『シラスウナギ』漁が全国的に好調 過去最低だった去年からV字回復へ

2020年02月21日 11:00

[TSURINEWS]

抜粋

昨シーズンの日本全国でのシラスウナギ採捕量は過去最低の3.7t。でも、ご安心を!今シーズンはすでに昨年の数倍の採捕量となっています。ウナギ好きの日本人にとっては気になる、シラスウナギの生態~問題点、さらには蒲焼きの価格について説明します。

(アイキャッチ画像出展:photoAC)

『シラスウナギ』漁が全国的に好調 過去最低だった去年からV字回復へ

シラスウナギとは

『シラスウナギ』漁が全国的に好調 過去最低だった去年からV字回復へよく見るとかわいい顔をしている?ウナギ成魚(出展:photoAC)

シラスウナギの漁獲量が減っている、あるいは密漁などのニュースを耳にする機会がたびたびあります。そもそもシラスウナギとはなんなのか?先ずシラスウナギとはを用途と共に説明します。

シラスウナギの外見

シラスウナギを簡単に言えば、ウナギの赤ちゃん、幼魚のことを指します。身体は透明ですが動きはニョロニョロ、顔も形もウナギと変わりません。都市型河川にも生息していますが、その外見のため簡単には見つけることができません。

シラスウナギの生態

卵から生まれたウナギの稚魚は、オタマジャクシのような形をしており「プレレプトセファルス」と呼ばれます。そこからしばらくすると葉っぱのような形をした幼生「レプトセファルス」に成長してからウナギらしい形のシラスウナギへ変貌を遂げます。その後川に上り成魚になります。ウナギは形態が何度も変わる面白い成長を遂げるサカナの1種類です。

成魚は5年から15年にかけ、河川や河口域で生活し、そのあと海へ下り、日本から約2000km離れたマリアナ諸島付近の海域で産卵することが、近年分かってきています。その後、海流に乗りフィリピン方面→台湾方面→日本の故郷の川へ戻ってきます。

『シラスウナギ』漁が全国的に好調 過去最低だった去年からV字回復へ都心の河川でも釣れることがある(提供:TSURINEWS編集部)

なぜシラスウナギを獲るのか

シラスウナギをそのまま食べるわけではなく、幼魚から養殖するため採捕されます。ウナギは、まだ完全養殖の技術が確立されていないので、幼魚から育てます。

成魚になると筒や釣りなどで捕獲することが可能ですが、アジやイワシのように大量に取れないため効率が悪く、需要を賄うことができません。そこで、一気に遡上してくるシラスウナギを捕まえ、育てたほうが効率がいいためこの方法がとられています。

まだまだ不明な点あり

そんなウナギは、日本人と関わりが深いものの、未だに解明されていないことが多くあります。前述しましたが、産卵場所は80年間研究して、やっと2011年2月に西マリアナ海嶺と判明しました。

しかし、ウナギがどのように産卵場所へ向かうのか、雌雄の出会い方、シラスウナギの正確なルートなどは途中までしかわかっておらず、まだまだ生態には不明な点が多く残っています。

ウナギの養殖について

養殖方法は河川へ遡上してきたシラスウナギを捕獲し、それを陸地にある養殖池で育てるというものです。

養殖池はビニールハウスで覆い、水温を年中30℃前後にキープし、エサは定期的に与えて病気を防ぎつつ成長速度を上げ、約半年~1年ほど育て、200g以上になると出荷します。

ウナギの消費量のうち99%は養殖のため、天然物のは1%程度です。ウナギ(ニホンウナギ)は個体数の減少が危惧され、絶滅危惧種に区分されています。そのため個体数保全の面からみても完全養殖に切り替わることによる効果は大きいと言えるでしょう。

しかし、完全養殖については水産研究・教育機構、近畿大学などで人工孵化と稚魚の飼育は成功していますが、商業利用には成長速度が遅いことや卵~稚魚の生存率が5%などと大量に生産できないことが大きなネックとなっています。完全養殖にはまだ時間がかかりそうです。

『シラスウナギ』漁が全国的に好調 過去最低だった去年からV字回復へエサに群がる養殖ウナギ(出展:photoAC)

全国生産量分布

ちなみに平成30年では全国で15104t。上位5県は、鹿児島県6381t、愛知県3459t、宮崎県2539t、静岡県1457t、徳島県332tと鹿児島県がダントツの生産量を誇っています。

