渓流エサ釣りで狙うべき【代表的な4つの流れと仕掛けの流し方】を徹底解説
2023年02月03日 11:30
抜粋
厳しい冬も終わり、今年はフィッシングショーも復活した。いよいよ渓流のシーズンが近づいてきた。そこで今回は、仕掛けの流し方で重要となる上波と底波、反転流について解説したいと思う。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 石橋英之)
川の流れについて
川の流れは大きく分けて、表層を流れる上波と川底を流れる底波に分かれる。止水ポイントや暖かくなり虫に反応して水面を意識しだすとき以外は、基本的に魚はこの底波にいる。つまり仕掛けをいかに底波(反転流)に入れられるかが、釣果を大きく分けると言っても過言ではない。
一般的に表層は流れが速く、底波は底石に流れが吸収されるために流れが遅くなる。つまり底石が大きい場所は、小石底に比べ底波が遅くなっているということだ。ぱっと見、水面が波立っているポイントは流れが強そうだが意外と底波は遅く、逆に水面がおとなしいポイントの方が押しが強いことが多い。流れが速い表層をいかにクリアして、底波に仕掛けを入れられるかだ。
ポイントはオモリの重さ
私はポイントに立つとまずどこで仕掛けをナジませるか、どこで食わせるかを考える。写真(1)は一般的な上流域のポイント。このように底石が大きいポイントは流れのヨレができやすく、1つ1つのヨレに仕掛けをナジませて流せばいい。底石の裏などのポイントを狙い撃ちできる。
難しいのは天然物を狙うときなど、底石が一定の平瀬だ。仕掛けをナジませるヨレも少なく、上流にダイレクトに投入せざるを得ないのだが、ここでポイントがオモリの大きさだ。
どうしても流れを見て大きめのオモリを使いがちだが、この場合底波に入ったときに大きすぎて底石にかんでしまう。根掛かりが多い場合は、ワンランク小さめを使うと良い。私は基本1号からスタートし、流れに合わせて替えている。
アタリの見分け方
次に悩ましいのが、仕掛けがナジんで底波に入った瞬間、一瞬仕掛けが止まってこれをアタリと間違えること。私も初めは間違えてアワセを入れており、掛からないなぁとぼやいていた。これを避けるには、まず仕掛けがナジんでからこの現象が出るまでの時間を意識すると解消できる。
もう1つの方法は、止まった瞬間に穂先を張ってサオ先で聞きアワせること。このとき張りすぎると、底波を切ってしまうので要注意。ここで大事なのが目印の位置だ。一番下を水面ぎりぎりにして仕掛けを流す。
具体的な攻略方法
底波に仕掛けが入ると、目印の流れるスピードが遅くなる。水面の流れと目印のスピードが一緒のときは底波に入っていない証拠だ。流し直すかオモリをワンランク大きくして底波に入れる。
底波を捉えたら、イメージは穂先を10cmほど上げる感じ。ここで穂先に本アタリがあればアワせよう。底波を意識して流していればすぐに慣れてくる。
さて具体的に実際のポイントで説明しよう。写真(2)はよく見る沈下橋のポイント。多くの人が沈下橋からサオを出そうとしていることが見受けられる。ノベザオでこのポイントを橋から上流に向かって釣った場合、仕掛けを投入しナジんだころには、仕掛けが張った状態で足元に流れてくるので仕掛けは底を切ってしまう。
同じく下流側を釣る場合、足元から仕掛けをナジませることができないので下流に投入せざるを得ず、これも仕掛けが底波に入らずにポイントがズレてしまう。仕掛けが弾かれないようにするには、よほど大きなオモリを使って直接ポイントを狙うことは可能だが、投入ポイントしか釣れず仕掛けを流して広範囲に狙うことはできない。
このポイントでも両側にはヨレができており、ココは直接狙うことができる。この日は追加放流で釣り人も多く来ていたが、もし他の釣り人がいない場合は基本橋下流左岸に立ち、仕掛けを橋直下に投入してまず手前のヨレを釣り、次に右岸のヨレを狙う。
本命は流芯
最後に本命の流芯を狙うが、直接仕掛けを入れるのではなく右岸のヨレで仕掛けをナジませ、サオ先で手前に誘導し流れに乗せる感じだ。
両岸のヨレは釣りやすくて魚が残ることは少なく、この流芯が本命ポイントになることが多い。基本は仕掛けを流して釣ることが大事だと思う。成魚放流物でも前述したヨレのポイントも、初めは反応もいいもののスレるのも早い。反面流芯は水深もあり流れも速いため、ここにいる魚はやる気のある魚が入っていることが多い。いかにこの流芯を釣るかで、釣果が変わってくると思う。
反転流
