭に船中11尾刺し身(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

味噌焼き。焼く事で適度に脂が落ち、とても食べやすいです。

深海の大物『アブラボウズ』釣りで90kg級モンスター頭に船中11尾味噌焼き(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

煮つけ。脂多いので濃いめの味付けがオススメ。

深海の大物『アブラボウズ』釣りで90kg級モンスター頭に船中11尾煮付け(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

胃袋は軽く湯がいた後、炒めてみました。ハイボールがとてもあいます。

深海の大物『アブラボウズ』釣りで90kg級モンスター頭に船中11尾胃袋の炒め物(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

残りは大切に冷凍保存し、少しずつ食べようと思います。

<尾崎大祐/TSURINEWSライター>

▼この釣り船について
第八光勝丸

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