ハゼ釣りから超深海釣りまでこなす釣り人が【釣り場で体験したちょっといい話】
2022年12月30日 16:30
抜粋
「人間一人では生きてはゆけません。必ず誰かの世話になり、他人を傷つけながら生きていくのです。それが人生です」瀬戸内寂聴さんのこの深い名言、釣りをしていて幾度か思い出すことがありました。今回は感謝をテーマに、ちょっと過去を振り返ってみようと思います。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)


遠征で痛恨の船酔い
沖釣りをはじめて間もないころ、といいうより、少し慣れてきたころ。我が家から200Km近く離れた北茨城まで遠征し、初めてオキメバル(ウスメバル)を狙ったのですが、この日の海は荒れ模様。ここ数回の釣行で船酔いは全くなかったことから、この日は高をくくって酔い止め薬は飲まずに船に乗り込んだのですが……これが全ての始まり。
船上にてキーパーの設置など、準備をしている最中からちょっとあやしくなりだし、ポイントについて釣りをはじめるころには、もう完全に気持ち悪くなっていました。何とか2回仕掛けを下ろすことはできたものの、2回目の仕掛け回収を終えたところでダウン。船長に両手でバツ印のサインを送り、キャビンへと入っていきました。
「せっかくこだわりの仕掛けを作ってきたのに、せっかく遠くまできたのに。あ~あ」ま、沖釣りあるあるの一コマなのですが……。この時はさすがに超がつくほど落ち込みました。そして、そのまま体調が回復することなく納竿の時間。
何とか最後の力を振り絞って、せめて道具を片付けるべく釣り座に向かうと、船長「かわりに釣っておいたから」。クーラーボックスを開けてみると、中はオキメバルでほぼ満タン。おまけでマダラも。もう、船長の優しい笑顔に感謝しかありませんでした。
帰宅後、満タンのクーラーボックスを妻に見せつつ、この日の感激を熱弁。
私:「だから、またお礼を言いに行かなければならない」
妻:「あっ、そう」
当日のクーラーの中(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)難し過ぎた超深海釣り
ベニアコウ、正式名称オオサガ。その昔、伊豆の回転すし店で1貫1000円、新宿のデパ地下で半身10万円という破格の値札を目撃した時は、まさかこの魚を自分の手で釣ることになるとは想像できませんでした。
当時はこの釣りに関してネットや書籍での情報がほとんどなく、出船する船宿もごく少数であったことから、今よりもハードルは格段に高い釣り物でした。偶然、釣り雑誌で特集が組まれていたのを見つけ、これを基に道具や仕掛けなどを準備。最後は船宿への予約電話にて、足りない情報を仕入れ、もう「勢い」でここまでたどり着く。
ベニアコウの握り寿司(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)当たり日に釣行
さて釣行当日。この日は年に数回の「大当たり」の日であったらしく、3投目を終えた時点で皆さん恵比須顔。そして私は……ただ一人本命型見ず。600号のオモリをもってしてでも、水深1000mの底が全くわからないという、もう、お手上げ状態でした。
海面に浮かんだベニアコウ(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)周囲からサポート
次はラストの4投目。ワールドカップPK戦、ここで外したらおしまい、といった心境だったと思います。そんな時、
釣り人A:このタコベイトつけてみなよ!(この日のヒットカラータコベイトを分けてくれました)
船長:仕掛け入れれば、俺が見ててやるから!(釣らせる気満々が伝わってきました)
釣り人B:釣れなかったら1匹持って行っていいよ!(1匹ウン十万の魚、マジですか、って思いました)
ラスト4投目を無事済ませ、しばらくして船長「底ついてるよ」。船長にそう言われて尚、竿先から伝わる着底の合図は全くわからず。糸ふけは100m以上出ているようですが、これでも潮は緩い方だったようです。ベニアコウ釣り、もう、何もかも次元が違う釣りなんです。
そしてしばらくして「アタッタよ!」何やら私の竿に本命らしいアタリがあった模様「糸送った方がいいですか?」「もう遅い!」この辺の判断は…あれから10年以上経った今でもよくわかりません。