次に上波と下波の流れが逆になる反転流。写真(3)は上流域や支流でよく見るエン堤のポイントだ。エン堤から落ち込んだ流れだが、上波は当然下流に流れている。しかし底波は逆に上流に向かって流れている。
魚は底波にいるので、仕掛けを下流か上流に向かって流さなくては掛からない。具体的には立ち位置は下流側で、自分の上流正面に仕掛けを投入する。当然仕掛けは下流に流されるが、ここでサオを上げずにそのままの状態をキープする。
しばらくすると、オモリの自重で仕掛けが徐々に立ってくる。目印で仕掛けの状態を確認するので、目印は高めに設定しておく。仕掛けが流れに直角になると、仕掛けが底波に入った証拠だ。
ここからが本番。サオ先を下げて、仕掛けを送り込んでいく。表層の流れに逆行して目印が上流に向かっていくのは不思議だが、これで魚のいるポイントに入った。
アワセについて
次にアワセだが目印が逆行しているため、目印でアワせるのは難しい。一般的にやる気のある魚であれば穂先を押さえ込むアタリが出るが、ひと通りやる気のある魚が釣れると難しくなる。そこで仕掛けを送り込みながら、一定のリズムで仕掛けを張り、穂先でアタリを取る。
このとき仕掛けを底波から切れないように、穂先を10cmほど上げる。穂先を上げる、送り込むを繰り返してサオ先で聞くイメージだ。慣れてくるとアタリが出るタイミングとポイントが分かってくるので、私は空アワセを入れテンポ良く聞きアワせると数が出る。
この釣り方は当然下流からしかできない。以前解禁日に私はエン堤下流から、他の釣り人がエン堤上から同じポイントを交互に釣っていた。
1時間ほどで私は30匹ほど釣れたのに対し、上流の人はほとんど釣れない。同じポイントでも仕掛けの流し方で、底波を捉えられるかが釣果に大きく影響するのだ。
ICパターン
さて最後はICパターンとYパターン。ICパターンは写真(4)のように、上流域の流れ込みやエン堤下の落ち込みの両サイドに現れる反転流だ。写真(4)の場合だが、石の狭い間から流れ込むと、メインの流れは勢いよく下流に流れる。
この両サイドに流れる反転流が発生する。先述の落ち込みの両サイドも同じだが、この反転流は上波と底波が一緒で比較的流れも緩く、直接仕掛けをナジませることができる。
仕掛けを直接反転流に入れ、そのポイントで一周させる。ここでアタリがないときは、サオで仕掛けを流れにねじ込む。通常白泡が切れる所が一級ポイントになるが、ここも直接仕掛けを入れることはできないので、反転流でナジませてから流すイメージだ。
このICパターンの反転流は、魚を掛けるポイントと仕掛けをナジませて流れ出しを狙うという2つの要素がある。エン堤では先ほどの反転流の入れ方と、このICパターンで入れる方法があるので、同じポイントでも2種類の釣り方で攻めるといいだろう。
Yパターン
Yパターンだが、これは上流域から本流までよく見る。川には流れの筋がいくつもあり、この流れが合わさる所がYパターンだ。魚はこの合わさる所でエサを待っているわけだが、魚にとって本命の流れがあるようだ。
図(3)だが、以前本流で釣っていたときに図(1)の流れでエサを流すと、エサは取られるもののハリに乗らない状況が続いた。
そこで今度は図(2)の流れから流すと、きれいに目印が入り30cmオーバーが一発で掛かった。この時は魚が図(2)の流れを意識していたことが分かる。アタリがあってもハリに乗らない場合は、流す筋を変えると良い。
解禁日などで目印が横に走るアタリが出ることがあるが、これは上流から魚がエサを追いかけ反転したときに出るアタリだ。魚の活性が良い証拠だが、少しポイントがずれていることが分かる。ポイントが合っていれば目印が止まるアタリになるので、流す筋を調整するといいだろう。
仕掛けの工夫
サオは仕掛けをナジませて流芯に誘導したり、仕掛けを張ったりする操作を考えると、チューブラ穂先がやりやすい。ソリッドは食い込みが良く、細仕掛けが使えるメリットがある。
私は解禁日の朝一の食いが良いときはチューブラを使い、ヨレを重点的に狙って数を稼ぐ。スレてきたところで、ソリッドに替えて細仕掛けで流す。
細仕掛けの最大のメリットは上波の影響を受けにくく、底波に入れやすいこと。実際に0.15号のラインに1号のオモリと、0.2号のラインで同じ1号のオモリを使ったときに、明らかにナジむスピードが変わった。ポイントに合わせた仕掛けを選ぶことも大事なことだと思う。
最後に
コロナ過で趣味の世界にも変化が出てきた。渓流釣りは密を避けてできる楽しみだが、ゴミの持ち帰りや解禁日の場所取りなど、マナーを守って楽しんでほしい。
<週刊つりニュース中部版 石橋英之/TSURINEWS編>