ウナギは稚魚でも高級魚

外食だと3000円~とウナギはなかなかのお値段がします。それは稚魚のときから高級魚として扱われることも大きな要因のひとつです。

1kgで数十万~100万円超え

シラスウナギは、地域や採捕量によって数十万単位の大きな価格変動をします。見出しにもある通り、数十万~100万円で値動きしますが過去には200万円超えという記録もあるほどです。

ちなみにシラスウナギは1尾を0.2gとして換算するため、1kg=100万円とした場合、爪楊枝ほど細さで体長が6cm前後の透明な魚が1尾あたり200円。そこから半年~1年かけて育成して出荷するわけですから、高いのも納得です。

獲り方について

『シラスウナギ』漁が全国的に好調 過去最低だった去年からV字回復へ徳島吉野川のシラスウナギ漁(出展:photoAC)

シラスウナギの遡上してくる12月~4月(地域により前後あり)に漁期が設定され、特別採捕許可を得た人だけが取ることが可能になっています。また、シラスウナギの漁獲量や期間、漁法、場所はかなり厳しく指定されています。

基本的な取り方は、ウェーダーや長靴を装備するか、船で夜間に河川をライトで照らし、網で掬うといういたってシンプルな漁法がとられています。

しかし、養殖に使うという観点から活魚でなければいけません。また、暗闇のなかライトで照らした水面を見つめて透明な魚を掬うため、シラスウナギと他の稚魚との判断は素人には難しく、熟練の技が必要になります。

シラスウナギを取り巻く問題

シラスウナギは漁獲量が減っているだけではなく、密漁や過少申告、不透明な流通ルートなど多くの問題を抱えています。

密漁が横行

前述の通り高値で取引され、装備も比較的手軽に揃えることができます。また買い取り手がいるため密漁が横行しています。刑罰が懲役6ヶ月もしくは、10万円以下の罰金と、見方によっては軽微なため、なかなか歯止めが効かないのが現状です。

そのため、2023年から懲役3年以下または3千万円以下の罰金と罰則強化が予定されています。

流通ルート

流通ルートも様々で、個人~漁協組合員、養殖業者など採捕者が多岐に渡り、集荷業者も問屋や漁協、商社など多岐にわたります。これらの企業や全国で26か所にある漁協などの流通業者へ流れていきます。最後に全国473件の養殖業者へたどり着きます。

シラスウナギの問題点としては、複雑で視覚化しにくいルートで、なおかつ採捕者が全国で約2万人存在することが挙げられます。また1日当たりの一人の採捕数量が、数gと少量になることから、採捕量を管理することが非常に困難なことも影響しています。

実際に平成31年漁期はシラスウナギの国内採捕報告数量2.2t、輸入数量11.5t、合計13.7tに対し、養殖業者のシラスウナギ池入報告数量は15.2tであり、10%ほどの差が生じています。

原因は、密漁や指定出荷先以外への横流し、採捕量過小報告などが考えられ、ウナギ業界の闇の部分とも言えるでしょう。

過去5年間の動向

平成26年~平成31年の採捕量を確認すると振れ幅が大きいが、平成26年以前の好調、低調なシーズンどちらも比較すると全体的に下降している状態が見受けられます。さらには、昨年は国内採捕量が3.7tと過去最低となってしまいました。

『シラスウナギ』漁が全国的に好調 過去最低だった去年からV字回復へ平成26年~平成31年の採捕量( 出典:農林水産省Webサイトhttps://www.jfa.maff.go.jp/j/saibai/attach/pdf/unagi-137.pdf

水産庁ではウナギ関する情報というページでウナギの情報発信をしているので、詳しい情報を知りたい方は目を通すことをおすすめします。

今シーズンV字回復傾向あり

今回、ウナギ生産量上位4県のシラスウナギ採捕量が今年はどのように変化したのかを各県の水産課へ電話での取材を行いました。

水産課によると掲載していない県も不漁は免れ、全国的に昨年度を大幅に超える形で全体的に出だしから採捕量が多くなっているようです。

解禁後の概況

静岡県では、通年12月~4月末の漁期で昨シーズンの総合採捕量が478.8kg。昨シーズンの1月末までの採捕量は110.2kgで、今シーズンは1077kgと約10倍の漁獲量がでています。平成26~30年の1月末までの平均405.7kgと比較しても多いことがわかります 。

