魚の『冷凍』完全ガイド 鮮度を保つ5つのコツ&保存期間延長法

2022年12月15日 15:59

[TSURINEWS]

抜粋

スーパーの特売で魚を思わず多めに買ってしまったときや、たくさん魚が釣れたときなど、その保存に困ってしまったことはありませんか?とりあえず冷凍庫へ。そう対処したはいいものの、いざ使おうとしたらカチコチで使い物にならなかったり、美味しくなくなっていたり。こんな経験、誰しも一度はあるかと思います。今回は「魚の正しい冷凍方法」と「長期冷凍保存のコツ」を紹介します。

(アイキャッチ画像提供:Pixabay)

魚の『冷凍』完全ガイド 鮮度を保つ5つのコツ&保存期間延長法

冷蔵庫内の冷凍室・冷蔵室・チルド室の違い

まず、魚の冷凍方法をお伝えする前に、どこで保存するのが良いか、解説していきます。魚の身が余った時、その食材の冷蔵庫での行き先の候補は3つかと思います。

【冷凍室】【冷蔵室】【チルド室】

これらはどれも食品を低温で保つための部屋である点は、共通しています。しかし、食品の状態、次回食べる時期などによって、どこに入れるべきか、判断は変わってきます。まずは3つの部屋の特徴を知りましょう。3つの部屋の違い、それは「温度」です。

冷蔵室内の温度

まずは冷蔵庫について。「冷蔵庫」の温度は、だいたい3~7℃に設定されています。実は冷蔵室内の温度は場所によって、温度にムラがあります。ドアポケット付近は扉の開け閉めがあるため、温度が6~10℃です。このように同じ冷蔵室内でも場所によって温度に違いがあります。冷気は下に溜まりやすいため、上段よりも下段のほうが1~2℃低くなります。

また、冷気の吹き出し口付近も温度が低くなりやすいため、同じ室内でも腐敗しやすい食品は吹き出し口に近い奥に保存しておくのが良いとされています。反対に冷え過ぎを避けたいものはなるべく上段の手前側へ。しかし詰め込みすぎると冷却効率が落ちてしまうので注意が必要です。

冷凍室内の温度

次に冷凍室について。冷凍室内の温度は、基本的に–18℃以下になるように設定されています。冷凍食品やアイスなど凍った状態を維持したい食品や、長期保存したい食品に向いています。意外かもしれませんが、冷蔵室と違い、冷凍室は詰め込むほどに冷却効率が高まります。

チルド室の温度

最後はチルド室。近年、このチルド室の付いた冷蔵庫が増えています。チルド室は別名「フレッシュルーム」。冷蔵室よりも温度が低く、冷凍室よりも高い温度に設定されています。食品が凍る–2~0℃の直前の温度のため、冷蔵室よりも長期の保存に向き、鮮度が落ちやすいですが、凍らせられない(凍らせたくない)ものに最適といえます。

魚の『冷凍』完全ガイド 鮮度を保つ5つのコツ&保存期間延長法チルド室は低温のため冷蔵庫よりも長期保存が可能(提供:TSURINEWS編集部)

また、食品を微凍結させるパーシャル室も同じように使うことができます。こちらはわずかに凍ってしまうので、肉や魚は向きますが、凍ると品質の変わる食品には向きません。

保存場所の使い分け

先述のように冷蔵室の中は、意外と温度設定に差があります。入れる物の特性や想定保存期間に合わせて場所を選ぶことで、より長く保存できるようになります。早々に使う場合なら冷蔵。少し期間が空くけど新鮮に食べたい場合はチルド。しばらく使う予定がない場合は冷凍。このように使い分けるのが望ましいでしょう。

ちなみに、代表的な例外は、今すぐ食べたいけど寄生虫のアニサキス対策で48時間凍らせなくてはならない場合でしょうか。

魚の冷凍時の注意点

では本題です。長期間の保存が利き便利な冷凍保存ですが、魚を冷凍した際、カチカチになってしまって、全く使い物にならなかった経験がある人もいるかもしれません。

おそらくそれは、プラスチックのトレーからそのままラップにくるんでポン。こんな感じで保存したときだと思います。魚の身には水分が多いため、しっかりとした手順で保存しないといけません。

