釣りのゲスト代表『ネンブツダイ』 意外と知らない生態と飼育方法

2020年02月22日 11:00

[TSURINEWS]

抜粋

魚釣りをする人なら一度は出会ったことがあるであろう「ネンブツダイ」。お目当てのサカナを釣るより先に釣れてしまうため、ゲストの代表魚として知られています。見たことはあっても意外と知らないネンブツダイの生態と飼育方法を紹介します。

(アイキャッチ画像出展:PhotoAC)

ネンブツダイはどんなサカナ?

ネンブツダイは、スズキ目スズキ亜目テンジクダイ科に属するサカナで、赤い体に黒い線が特徴的な比較的小さな海水魚です。漢字では「念仏鯛」と書き、釣り人からは「キンギョ」と呼ばれることが多いサカナです。

生息地

日本では、多くの地域で見かけますが、実は東北地方や一部を除いた北海道には生息していないと言われています。日本国外においては朝鮮半島や台湾、中国東南部で発見された事例もあるようです。

ネンブツダイは沿岸に近く、比較的水深の浅いところで群れになって生息しています。その他、海藻が多く生えているところや、身を隠せるような環境があるところを好んで縄張りにする習性もあります。

釣り方は様々

冬は水温の低下に伴って、深場に移動してしまう個体もいますが、年間を通して堤防や磯、消波ブロックの近くで比較的簡単に釣ることができます。

サビキ釣りやエサ釣りなど、釣り方を問わず、目的のサカナよりも先に釣れてしまうため、外道と呼ばれたり、邪魔者扱いされてしまっているちょっと悲しいサカナです。

ネンブツダイ(出典:PhotoAC)

なぜ「念仏」とつくのか

ではなぜ名前に「念仏」と入っているのか?気になっている人も多いはず。実は、この由来には諸説あり、どれが本当なのかは定かではありません。

その中で最も有力な説としては、

『繁殖期になると浅瀬に集まり繁殖行動を行う際、求愛行動の一つとして音を出す習性があり、その音が「ブツブツ」や「ボツボツ」といった音のため、遠くから聞くとまるで念仏のように聞こえたから』

というものです。

求愛のための音がまさか念仏のようだと言われているとは、まさか彼らも思っていないでしょう。

子育ては口内保育(マウスブリーディング)

一般的なサカナは卵を産む際、海藻に産みつけたり、砂の中に産み落とすことが多いですが、ネンブツダイはこれらの一般的な産卵方法は行いません。

ネンブツダイは、メスが産んだ卵をすぐにオスが食べてしまいます。食べてしまうと言っても飲み込むことはありませんので安心してください。

オスは口の中で卵を管理し、無事にふ化するまで外敵から卵をきっちりと保護する口内保育(マウスブリーディング)という方法をとります。

この方法を行うことで、卵を保護できるだけではなく、卵には常に新鮮できれいな水を供給することができます。

卵の健康状態をよりよく保つのに最適の方法と言えます。口内保育する種類のサカナは珍しいため、ネンブツダイの大きな特徴のひとつでしょう。

群れていることが多い(出典:PhotoAC)

もしかしたらそれは違うサカナかも?

釣り人の皆さんは釣り上げた時に、赤い体色、そして頭が大きくて体の小さいシルエットを見ただけで「あーネンブツダイね」と思うかもしれません。

しかし、そのサカナはもしかしたらネンブツダイではないかもしれません。実はネンブツダイと極々似ているサカナで【クロホシイシモチ】というサカナがいます。

このサカナは伊豆以南に生息しています。ネンブツダイとも生息域が重なっているため、海の中では当たり前のようにネンブツダイとクロホシイシモチが群れていることもあります。

この2種はかなり似ていますが、大きな違いは頭の後ろの模様です。ネンブツダイは目の上を通るラインが背中まで伸びているのに対し、クロホシイシモチはラインが短く、目の上で切れています。

そして、クロホシイシモチにはエラの上部に名前の由来にもなっている黒い点があります。

このように2種には似ていても大きな違いがあるため、釣り上げた時は一様に「キンギョ」と言うのではなく、しっかりと線が長ければネンブツダイ、黒い点があればクロホシイシモチと呼んであげてください。

ネンブツダイを飼育してみよう

そこにいさえすれば、釣り方を問わず釣れてしまいます。だったらいっそのこと飼ってみてはいかがでしょうか。

ネンブツダイは実はキレイなサカナで、ごくまれに熱帯魚ショップでも販売されてる程です。実は、ネンブツダイの近縁種には熱帯魚界では有名な「マンジュウイシモチ」や「イトヒキテンジクダイ」などがおり、ネンブツダイ自体も観賞魚としての可能性をかなり秘めています。

早速、準備するもの、入手方法についてみていきましょう。

準備するもの

・水槽(セット)
・ろ過器(セット)
・ヒーター
・ライト(セット)
・底砂
・石
・海水

飼育する匹数にもよりますが、今回は5匹飼うことを想定しています。この場合、45cmのキューブ水槽が最適だと思います。材質はガラスでも、アクリルでも、どちらでも構いません。

