熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙う

2020年02月23日 11:00

[TSURINEWS]

抜粋

記録的な暖冬といわれる今年だが、三重県の熊野灘沿岸では例年通り冬のメタルスッテゲームが開幕。中部エリアでは稀有(けう)な3種のツツイカを同時に狙えるこのフィールドは、今季もアングラーを熱くさせている。今回はそんな熊野灘のメタルスッテゲームの攻略法を解説する。

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(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)

熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙う

メタルスッテゲームとは

メタルスッテゲームのルーツは、手釣りのイカ釣り漁である。この伝統的な漁法は、いさり火を煌々(こうこう)と照らし、鉛スッテという漁具を使用する。これを釣り人にも楽しめる形で始まったのが、近年のメタルスッテゲームだ。

私がよくお世話になる三重県・尾鷲湾周辺の遊漁船でも夜釣りをメインとし、LEDライトを照らしルアーゲーム用にアレンジした鉛スッテを使用する。まさに古くから伝わるイカ釣り漁のエッセンスを継承し、ルアーゲームという高いゲーム性と融合した形で楽しまれている。

熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙う船上の様子(提供:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)

狙える時期とイカの種類

冬の風物詩とも言えるメタルスッテゲームは、私のホームグラウンドである三重県南部では、水温の下がる1月後半から開幕し、ハイシーズンは2月中旬~3月中旬。水深はルアーが比較的アプローチしやすい、40m前後が基本となる。

また狙えるイカは、イカ御三家とも呼ばれるヤリイカ、アカイカ(ケンサキイカ)、スルメイカ。

熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙うヤリイカとスルメのダブルヒット(提供:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)

冬の高級イカの代表格であるヤリイカは、産卵のため水温の低下とともに沿岸部に接岸し、パラソルサイズと呼ばれる大型が期待できる。また、アカイカはルアーへの反応が良く、群れが大きいため連続ヒットが期待でき、身は柔らかく美味なターゲットだ。スルメイカは、強烈なジェット噴射でパワフルファイトを楽しませてくれるスリリングなターゲットだ。

メタルスッテゲームのタックル

熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙う参考タックル図(作図:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)

ロッドは感度や操作性の良い専用ロッドも多くリリースされており、穂先の軟らかいソリッドティップがオススメだ。繊細なアタリが穂先の変化として現れ、イカがスッテを抱いた際の違和感も軽減してくれる。

熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙う穂先の軟らかい先調子のサオを使おう(提供:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)

またリールは、フォール時のアタリが取りやすくヒットレンジの再現性を高めるため、ベイトリールタイプでカウンター付きが扱いやすい。

メインラインは、伸びの少ないPEラインを使用。私はアタリをよりダイレクトに感じるため、潮流に流されるなどの影響を軽減する意味で、なるべく細号数を使う。イカとの安心したファイトを前提に、0.5号前後を使用する。必要以上の太号数は、仕掛けも沈みにくくなるので要注意。

またリーダーは、根ズレに強いフロロカーボンリーダーの2段仕掛けが主流のスタイル。下段には鉛スッテをセットし、そこから80cm前後上段には、浮きスッテや小型の1.5号前後のエギをセットしよう。最近では専用のイカメタル仕掛けが各種販売されており、上手に活用すれば仕掛けの準備も非常に容易である。

スッテの選択

鉛スッテは、鉛に布を巻いたシンプルな疑似エサである。ウェイトは水深40m前後であれば、10~15号をメインに、潮流の強さに応じ8号や20号も少々準備しておきたい。ちなみに1号は3.75g換算である。

形状も小刻みな動きを得意とするベーシックな細身の樽状タイプに加え、跳ね上げや沈めるといった縦の動きを得意とする、魚をモチーフにした形状のものまで、シルエットやアクションにも特徴がある。カラーについては、多くのバリエーションが存在するが、赤緑、赤白などの定番のツートンカラーに加え、夜光カラーも実績が高い。

また上段には、フワフワとイカを誘引し潮流の速いシーンでは、水流の中でも動きが安定するエギタイプ。緩めばナチュラルな動きを得意とする浮きスッテといった形で、鉛スッテを含めカラー、形状、アクションの特性を考慮し、使い分けでその日の反応を探ってみよう。

熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙う鉛スッテと浮きスッテ(提供:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)

メタルスッテゲームの釣り方

この釣りの醍醐味は、「アタリを感じて掛けにいく」といった、アングラー主導のゲーム性にある。

アプローチの基本はいったん底を取ってから、スタートする。着底後はやや仕掛けを底から巻き上げ、徐々にレンジを上げていきイカからの反応を確認する。

熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙うメタルスッテゲーム(作図:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)

まずは水深の3分の2程度まで探ってみよう。基本的にイカは、スッテやエギが沈んでいる最中や動きが止まった瞬間、ユラユラと潮にナジんで止まっているタイミングで、アタリが出ることが多い。そのためアクションはさまざまなバリエーションが存在する。

ロッドを振り上げてラインテンションを張った形で、ゆっくり沈めていく、ジャカジャカジャカッと穂先を小刻みに動かしてからのステイ、ヒュイッと跳ね上げてからスッと仕掛けを沈めるなども有効だ。

熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙うアクション(作図:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)

いずれもコンッと明確にアタリが伝わる場面もあるが、張っていたラインテンションが抜ける、沈めている最中に仕掛けが止まる、モゾモゾとした違和感もアタリであることが多い。怪しいと思ったら迷わずアワセを入れてみよう。

イカの釣り分け方

ヤリイカ、アカイカ、スルメイカのイカ御三家は、探るレンジである程度の釣り分けが可能である。特にヤリイカは底付近で釣れることが多く、着底後底付近を繰り返し丹念に探ってみよう。

また、アカイカは広範囲を手返しよく探ることがセオリーだ。特に小刻みなアクションからのステイが有効で、スルメイカも同様の傾向が強い。

ただスルメイカに関しては、海面付近まで積極的にベイトを追い回すことが多く、船べりでのヒットも珍しくはない。このようなことから、狙うレンジでの釣り分けは、底はヤリイカ、中層がアカイカ、スルメイカ、表層がスルメイカといったイメージだ。

熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙う釣り分け・釣果を伸ばすコツ(作図:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)

釣果を伸ばすコツ

この釣りは、刻々と変わるヒットレンジを効率よく探ることが重要だ。船上では乗船者とワンチームになり、ヒットパターンの情報交換などを密に取り、ベイトのいる水深は船長の指示をこまめに確認しよう。

また、これは私がいつもお世話になっている引本浦港から出船するエヌテックマリンの中井船長に聞いた小ワザである。潮流が速く、どうしてもラインが斜めを向いてしまう状況では、イカに対しメインラインの違和感を少なくするため、上段の枝スを少し長めに取ってみよう。

またイカからの反応が悪いときは、釣り人の心情としてどうしても釣れないときほど仕掛けにアクションを加えたくなるものだ。

しかし、そんなときほど食わせの間を意識し、アタリを待つ時間を少し長めに取るなど、アクションの強弱を変えることで状況が打開できるケースも多い。動かし過ぎも逆効果となることもあると覚えておこう。

このように小さな工夫が釣果に直結するのでいろいろ試していただきたい。

イカ狙い以外の楽しみ方

メタルスッテゲームのもう1つの楽しみ方と言えるのが、大型のアジが狙えることである。

ライトの明かりに寄せられた小さな小魚を狙い、30cmオーバーの良型からキガアジと呼ばれる40cmオーバーのモンスターサイズまで、メタルスッテ仕掛けの上段を、2inch前後のワームをセットしたジグヘッド仕掛けに変更するだけで、手軽に楽しむことができる。

熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙う同時にこんな魅力的なアジも狙える(提供:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)

ちょっとメタルスッテゲームの合間に、大型アジのお土産追加を狙ってみるのもオススメだ。

暖冬とはいえ水温もしっかり下がり、メタルスッテゲームは最盛期を迎えている。ぜひ、寒さをぶっ飛ばす船上の夜遊びを楽しんでいただきたいと思う。

<週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基/TSURINEWS編>

船宿紹介

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▼この釣り船について
エヌテックマリン
この記事は『週刊つりニュース中部版』2020年2月14日号に掲載された記事を再編集したものになります。

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