【ヤリイカ&スルメイカ】イカ釣り11の基礎を徹底伝授!【前編】
ヤリイカ・スルメイカ狙いの春の沖イカ釣りの基礎知識をまとめた特集。前半の今回はヤリイカMAP・沖イカタックル・ツノとオモリ・ブランコ仕掛けの作り方について解説します。また、関東エリアのヤリイカ釣りが楽しめるおすすめの釣り船も紹介します。
船釣り専門WEBメディア「船釣りマガジン」2023年02月13日 11:00
イカ釣り11の基礎を徹底伝授!【後編】(喜平治丸/三浦半島剣崎間口港)
これから春本番へ向けては沖のイカ釣りが最も盛り上がる時期。
イカ釣りにハマっている人はもちろん、初めてチャレンジする人も多いだろう。
そこで今回は初釣行でも困らないようイカ釣りの基礎となる11の知恵をまとめてみた。
ヤリイカ・スルメイカ狙いの春の沖イカ釣りの基礎知識をまとめた特集。前半の今回はヤリイカMAP・沖イカタックル・ツノとオモリ・ブランコ仕掛けの作り方について解説します。また、関東エリアのヤリイカ釣りが楽しめるおすすめの釣り船も紹介します。
船釣り専門WEBメディア「船釣りマガジン」ヤリイカ&スルメイカをゲットするための基礎知識を11項目にまとめた特集です。中編の今回は直結仕掛けの作り方・釣座の配置・ヤリイカの釣り方について解説します。また、関東エリアのスルメイカ釣りが楽しめるおすすめの釣り船も豊富に紹介します。
船釣り専門WEBメディア「船釣りマガジン」イカ仕掛けをきれいに巻けるということは、すみやかに出せることを意味する。
それは揺れたり風が吹く船上でトラブルなく投入する=つまりイカを確実に手にする上で、とても大切なスキルだ。
であるから、ここでは、
・市販仕掛けであっても、自宅で箱から出して仕掛け巻きに巻いて持参することをおすすめしたい。
え?と思うかもしれないが、これは実戦的な知恵。
当然ながら市販品は見栄えよく仕舞うのが第一義で、速やかに出せるかどうかは別。
いったん糸グセを取りながら仕掛け巻きに巻き直すことでトラブルを未然に回避できる。
肝心の仕掛け巻きについては以下の特徴を踏まえて選んでみよう。
・掛け枠タイプ=素早く出し入れでき、ツノ数が増えても、長いツノでも対応可能。ただしかさばる。
・シートタイプ=美しく巻けてかさばらない。ただし出し入れの素早さ、収納できるツノ数では掛け枠のほうが上。
・プラスチック仕掛け巻き=最もコンパクトに収納できるがツノを収めるには折り返す回数が増えるので糸グセがつきやすい。
本格的なイカ釣り師を目指すなら、掛け枠タイプがおすすめ。
プラヅノ11~14cm、ツノ数5~8本であればシートタイプでも十分だ。
①オモリ用スナップを枠へ、あるいはゴムで掛ける②ツノが半端な位置にきたら③軸を変えて幹糸を調整④ブランコ仕掛けの場合はシートタイプと同様に幹糸を折り返してカンナに掛けて固定⑤固定用のゴムはヘアバンドなどを使うと溶解せずに長期間保存できる
手前からプラスチック仕掛け巻き、掛け枠、シートタイプ。いずれにせよ必須条件は「イカヅノよりも長いこと」
①一番下のツノを掛け、捨て糸を巻いてオモリ用のスナップを止める②幹糸を逆方向へ巻き付け、ツノのカンナに掛けて折り返す③そのまま幹糸を巻いていき次のツノがきたら刺して④再び幹糸を②の要領で折り返してカンナに掛け幹糸を巻いていく⑤ツノが半端な位置に来てしまったら・・・⑥ツノの手前の幹糸を仕掛け巻きに斜めに巻くなどしてツノの位置を調整する
①残り15mを切ったらそーっとキーパーに掛けて、ハンドルを回して追い巻き②海面下にヨリ取り用リングが見えたところで竿を立て、船ベリの内側に引き入れる③絡まないように幹糸をたぐり、1本目のプラヅノをつかむ(この後は以下2パターンへ)
(左)ブランコの取り込み①ツノを大きく引き上げて、もう一方の手で枝スのやや手前をしっかりつ かむ②イカを引き上げて片方のツノは投入器に収める③空いた手でツノをつかみ、引き入れながらカンナをくるりと上に向けるとイカが外れる(右)直結の取り込み①仕掛けが緩むとイカが外れてしまうので、どんどんたぐって座席の上に置く②オモリまで上げたらしっかり道糸をつかみ一手ずつゆっくりと下ろしていく③道糸をほぐしながら下ろしていく。イカに掛かっていたツノは自然に外れる
イカの取り込みは最も心拍数が上がる場面。
バレやしないかとハラハラするけれども、確実にこなしたい。
重要なのはプラヅノに掛かったイカに常にテンションをかけておくこと。
プラヅノのカンナはカエシがないから、糸が緩むとイカが抜けやすくなる。
イラストの中で細心の注意を払いたいのは、上に並べた手順1~3。
電動リールは船ベリ停止機能が作動して次第にスローになって止まる仕組みだが、止まった瞬間の反動でイカがバレてしまうことがある。
そこで、巻き上げがスローになったらハンドルを巻いてテンションをかけ続け、流れるような動作でヨリ取りリングを引き入れ、仕掛けを緩めずたぐり上げていく。
ブランコ仕掛けは構造上イカがバレにくい反面、雑にさばくと手前マツリしやすい。