一般的な壁掛け式のコンパクトなろ過装置以上の設備があれば問題なく飼育することができます。

ヒーターも基本的なスペックのもので問題ありません。ライトも幅さえ合えばどのようなものでもOKです。

水槽・ろ過器・ヒーター・ライトはセット販売されていることが多いので、そちらを選べば問題ないでしょう。

水槽の底にはサンゴ砂を敷いてあげてください。

前述のとおり、岩場などに縄張りを作るため、サカナを採集する際に持ち帰れる石があれば、20cm程度の大きさの石を3つくらい用意しましょう。難しい場合はライブロックや専用の石を購入しても問題ありません。

そしてネンブツダイは海水魚なので、人工海水の素(もと)が必要です。採取した現地の海水でもいいのですが、寄生虫や病原菌が潜んでいる可能性があります。こちらはあまりお勧めしませんが、予算削減が必要な場合は、現地の海水でもいいでしょう。

このくらいの設備であれば、ホームセンターで1万円せずに用意することができると思います。

採取は網より釣りで

採集する方法としては網、または釣りになるかと思いますが、網だと鱗が取れてしまったり、傷ついてしまう可能性があるためあまりお勧めしません。釣りで採集するのがいいでしょう。

釣り方は何でもOKですが、針の「かえし」をペンチなどでつぶす、あるいはバーブレスフックを使用すると必要以上に傷つける心配がなくなります。

エサは特におすすめはありません。サビキで釣るもよし、オキアミやゴカイで釣ってもよしなので、得意な釣り方で釣ってください。

なるべく触らない

ここからが重要です。

見事釣りげることに成功したネンブツダイには直接触らないようにしましょう。ネンブツダイは簡単に鱗が取れてしまうため、素手で触ると鱗がぽろぽろと取れてしまいます。

釣り上げた魚は、バッカンなど海水の入った容器の上でハリだけを持ち、180度返して針を外すようにしましょう。ハリの「かえし」をつぶさないと、この時に簡単には外れず、サカナの口を傷つけてしまう恐れがあります。

容器の中に無事、釣り上げた魚が入ったらエアレーション(ぶくぶく)をし、酸欠にならないように持ち帰りましょう。

ネンブツダイを持ち帰った後

見事、持ち帰ることに成功したネンブツダイですが、いきなり水槽にドボンと入れてしまうと、水温や水質の変化に耐えられず、ものの数時間で死んでしまいます。

水温や水質の変化に弱い

徐々に水槽の海水に慣れさせる必要があります。

エアレーションしている容器に少しずつ水槽の海水を入れていきます。15分に1回程度のスピードで100mlくらいを容器に入れていきます。

2時間くらいかけてゆっくりと水に慣らしていきましょう。

こうすることでネンブツダイは新しい水槽の水に少しずつ慣れていき、新しい水槽に移してもショックを受ける心配がなくなります。

移動させるときも優しく

水槽の水に慣れたら、準備していた水槽に移動させましょう。

この時、網ですくって入れてもいいのですが、この方法だとあまり優しくありません。小さな容器を使って、海水ごとすくってあげてください。

そして、新しい水槽に容器を沈め、ネンブツダイを放ちましょう。こうすることで、必要以上に空気に触れることもないので、サカナへのストレスを軽減させることができます。

同じ要領で捕まえてきたほかのサカナも移動させれば、水槽の完成です。

華やかな魚たちとの混泳も可能(出典:PhotoAC)

エサは甲殻類が好き

ネンブツダイに与えるエサについては、市販の甲殻類系のエサで問題ありません。

これは筆者の経験談なので、あまりお勧めできるかは分かりませんが、筆者が以前飼育していた時に使用していたエサは、お好み焼き用の「エビ」や「ちりめんじゃこ」でした。

もちろん無添加である必要はありますが、こういったものでも、エサの代用にはなります。エビは匂いも強いので、お腹が空いてくればネンブツダイが水面付近までやってきて勢いよく食べるシーンを見ることができるでしょう。

楽しく釣れて、飼育も簡単

目的のサカナがいる時は、ネンブツダイばかり釣れて「またお前か!」「もういいよー」と邪魔者扱いをしてしまうかもしれません。

しかし、実はきれいな色をしていて、目も大きく愛くるしい顔をしています。簡単に釣れて、飼育も簡単なネンブツダイを是非飼育してみてください。

今のところ、専門的に飼育をしている人はほとんどいないため、参考にするものは多くないかもしれませんが、熱帯魚には近縁種の「マンジュウイシモチ」などがいます。

飼育に行き詰ったときにはマンジュウイシモチの飼育方法を参考にするといいでしょう。ぜひ日本初のネンブツダイブリーダーを目指してみて下さい。

<近藤 俊/サカナ研究所>

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