冷凍すると細胞が壊れやすくなる

水を凍らせると氷になり、その氷を溶かせばまた水に戻ります。しかし、食材は一度凍って、その後解凍をしても、冷凍前と同じ状態には絶対に戻りません。魚の身には約60%の水分が含まれており、これらの食品を生の状態で冷凍すると、食品細胞の一部の水分が凍り始め、「氷の核」ができます。

氷の核は、まわりにあるより小さい氷や水分を抱えこみ、体積を増やして「氷の結晶」に変化していきます。※ペットボトルに水を入れて凍らせると、翌日パンパンに膨らんで凍っているのと同じ現象

魚の『冷凍』完全ガイド 鮮度を保つ5つのコツ&保存期間延長法冷凍した魚の身は水分によって膨張しダメージを受ける(提供:TSURINEWS編集部)

すると、膨張した氷の結晶は、魚の身の細胞膜や細胞壁を押しつぶしたり、こわしたりしてしまいます。その状態から冷凍した食品を解凍すると、細胞内の氷が溶けて水になり、傷ついた細胞から流れ出ていきます。

この水分は「ドリップ」と呼ばれるもので、これには、うま味や栄養も含まれています。それが流れ出るということは、正しく解凍しないと味わいがぐっと落ちることを意味しているのです。

魚を冷凍する時の5つのコツ

では魚は冷凍はしないほうがいいのでしょうか?そんなことはありません。しっかりとした手順で冷凍することによって、限りなく少ないダメージで冷凍することができます。そのためには冷凍室へ入れる前にしっかりと準備をすることが大切です。

釣った魚はしっかり冷やす

まずはその魚の鮮度の問題です。一度冷凍して解凍された魚や、時間が経って鮮度の落ちた魚など、すでに身が劣化している魚を冷凍すると細胞が壊れやすく、解凍時にドリップが多く出て旨味もなくなってしまいます。

魚の『冷凍』完全ガイド 鮮度を保つ5つのコツ&保存期間延長法冷凍する時の鮮度も重要(提供:TSURINEWS編集部)

スーパーで魚が安いときに買って冷凍しておきたい……といった場合は、生の鮮度のいい魚を選ぶようにしましょう。また釣りの場合は、釣った魚はしっかりと保冷して持ち帰り、鮮度が落ちないようにすることが肝心です。

まるごと冷凍はNG

魚を丸ごと1尾冷凍する場合、内蔵から傷み始めるため、エラ、内蔵、ウロコは冷凍前に必ず取り除くようにしましょう。魚は内臓から腐敗が始まります。魚の臭みの原因は血液であり、エラには血液が特に多いため、保存前には必ず処理をしましょう。

水分を拭き取る

ドリップや水が付着したまま凍らせると、魚のダメージも大きくなるほか、臭みの原因となるので、必ず水分を拭き取ってから冷凍室へ。お腹を開いた魚の場合は、お腹の中も隅々までしっかりと拭くこと。切り身の場合は、身の表面に付いた水分をキッチンペーパーで拭き取りましょう。この一手間が非常に大事なのです。

空気に触れないようにする

上記の下処理をしたらあとは冷凍室へポーン。といきたいところですが、このままの状態で入れてしまうのはNG。最後まで丁寧に。魚の身を凍らせる際はラップにくるむだけでは物足りません。これは空気に触れると細菌が繁殖したり、酸化しやすくなったりするからです。

なるべく空気に触れないようにラップでしっかりと包み、さらにジップロックなどの保存バッグに入れ、空気をできる限り抜いて冷凍保存しましょう。

急速冷凍を心がける

冷凍室に入れたあと、凍っていく過程で細胞にダメージを与えやすい温度が存在します。その温度は−5から−1℃といわれていて、この温度帯の時間が長いほど細胞が膨らみやすく魚へのダメージは大きくなってしまいます。