また、同県の養鰻(ようまん)業者が所持するシラスウナギ専用イケスが満タンになってしまい、1/28から漁を中止しています。イケスが2月末ごろから空くためそのころ再開予定となっているようです。

愛知県では、通年12/16~4月末の漁期で昨シーズンの総合採捕量が391.1kg。昨シーズン12月中採捕量は3.5kgで、今シーズンは29.2kgと約8倍の上昇をしています。

宮崎県では、昨年度漁期12/2~3/16までの間で総合採捕量が73kg。昨年度漁期12/2~1月末で24kgに対し、今年度は12/21~1月末で140kgと約6倍上昇しています。漁期が短いにもかかわらず、採捕量が昨年度合計の倍近い数値になっています。

鹿児島県では、昨年度漁期12/15~3/31(漁実施日数は90日)で総合採捕量が136kg。昨年度の1/30までの30日間で36.1kg。今年度は30日間で252.1kgと約7倍の上昇をしています。

好調の理由

ウナギの採捕量を見てみると大きな波があるのは見てとれます。昨年があまりに不漁で相対的に好調に見えるというのもありますが、生態の研究が進んでいないため、なぜ昨年と比べて好調なのか、実は誰も分かっていません。海流や海水温、生存個体数などなにが原因であるかは今後、研究が進めば少しづつ分かっていくでしょう。

今年はウナギの価格が下がる?

1番気になるのはウナギの価格です。今年は蒲焼きが安く食べられるのか!?例年と比較してシラスウナギの採捕量は多いですが・・・。

価格はすぐには変動しない

『シラスウナギ』漁が全国的に好調 過去最低だった去年からV字回復へうな重が安く食べれる!?(提供:photoAC)

【ウナギの養殖について】の項にも触れましたが、シラスウナギとして養殖業者に販売されてから半年~1年ほどの期間を要するのと、取引価格が大幅に変動し、足りない分は海外から輸入した稚魚で補充するため、いきなり大幅に安くなることはありません。

20年ほど前に、ウナギがとても安かった時期があります。消費、輸入量がピークだった平成12年ごろは、中国でヨーロッパウナギの養殖が大変盛んでした。そのため、安く取引されて、惣菜で手軽に買える魚でした。しかし、そのヨーロッパウナギも激減し、さらに貿易規制がなされ、その後の供給量は3分の1に減少。結果、日本国内でのウナギの価格が大幅に値上がりしてしまいました。

というわけで、気になるウナギの価格は残念ながらここ数年よりは少し安くなるという程度で、全国的に実感できるほど安くなるわけではないと予想されます。

<四家/TSURINEWS・デジタル編集部>

楽天市場で購入する
カルティバ オカッパリバーブレス B-92 #2/0 【ワームフック】オーナー
330
商品説明 バーブレス最大のメリットは鋭い貫通性能! その攻撃性こそが本質! オカッパリフックのフォルムはそのままに、 より瞬間的な貫通性を極めたバーブレスモデル。 もちろん、セッティング性、ホールド性はオカッパリフックゆずりです。 バーブレ...
楽天市場で購入する
超ビッグサイズ 防水防寒パンツ 中綿入り 6L レインパンツ 送料無料
5,240
防水防寒パンツ(44409) 商品説明 ☆雨の中、雪の中でも安心な防水防寒仕様の中綿入りズボンです。☆中綿入りで暖かく、また防水生地なので、雨、雪、風を通しません。☆左右腰部分にポケットが付いております。また、右尻部分にバックポケットが付い...
楽天市場で購入する
スミス D-コンパクト45 13 チャートバックヤマメ / トラウト ヘビーシンキング ミノー
1,496
仕様表ヘビーシンキングミノー10年のノウハウを凝縮D-コンパクト2003年、それまでにはなかったニューコンセプトミノーとしてのヘビーシンキングミノー「D-コンタクト」を誕生させた平本仁が10年の時を経て新たに提案する『D-コンパクト』。小さ...
楽天市場で購入する
ダイワ(Daiwa) モンスターブレイブZ 18lb-400m  【釣具 釣り具】
5,313
仕様表モンスターバスをターゲットとした高品質フロロライン■ストラクチャーからモンスターバスを引きずり出すために設計されたダイワ最高峰フロロ■樹脂選定から各セクション全てを見直し、とにかく高強力を追求■表面硬度UPだけでなく、表面コーティング...

この記事を見る