寒い冬の夜でも熱くなれる 【虫エサで狙う堤防根魚釣り】入門解説
2023年01月27日 11:30
抜粋
この冬は寒さが例年以上に厳しく感じる。クリスマス~年末年始にかけて寒波が襲来し、名古屋市内では10cm以上の積雪もあった。海の中の魚もさぞや凍えているだろうと思うが、それでも根魚たちは元気いっぱい。寒い夜は身近なベイエリアで、癒やしの根魚たちと遊んでみてはいかが。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
冬に狙える魚種
根魚といっても魚の種類はいろいろ。中でも最もポピュラーで人気が高い魚種がカサゴだ。他の魚に比べて絶対数が多く、そこにいれば食ってくる……と言ってもいいほど、エサに対してどん欲で非常に釣りやすい。
また食べてもおいしいことも、人気がある要因だろう。淡泊な白身はどんな料理にしてもおいしい。
他によく顔を見せるのがタケノコメバル。東北ではベッコウゾイと呼ばれ、こちらも人気のターゲット。東北ほど大型が出るわけではないが、ルアーにも反応が良くこちらも人気の魚だ。
そしてムラソイ。こちらも小~中型がメインとなるが、カサゴやタケノコメバルと並んでベイエリア根魚御三家ともいえる存在だ。
いずれも低水温に強く釣り物が少ない真冬において、アングラーの強い味方となってくれる。
今季の概況
今年は愛知県の名古屋港界隈でも三重県の四日市港界隈でも、この根魚に関しては芳しい情報はあまりないのが現状だ。はっきりいえば、どの魚種も絶対数が少ない。ルアーで狙っている釣り人に聞いても、状況次第では顔を見るのがやっと……という日もあるようだ。
それでもそこは癒やしの根魚たち。どんなに寒くても条件が厳しくても、狙い方次第では十分釣果を得ることができる。今回はエサ釣りを基本に、ルアーの要素もミックスしたハイブリッドな釣り方を紹介したい。
タックル
用意するタックルは1セット。硬めのメバリングロッドか、ややファーストテーパーのアジングロッドだ。長さは7ft(2.1m)前後が扱いやすい。足元はもちろん、キャストして少し沖の底をじっくり狙うこともできる万能タックルだ。
合わせるリールはスピニングリールの2000番クラス。できればハイギアタイプを選びたい。ラインはフロロカーボンラインの1.5~2号か、PEラインなら0.6~0.8号。PEラインなら先端にショックリーダーとして、フロロカーボンラインの2号を1mほど結束しておく。
仕掛け
一般的にエサで根魚を狙う場合、胴つき2~3本バリの仕掛けを使うことが多い。仕掛けの全長は60~70cmでミキイト1.5~2号、ハリス1~1.5号といった具合で、多くの市販仕掛けも販売されている。根掛かりすることも考えて、1回の釣行で3~5セットぐらいは用意しておきたい。
もちろんこの仕掛けだけでも十分なのだが、今回は少しルアーの要素を取り入れて、ジグヘッドも用意したい。まだ種類は少ないが、エサをセットするためのジグヘッドも販売されており、特にカルティバの虫ヘッドはムシエサの使用を前提して作られたジグヘッドだ。
エサをルアーのように動かして誘うと、胴つき仕掛け、あるいはワームで釣るより、驚くほどアタリが増える。こちらも根掛かりを考慮して、少し多めに準備しておきたい。また水深に応じて底を取れる重さのジグヘッドを用意するようにしよう。
エサ
エサはムシエサが最も使いやすい。アオイソメが一番だが、購入するときに太めか細めか選べるのなら、細めを選ぼう。選べず大きく太いものしかなければ、半分に切って使う。
他にもサンマの切り身や冷凍キビナゴ、冷凍ウタセエビ、冷凍ホタルイカなども効果的。多種類準備する必要はないが、こういった身エサがあると、ムシエサでアタリが減ってきたときに使うとアタリが復活することがある。
エサの刺し方だが、アオイソメは胴つき仕掛けにはチョン掛け。ジグヘッドなら頭の少し下からハリ先を入れ、通し刺しのようにする。
切り身は胴つきであれば、皮の端にチョン掛けにする。ジグヘッドは皮の端から身側へいったんハリを入れ、ハリ先を返して皮側へハリ先を抜く。縫い刺しというやつだ。
狙うポイント
ベイエリアの堤防で狙うべきポイントは3パターン。足元の底付近、沖のカケアガリの底付近、そして水面から底までの壁だ。最初の2つは分かるが、最後の壁って?と思った人も多いと思う。
根魚=底というのは広く知られていると思うが、底以外にも深さに関係なく、壁に付着したカキ殻などに身を寄せている個体も多くいる。水面から底まで、足元の壁には多くの障害物が付着し、根魚たちの格好のすみ家になっているのだ。
例えばジグヘッドを岸壁際ギリギリに落とし込んでいくと、水面直下でカサゴが食ってきた……なんてことも珍しくないのだ。
胴つき仕掛けの釣り方
胴つき仕掛けでの釣り方から説明しよう。仕掛けを足元まで落とし、オモリが着底したらゆっくり30cmほど底を切って少し待ち、アタリがなければ再び底へ落とす。
基本的に胴つき仕掛けでの釣りは、待ちの釣りになる。少し待ってアタリがなければ場所をずらして、同じように探っていく。
タナは壁から離れていれば底オンリー。壁ギリギリを攻めるなら、水面直下までじっくり探りたい。アタリがあってもサオ先が絞り込まれてからアワせるようにしよう。
ジグヘッドの釣り方
ジグヘッドであれば足元に落としてもいいが、基本はキャストする釣りになる。キャストして底を取ったら、ゆっくり持ち上げて落とす。この繰り返しだ。また持ち上げてしばらくステイさせておき、いきなりスッと横っ飛びさせる。静と動を繰り返すことで、魚に対して強烈にアピールするわけだ。
また着底と同時に手元にコツンとくるアタリもあり、そんな場合は即アワセ。ロッドにしっかり重みが乗ったら、テンションを緩めず一気に巻き上げよう。モタモタしていると、あっという間に根に潜られてしまう。
もちろん足元に落としてもいい。特にベイエリアによく見られる大型船の接舷バンパーには、多くの魚が着いている。その場合も壁際ギリギリを水面直下までしっかり探ろう。誘い方はリフト&フォールが基本。
もし根に潜られたら、まずは慌てないこと。張らず緩めずに待ち、魚が動く感覚が伝わってきたら一気にテンションをかけて勝負をかけよう。
資源保護に協力を
近年に限らず、身近なベイエリアではどんどん根魚の小型化が進んでいる。釣っても釣っても10cmに満たないような小型しか釣れないポイントも多い。原因は乱獲。根魚はビギナーにもとっつきやすく、釣りやすいターゲット。その分釣り荒れも早い。
食べておいしい魚だけに、キープすることは決して否定はしないが、過剰なキープは控えて食べる分だけを持ち帰るようにしていただきたい。また食べない魚は弱らないうちに、速やかにリリースを。いつまでもこの魅力的な釣りを楽しめるよう、皆で協力をお願いしたい。
<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>