国内各地のサケ・マス養殖が活況 先行き不透明な世界情勢の影響も?
2022年05月01日 11:00
抜粋
惣菜材料や寿司ネタとして食卓に欠かせないサケ・マス。これまでその多くを輸入で賄ってきましたが、世界情勢の影響を受け、全国でその養殖が盛んになってきています。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)


サケ・マス漁業に関する日露交渉が開催
水産庁は今月11日、ロシアの川で生まれたサケ・マスに関する日露漁業交渉を開始したと発表しました。
サケやマスの多くは、河川で生まれて海に下って成長し、生まれた川(母川)に戻って産卵するという生態を持っています。そのため、サケ、マスは母川のある国にその資源の管轄権があるとする「母川国主義」という考え方がロシアやアメリカの主導で浸透され、今では一般的な物となっています。
日本近海で穫れても「ロシア産サケ」の可能性が(提供:PhotoAC)そのため、ロシアが近い北海道周辺のサケ・マス漁は、日本の排他的経済水域内で行うものであっても、その漁獲量を協議して決めなくてはならないのです。現在我が国はウクライナに侵攻したロシアに対して厳しい制裁を科しており、このような状況下での漁業交渉実施は異例のことです。
例年なら北海道では4月10日がサケ・マス流し網漁の解禁日なのですが、今年はいまだ出漁できていません。まもなく妥結見込みとのニュースもありますが、その行方は例年以上に注目されるものとなるでしょう。
国内のサケ・マス養殖は活気
天然のサケ・マスの漁獲ができていない一方で、国内各地で行われているサケ・マス類の養殖はいま非常に活気ある状態となっています。
国内では北海道から九州まで、海水・淡水合わせて約80ほどのサケ・マス類養殖産地があるとされます。代表的なのは毎年約6,000tほどの生産量がある宮城県石巻市ですが、その他の地域でも少しずつその生産量は増えています。
養殖用のギンザケ稚魚(提供:PhotoAC)そのひとつである鳥取県境港市沖の美保湾では、養殖ギンザケの今シーズンの水揚げ作業が先日始まっています。「境港サーモン」のブランド名で全国のスーパーや百貨店で販売されます。
また、内湾である瀬戸内海に面する兵庫県でもトラウトサーモン(海産ニジマス)の養殖が盛んに行われており、長いものでは20年以上の歴史があります。
高級ブランド魚も
これまで、サケ・マス類の養殖といえば上記のようなギンザケ、あるいはトラウトサーモンが主流でした。しかし近年の生食需要の高まりやそれに伴う魚価の向上に伴い、より高級な品種の養殖も盛んに行われるようになっています。
例えば、静岡県熱海市では、ダイダイの果汁を混ぜた餌で養殖した「サクラマス」が養殖され、先日初めて出荷されました。サクラマスは本マスともいわれ、陸封型のヤマメとともに高級魚として知られるものです。市場に先だって振る舞われたイベントでは、キロ2000円と養殖魚としてはなかなかの値を付けたそうです。
見た目や味がよく高値がつくサクラマス(提供:PhotoAC)新潟の佐渡島でもサクラマスの養殖が行われており、「佐渡満開さくらます」のブランド名で出荷されています。こちらも品質の良さが知られ、サイズ次第でキロ10000円ほどになることもあるといいます。
これらのサクラマスや、あるいは3倍体のニジマス、マス類をかけ合わせて作られた食味の良い品種のマスが各地に存在しており、刺身や寿司ネタなど単価の高い料理の食材として人気を伸ばしています。
今後の世界情勢や円安の進行次第では、海外産の安価なサケ・マスは今以上に入ってこなくなる可能性が高く、このような国内のサケマスの需要がより伸びていくのではないかと考えられています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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