プロが教える「旬魚」の目利き:カマス 魔法のひと手間は「振り塩」?
2021年10月30日 11:00
抜粋
秋のルアーゲームで人気のカマスは、今から脂が乗っておいしい時期。今回はおいしいカマスの見分け方を、奈良県中央卸売市場の丸中水産株式会社勤務の著者が紹介。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター有吉紀朗)
美味魚のカマス
「カマスの一升飯」という言葉があるが、これは他におかずがなくてもカマスの塩焼き1匹あればごはんが一升食べられるという意味。カマスは産卵前後を除いておいしいが、これからが最も脂が乗ってくる。
釣り場での処理
皮付きの炙り刺し身などの生食では、釣り上げたのちしめるのがいいが、サバ折にしても血は抜けきらないので注意。エラを切って血を出してから脊髄を切る。価格も高い魚なので、ガッツクことなく丁寧に処理したい。
カマスの種類
カマスにも種類がある。普通スーパーで売られているものはアカカマスとヤマトカマス。アカカマスはホンカマスとも呼ばれ、ヤマトカマスはミズカマスとかクロカマスと呼ばれる。
両者の見分け方はヒレの位置。ヤマトカマスは腹ビレの後ろが背びれの前より前方にあるし、鱗が細かい。ヤマトカマスは水っぽいので、干物が向いている。価格もヤマトカマスのほうが断然安い。
ちなみに、オニカマスはシガテラ毒の危険があるため市場では流通しない。カマスと名前の付く魚には深海釣りで釣れるクロシビカマスやクロタチカマス、カゴカマスなどが時折スーパーに並ぶものの、カマスではない(おいしいけど)。
カマスの目利き
丸のままではカマスの場合もまずは目を見て、澄んで透明な物を選ぶ。透明でも落ち込んでいるものは鮮度が落ちる。胴に丸みがあり、体表に張りと艶があるものを選ぶ。
ウロコがはがれやすい魚だけに、きちんと残っているものは鮮度がいい。網で獲ったものでも定置網で獲れたもののほうが曳網などよりウロコが残る。
エラもチェックして、鮮紅色のものを選ぶ。エラの色は赤からピンク→カマスの肌色へと鮮度落ちしていく。
振り塩が重要
カマスを購入、または釣り上げ下処理をすれば、まず塩を振る。刺し身、塩焼、天ぷら、フライ、煮物、蒸し物どんな料理にもできるが、まず振り塩をすることが大前提だ。これによって、余分な水分が流出してタンパク質が擬固して、グルタミン酸やアスパラギン酸が遊離しうまみ成分が増える。
最近は塩の健康への影響に関心が高まり減塩食品のブームだが、もっと素材に及ぼす作用にも目をむけてほしい。カマスはこの振り塩が劇的に味をかえる魚の代表だと思う。
釣り物としてのカマス
もともとカマスの仲間は南の海に多いが、昨今の温暖化に伴う海水温の上昇で北のほうまで分布が広がっているようだ。近年、大阪湾の波止周りでも回遊が増えたような感じがする。
あの歯をみてもわかるようにルアーはフィッシュイーターでルアーにも好反応がいい。カマス専用のサビキもある。
<有吉紀朗/TSURINEWSライター>
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