お酒を飲んだサカナが美味と評判 養殖界で注目の「酒造廃棄物」とは?
2022年03月11日 16:30
抜粋
ヒトだけじゃなくサカナもお酒が好き!?ビールの残りカスで育ったブリに、酒粕で美味しくなるサバ。養殖界で注目される「酒造廃棄物」について紹介します。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)


「ビール醸造の廃棄物」でブリを育てる
リアス式海岸が発達し、入り江が多く養殖漁業が盛んな大分県佐伯市。そこで養殖されているとある「ブリ」にいま注目が集まっています。
そのブリの特徴は「餌にビール醸造の廃棄物を使用している」こと。養殖に用いる飼料に、ビールを醸造する際に廃棄物として発生する「麦芽の絞りカス」を混ぜているのだそうです。
ビールの絞りカスでブリを育てる!?(提供:PhotoAC)このブリは現在、西日本各地の飲食店に出荷され、好評を博しているといいます。(『【SDGs】「ハマチにビール」で美味しくなる? 大分・佐伯市』テレビ大分 2022.2.23)
ビールの絞りカスの効能
ビール醸造は「糖分を豊富に含む麦芽を水やホップと混ぜ、ビール酵母によって発酵させ、絞って濾過する」といった工程で行われます。そのため醸造後、大量の麦芽の絞りカスが発生します。
これはいわゆる「ビール酵母サプリメント」として市販もされる一方で、大量に発生するために加工が追いつかず、廃棄物として処理されてしまうものも多いといいます。
栄養豊富なビール酵母(提供:PhotoAC)しかしこの絞りカスには、ビール酵母が生成する大量の必須アミノ酸やタンパク質などが含まれており、活用する道も多々あります。ブリの養殖においては、ビール酵母を飼料に混ぜ込むことで、筋肉中の旨味成分イノシン酸が豊富になるというメリットがあるそうです。
「ほろ酔いサバ」
魚の養殖において「酒造の際に発生する廃棄物」を用いる事例は、実はビールだけではありません。例えば昨年には、山口県の「酒粕で養殖した」養殖サバに注目が集まりました。
このサバの養殖には、酒どころである山口で大量に発生する廃棄物である酒粕を再利用しています。「ほろ酔いサバ」と名付けられたそのサバは、魚の臭みが抑えられ、また旨味も多いという研究結果が出ています。
養殖で活躍する「酒造廃棄物」
魚の養殖においては、一般的にイワシなどの他魚を餌として用います。しかし、例えば植物(牧草)を利用しタンパク質を生産することができる畜産と異なり、タンパク質でタンパク質を再生産する魚の養殖は「効率が悪く、持続的ではない」という批判を受けることも多くなっています。
酒粕でSDGsに配慮した養殖を(提供:PhotoAC)また、魚の脂は酸化によって質が悪くなりやすく、低品質の飼料で育てた養殖魚は脂の臭みが強く美味しくないという評価をうけがちです。
酒造廃棄物は植物性ながら、タンパク質やアミノ酸を豊富に含み、さらに脂肪の臭みや生臭さを低減する成分を含んでいるものもあります。そのため養殖魚のデメリットを軽減でき、SDGsにも貢献できる飼料として、今後もより注目されていくものと思われます。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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