内陸県で愛される「塩漬け魚介」たち 塩ぶり・塩ます・塩いかも存在?
2022年01月15日 11:00
抜粋
一般家庭の食卓に欠かせない魚食材といえば「塩鮭」ですが、全国にはサケ以外にも様々な「塩漬け魚」が存在しています。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
「塩ぶり」の競りが開催
岐阜県高山市の公設地方卸売市場で昨年末、恒例の「塩ぶり市」が開催され、話題となりました。
高山の塩ぶりは、富山湾で水揚げされた寒ブリを塩漬けにしたもので、冷蔵技術がなかった頃から年越しのごちそうとして食べられていた食材です。ブリが鮮魚で出回るようになった今でも、塩ぶりは飛騨地方の多くの家庭で親しまれており、特にお雑煮の具として欠かせないものとなっています。
競り初日の12月24日には、富山県の氷見などで水揚げされた天然物の塩ぶり10本が競りにかけられました。最高値をつけたのは12.6kgの氷見産のもので、なんと16万3800円という値がついたそうです。
長野で人気の塩鮭・塩ます
岐阜の隣にある内陸県・長野の人も、塩漬けの魚が大好きです。当地では富山県の塩ぶりも食べられていますが、県全体としてみると塩鮭のほうがよりメジャーな食材です。
実は長野の塩鮭は、平安時代から高い評価を受けてきたご当地食材でした。これは隣県でありサケの名産地である新潟から良い塩鮭が運ばれてきたことと同時に、県内を流れる日本最長の川である信濃川にもかつて大量のサケが遡上し、利用されてきたことが理由です。
また県内のスーパーでは「塩ます」も当たり前に見られます。これは基本的には「本鱒」と呼ばれるサクラマスを塩漬けにしたものです。塩鮭よりもこちらのほうが上という人も少なくありません。
「塩いか」って知ってる?
さて、同じ長野県でも「南信地方」である伊那谷に行くと、全く違う魚食文化があります。それを最も体現しているのが「塩いか」です。
塩いかは、スルメイカの皮をはぎ、内臓を除去して茹でて塩漬けにしたもの。食べる前に水にさらして塩抜きをしてから調理します。生イカとは違った食感があり、当地の食卓には欠かせない食材です。
塩いかに使われるイカも、ブリ同様に富山湾で獲られたものだったそうです。そのためスタートは同じなのですが、塩いかは北信地方ではあまり食用にされず、その殆どが南信へと送られていたといいます。
この理由として、北信地方では塩鮭がふんだんに食用にされていたため、塩いかの需要が少なかったということが考えられています。同じ長野県でも気候や文化が異なる南信と北信、食の嗜好にも大きな差があるようですね。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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