魚の『冷凍』完全ガイド 鮮度を保つ5つのコツ&保存期間延長法冷蔵庫に急速冷凍機能がある場合は使ってみよう(提供:TSURINEWS編集部)

そこで、冷凍室内の冷風の当たる場所に置く、熱伝導率のいいアルミトレーに載せる、冷蔵庫の急速冷凍モード機能を利用するなどして、できるだけすばやく冷凍することで魚へのダメージを抑えることができます。

魚の冷凍保存期間と長期保存のコツ

冷凍庫保存の場合は低温で微生物の活動が抑制されるため、食品の腐敗はそうすぐには起こりません。とはいえ家庭用冷凍庫の温度設定ではドアの開け閉めや、霜取り機能での温度の上昇などで酸化が進み品質は劣化していきます。

基本的に保存期間は2週間程度を目安に、美味しいうちに使い切るようにしましょう。また、前述した下処理をより完璧に行うなど、さらに日持ちさせる方法もあるので紹介していきます。

脱水シートを使う

水分は劣化の原因となることを説明しましたが、キッチンペーパーで拭き取ったあとに脱水シートに包んで冷凍保存すると、さらにしっかりと余分な水分を吸い取ってくれるのでダメージが少なく冷凍できます。

魚の『冷凍』完全ガイド 鮮度を保つ5つのコツ&保存期間延長法脱水シートにくるんで冷凍(提供:TSURINEWS編集部)

また、解凍時にも包んで解凍を行うと、同様に余分な水分や、出たドリップを吸い取って臭みを抑制してくれるほか、旨味も凝縮されるので美味しく解凍が可能です。

下味冷凍や干物も◎

塩によって水分が抜ける下味冷凍や干物にすると、細胞が壊れにくくなるため長期間の保存が可能です。解凍時にドリップが出にくく、冷凍のまま焼いても味の劣化が少ないので、冷凍した魚を手早くおいしく食べられるのもメリットになります。

真空パックで保存

冷凍食品は空気に触れる状態でいると「冷凍焼け」と呼ばれる品質の劣化が進みます。「冷凍焼け」した食品は、酸化しただけで腐ったわけではないので食べられなくはありませんが、味は落ちてしまいます。

魚の『冷凍』完全ガイド 鮮度を保つ5つのコツ&保存期間延長法手頃な手動真空パック機も販売されている(提供:TSURINEWS編集部)

これを限りなく抑制できるのが真空パック。真空パック用の機械はある程度お値段がしますが、手動で空気を抜くタイプの安価な真空パック機もあるので活用するとおいしく食べられる期間がぐっと伸びます。

超低温冷凍庫なら1年以上も

長期にわたって品質を劣化せずに魚を保存したい場合は、超低温冷凍庫の導入が最強の手段です。温度設定がマイナス60℃以下の冷凍庫であればほとんど化学変化が起きず、鮮度が落ちないので長期保存でも刺身で美味しく食べることができます。

家庭用の超低温冷凍庫も高額ですが売られているので、釣った魚を釣りたて同様の鮮度でいつでも食べたい!というような場合に検討してみるのもいいかもしれません。

正しい解凍方法

では、丁寧に冷凍した身を解凍するにはどのようにすればいいのでしょうか。この時も、しっかりと解凍してあげないと、冷凍のときと同じように、魚の身が壊れてしまう恐れがあります。美味しさをキープできるオススメの解凍方法は「氷水解凍」か「冷蔵庫解凍」、「流水解凍」となります。

解凍のやり方

「氷水解凍」は氷水にシップロックや真空パックごと魚を入れ、氷を足しながら時間をかけて解凍する方法。「冷蔵庫解凍」は冷凍庫から冷蔵庫に移して6時間程度置いておくだけです。どちらもゆっくりと解凍することで魚へのダメージを減らすことができます。また、水道の水に当てて解凍する「流水解凍」も、家庭で実践しやすく、はやい時間で解凍できるのでオススメです。

その他にも下記のページで魚の解凍方法のコツについて詳しく紹介しているので、ぜひあわせて読んでみてください。

<TSURINEWS編集部>

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