イカを外しながら取り込み、ツノは投入器へきっちり収めていけばスムースに次の投入へ移行できる。
ツノが緩むとイカが抜けてしまう直結仕掛けは、のんびりとしていられない。
手を止めずに取り込み、慣れないうちはツノもイカも座席の上に投げ置いてしまおう(足元に落とすと水流で押し流されて団子になるので注意)。
その後、仕掛けをほぐしながらオモリを海中に下ろしていけば元どおりになり、イカも自動的にカンナから外れてくれる。
釣りの手を止めてしまうトラブルはイカ釣りでもよくあること、いかに素早く復帰するかを考える。
・周りの人とオマツリした
まず、絡んだ仕掛けは船上に引き上げないこと。
さらにひどく絡んで修復不可能になるからだ。
必ず海中にオモリをぶら下げ、テンションをかけた状態で上から解いていこう。
・仕掛けが手前マツリした
団子になってしまったら新品に交換せざるを得ない。
しかし2本程度のツノが強固に絡んで解けない場合は前後の幹糸をカットして、サルカンなどを介して接続すると手早く再投入できる。
例えば7本ヅノは5本ヅノに減ってしまうものの、チャンスタイムを逃すよりはまし。
乗りがよければ十分釣れる。
・枝スが切れた、縮れた
縮れて傷んだ枝スはイカの乗りが落ちるし、サメやサバに切られることもある。
ハリスを結んだ予備のツノを持参して素早く結び直したい。
・サバにツノを飲まれた
喉奥までツノを飲まれると引き抜くのも大変で、ナイフやハサミで腹からアゴを切り裂いて取り出す人が多い。
また、下に使い方を紹介したサバ外し棒という便利グッズも販売されている。
本体は内径13㎜程度の塩ビ管、先端に電気配線用のツバ管(内径9㎜程度)が付けられ、管に沿って幅2㎜ほどのスリットが入っている。
自作も可能だがスリットを入れる電動工具が必要なので、買ったほうが手っ取り早いだろう。
オマツリしたら海中に仕掛けが入った状態で、上から解いていく
ツノ2本が固く絡んでいたら、幹糸の上下をカットしてサルカンで接続。急いで投入したいチャンスタイムの応急処置だ
(上)枝スが傷んだらヨリチチワとの結び目をカットし、深海結びなどで新たなプラヅノを結び直す(下)枝ス付きのプラヅノも数本準備しておこう
①飲まれたプラヅノにパイプを差し込んでいく(ハリスと幹糸はパイプのスリットへ)②ハリスと幹糸を引っ張って、プラヅノのカンナをパイプの先端にしっかり引き寄せる③ハリス、幹糸、パイプをしっかりと握って、軽くねじりながらプラヅノを引き抜く
形状や商品名は多様ながら、実勢価格は800円前後と安価
「やっぱり釣りたてのイカは違う」
自分自身はもちろん、食べてもらう相手にもそう感じてもらえば釣り人冥利に尽きるというもの。
その鮮度がはっきりと分かるのは、表皮の色つや、さばいた身の透明感、歯応えのある食感などだろう。
ところが魚と違ってイカ類は、水氷にどぶ漬けにすると白濁・硬直して見た目が悪くなってしまう。
そうならないためには、水に触れないようにビニール袋などに入れ、砕氷やペットボトル氷などを敷いたクーラーボックスに入れて持ち帰るとよい。
これから春の大きなヤリイカを入れるビニール袋として昔から愛用者が多いのは、長細い形状の傘袋。
1~2杯ずつ小分けにして収めて持ち帰ればそのまま知人やご近所さんにお裾分けできるし、冷凍保存も簡単だ。
少し厚手の丈夫なビニールで作ったイカ専用袋も発売されているので、釣具店やネットショップを覗いてみてもいい。
イカの色つやに徹底してこだわるならば、水が切れるザルやトレイにイカを並べ、クーラーボックスに入れて持ち帰る方法もある。
ビニール袋はイカから出た水分がどうしても溜まるので、身が浸った部分は白濁してしまう。
また、鮮度を最良に保つためには魚と同じくイカも生き絞めにする。
よく知られる簡単な方法は、イカの両眼の間をハサミやナイフで刺す絞め方。
表皮の色がサッと透明になる。
水産研究機関が生き絞めにして即殺した個体と、空気中で放置して苦悶死させた個体を比較したところ、生命活動のエネルギーの源とされるATP(アデノシン三リン酸)の含有量は生き絞めにした個体のほうが圧倒的に多かったそうだ。
ATPが多いほどイカの身の透明感も保たれるそうだから、鮮度を保持するには生き絞めにしたほうがいい。
HOSOYAKAMITEN(細谷紙店) 恵比寿さまの大漁袋 Mサイズ
①バケツからイカを取り出し、しっかりと水を吐かせる②ハサミやナイフで両眼の間を突き刺し、生き絞めにする③袋に入れて空気を抜く。袋ごと水に浸けると手早く抜ける④ビニールの口を縛って、下氷を敷いたクーラーで保管
右はアルファタックル「イカ~す袋」、左は細谷紙店「恵比寿さまの大漁袋」、中央は傘袋
小分けする必要がなければ、大袋をクーラーに広げてイカを入れてもいい(写真は恵比寿さまの大漁袋)
あると便利な小型のイカギャフ
シマノの「冷えキントレイ」。保冷効果の高いステンレス製のトレーで、クーラー内に重ねて収納できる
隔週刊つり情報(2022年3月1日号)※無断複製・転載禁止