「釣れなかったらこれやるよ!」男前すぎです(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)ついに本命をキャッチ
そして運命の回収。竿は明らかな重量感でしなり、そして水深の半分を過ぎたあたりで竿先は「ガクガクッ」。巻き上げの30分間、もう心臓バクバク。そして周りでは深紅の提灯がポツンポツンと浮かび、歓声と雄叫びが上がりだす。やがて私の糸も船長の粋な演出(操舵)にて真正面にのびていき、最高のフィナーレ!周りの方達からおめでとう攻めにあい、船長は言葉こそ発しなかったものの、にこやかな顔でこちらを眺めていたのを今でも覚えています。「ありがとうございます!」何度言っても足りない位でした。
2.8kg、イバラヒゲ、ホラアナゴのおまけ付き!(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)ハゼ釣りで1年越しの感謝
最近はあまり行かなくなってしまったのですが、父が元気だったころはよく江戸川区を東西に流れる船堀新川という運河に出かけていました。ここはダボハゼが多く、単純にハゼを釣るだけならやや苦戦を強いられることが多いポイントなのですが、近くに朝10時からやっている格安の居酒屋、通称せんべろがあることから、むしろここが目当て。ま、親子そろって「のんべぇ」でして(笑)。
こちらはのんべぇ親子思い出の店(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)見知らぬ親子
さてある日のこと。釣り開始からポツポツと数を重ね、あとはせんべろの開店時間までの消化試合、といった雰囲気になってきたころ、お母さんとその息子さん(小学校3~4年生位?)の2人が近くにきて「何が釣れるんですか?」と声を掛けてきました。何やら最近近所に越してきたらしく、息子さん釣りに興味がありそう。そしてお母さん釣りをやらせてあげたそう。なんとなくその場のノリで「やってみない?」。
こういうのって、親切のつもりで声をかけても、相手にとっては余計なお世話であることも否めないので、私はまずこういうことをしないのですが…この日は何故かサラリと言ってしまいました。息子さんニッコリ、お母さん「ありがとうございます!」
ハゼをお裾分け
10分位、3匹釣った所で、お母さん気を使い、「そろそろ行きます」せっかくなので、息子さんが釣った3匹と、それまでに釣った約30匹も持たせてやることに。後で父に話すと「俺のも持たせてやればよかったのに」。ま、あまり持たせても逆に大変だろうし。
ハゼ(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)翌年に再会
翌年。毎年恒例のせんべろ、ではなく、船堀新川に2人で行き、ハゼ釣りをしていると、「こんにちは~」なんと昨年あった親子に再開。しかも、2人とも釣り竿を持っていました。なんでも、昨年渡したハゼで作った天ぷらが美味しかったようで、釣具屋さんに行って道具を揃えたとのこと。「あっちの方がダボ少ないですよ!」もう、かなり通っている様子でした。「後で行ってみます!」。
わざわざコンビニに行って、缶コーヒーを買って差し入れしてくださり、改めて「あの時はありがとうございました」とお礼を言われてしまいました。いやいや、こちらこそたっぷり心を豊かにさせてもらい、逆に感謝の気持ちでいっぱい。ありがとうございました。
ヘチはダボハゼが多い釣り場(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)釣りで経験したありがとう
色々と過去を振り返りながら、これまで経験した多くの感謝を3つに絞って書かせていただきました。勿論、いいことばかりではなく、不快な出来事もあったり、逆に迷惑をかけてしまったこともあったり。でもやっぱり、感謝することの方が圧倒的に多かったかな。
釣りは私にとって人生そのもの。冒頭に書かせていただいた瀬戸内寂聴さんの名言、釣りに置き換えると正にピタリとはまります。初心者だった私も、今ではベテランの域に差し掛かってきました。今後はこれらの経験を「感謝」の意を込めつつ、読者様にとっての有益な情報として、時には笑いを交えながらこのページで発信できればと思う、今日この頃です。
<尾崎大祐/TSURINEWSライター>
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