トンガ火山噴火でワカメ養殖に被害 寄生生物や温暖化など複数の脅威も
2022年02月04日 11:00
抜粋
日本の食卓に欠かせないワカメ。その多大な需要を支える養殖は全国的に行われていますが、多くの地域で今ワカメ養殖業がピンチに陥っています。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)


火山噴火でワカメ養殖に被害
南太平洋のトンガで今月14日に起きた大規模な火山噴火。それによる津波的な潮位変化の影響が日本各地に発生していますが、宮城県内では養殖ワカメに甚大な被害が発生し問題となっています。
同県塩釜市の漁業協同組合が管理する塩釜沖の養殖ワカメ漁場では、全体の8~9割ほどのワカメが絡まったり傷付いたりするといった被害を受けました。例年では750t程度の水揚げがあり1億4千万円の売り上げがあるそうですが、壊滅状態となってしまっているそうです。
養殖ワカメ(提供:PhotoAC)また津波の影響で養殖施設が絡まって使用できなくなっており、撤去にクレーン船が必要となるため、多額の費用が掛かる見込みです。塩釜市では市役所の水産振興課に相談窓口を設置しており、養殖いかだの撤去のほか、補助金や融資についての相談を受け付けています。(『津波で養殖ワカメに甚大な被害 宮城・塩釜市が補助金や融資の相談窓口を設置』KHB東日本放送 2021.1.18)
寄生生物の被害も
実は、今回の津波の前から、全国各地でワカメの養殖に様々な難題が発生しています。
三重県内で最大の養殖ワカメ産地である鳥羽市では、昨年「ヒラハコケムシ」の群体がワカメに付着するという被害が相次ぎました。ヒラハコケムシは体長0.5mmほどの「コケムシ」という生物の一種で、ワカメやコンブなどの海藻の上に「群体」というものをつくってへばりつき、見た目や食感に悪影響を及ぼします。
三重県のワカメ産地・鳥羽(提供:PhotoAC)例年、ヒラハコケムシはワカメ収穫シーズン終了間近の4月下旬に付着し出すそうですが、2021年はなぜか刈り取りが始まる前から大量に発生。水揚げ後、一つ一つ剥がしていく手間が必要となり、経済的な被害が発生しています。
温暖化で不漁傾向
瀬戸内海に面した広島県でもワカメの養殖が盛んに行われていますが、ここ数年多くの漁場で生育不良が目立つといいます。これには海水温の高さや魚・ウニ等による食害が影響しているものと見られています。
我々が普段食用にしている海藻類には低水温を好むものが多く、そのため近年の海洋温暖化で既存産地におけるワカメ、コンブといった経済種海藻の不漁が拡大しているのです。瀬戸内海だけでなく、太平洋に面したワカメの一大産地である三陸海岸などでもこの傾向は顕著で、温暖化による不漁は全国的なものと言える状況です。
ワカメの生育不漁は全国的な傾向(提供:PhotoAC)さらに温暖化のために、温暖な海域を好み、海藻を主食とするアイゴなどの魚の生息域が北上。食害の被害が大きくなっているという状況も、不漁に追い打ちをかけています。これらの要因から、今のまま温暖化が進めば、ワカメは庶民の口に入らない高級食材になっていくのは確実かと思われるのです。
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<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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