岸和田一文字にタチウオ絶賛回遊中で釣り人熱中【大阪】上級者は2ケタ釣果
2023年09月22日 11:00
抜粋
2023年初秋、岸和田一文字にタチウオの大群が突如到来した。急遽駆けつけた私(筆者)の釣果はへっぽこ釣り師丸出しのアワセ下手で4匹と全然ダメだったが、全体では二桁釣果続出、常連はパレット山盛りの驚愕の釣果を叩き出したという、千載一遇の日となった9月9日の活況をレポートしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)
岸和田一文字でタチウオ回遊
ここ3年ほど、大阪湾の波止釣りのタチウオは不振が続いていたが、2023年9月8日夜に見た岸和田渡船のホームページを見て仰天。タチウオの二桁釣果が複数掲載されていて「明日は多数の来客が予想されます」、「今後、午後便もネット予約にする予定です」と運営上の緊急コメントが掲載されていた。
今、瞬時に決断するしかないと、慌ててタチウオ釣りの準備にかかり、翌日9月9日午前、岸和田渡船乗船場へと車を走らせた。
なお、岸和田一文字の詳しい特徴その他の解説は、過去の投稿「大阪湾の沖波止紹介:岸和田&泉佐野一文字 都市近郊でアクセス良好」をご覧いただきたい。
13:00発便で釣り座を確保
波止のタチウオ釣りは夕暮れ以降の半夜釣りとなるが、昨年の経験から早いうちに渡提して釣り座を確保しないと釣りにならないと、13:00発便に間に合うように乗船場に到着。
受付事務所では船長とスタッフが当日と翌日以降のオペレーションに思案を巡らせているようで、いつもよりも表情が硬い。乗船受付を済ませると、「沖の北(岸和田沖一文字)の沖向きなら、釣果は場所に関係ない。旧一文字でタチウオ釣りをやっている人は今のところいない」という話を聞いて、乗船場に向かうと、ルアーロッドを携えて出船を待つ釣り人の並び列の雰囲気は、残暑の暑さ以上にヒートアップ。予約無しで乗船出来る幸運な週末を逃すまいと釣り人は続々と訪れ、13:00発便は定員近くの釣り人を乗せて出船した。
大半の釣り人は岸和田沖一文字で下り、1人あたり波止のケーソン1ブロックのルールに従って、それぞれの釣り座を確保した。
この時点で北端から中央の小屋までの間の釣り座はほぼ埋まり、15:00発便の釣り人は船上のスタッフに誘導されて中央の小屋より南方向に足を運んでの釣り座探しとなり、17:00発便の釣り人は沖向きの釣り座が確保できたか否か危ぶまれる状況だった。
この投稿が掲載される頃には、渡船は予約制になり、釣り座のルールや注意事項も一部変更されていると思うので、釣行前には必ずホームページを確認してほしい。
タチウオ釣りのタックル
釣り座を確保したのでタックルの準備にかかる。メインのタチウオ釣りのタックルは、48gまでの重さのルアーのキャスティングに耐えられる10FTのショアジギング用ロッドに、5号ナイロンラインを巻いたスピニングリールとタチウオテンヤという仕掛けという、エサ釣りにこだわる私ならではの珍妙な組み合わせ。
初秋ということで、タチウオの個体は小型中心なのを念頭にテンヤはSサイズを選んだが、ヘッドの重量が軽いのが難。そこで遠投重視の仕様にするために手を加え、スイベルを使ってオモリを4g足した。発行体はポピュラーなイエロー(黄緑色)ではなく、ケミホタル75のブルーを選んでタチウオの目を引くようにした。
夕暮れまでは、飛ばしウキでのノマセサビキ釣りで時間つなぎを決め込む。タックルは大サバ狙いの時の組み合わせを流用。本来は5号の磯竿を用いるところだが、今回は4.2mの細身の投げ釣り用の竿に中通し発泡ウキ、サビキは8号針・ハリス7号のフラッシュ仕様の船釣り用のサビキの組み合わせとし、その下には15号のドンブリカゴのテンビンにハリス4号・2本針の仕掛けも付け加えた。
サバが多くウルメイワシは数がまとまらず
内向き(陸向き)サビキ釣りをしていた隣の釣り人からの「イワシも釣れますよ」との声に、イワシはお宝だと心惹かれてノマセサビキ釣りの予定は先送り。ノマセサビキ釣りのタックルをそのまま使って内向きでの釣りに取り掛かった。しかし、アタリは頻繁にあるが、サバの猛襲にウンザリ。
お目当てのウルメイワシは数がまとまらず、15:30頃に切り上げて、沖向きのノマセサビキ釣りに転向。夕マヅメ近くの青物の回遊を待ち望んだが不発に終わり、周りでもルアーマンによる2匹のサゴシ(サワラの幼魚)を見たにとどまった。
夕暮れ近くから引き釣り開始
17:00発の便が船着き場に着いたのを見て、本命のタチウオテンヤの引き釣りを開始。当日は長潮だが19:00過ぎの満潮に向けての上り潮で、タチウオの地合いは期待できる。
最初はタチウオに一段上のアピールが効く冷凍イワシをタチウオテンヤにセット。尾の部分を余らせるようにワイヤーでくくるのがポイントだ。エサ持ちが悪く、せいぜい3投までしか持ち堪えないのが難だが、釣果優先でキャストを繰り返す。
すると日が暮れようとする18:00過ぎ頃からポツリ、ポツリとタチウオが釣れだした。私も一層気合いを入れてキャストする。18:30前に周りの釣れ具合が増してきたのを見て、今日は時合いがはっきりしていると決断し、エサ持ちの良いドジョウのエサに切り替えた。
釣果は手にするもアワセに苦戦
ドジョウのエサに切り替えたのが正解で、18:40頃に上層でガガッという感触を得たところでロッドを振り上げアワセを入れるとヒット。バラさないようにと慎重に手前に寄せ、抜き上げに成功。ステンレスの輝きを放つ魚体は小型ながらも、今年初のタチウオを手にした喜びはひとしおだ。
時合いはいつまでも続かないので、エラにナイフを入れて骨切りするだけの〆にとどめて頭から海水バケツに入れて釣りを続行。アクションが必要なワインド釣法とは違って、エサを付けたタチウオテンヤは上層をゆっくりと引き、時折緩く小さくピッ、ピッとアクションを入れるだけでOK。
ところがアタリは頻繁にあっても、個体が小さいのと、ショアジギロッドの竿先が硬く太いことから、アワセに苦戦、空振りやタイミング逃しばかりで、指3本サイズは混じるも、釣り上げたのはここまで3匹どまりのへっぽこ釣り師丸出し状態。
あわよくば19:30の迎え便で先行逃げ切りをはかろうとした当初の目論見は崩れ、最終迎え便までの延長戦を決めた。周りの釣り人からも「アワセ難しいなあ」、「掛けられへんわ」と苦戦する声があがっていて、キビナゴエサの電気ウキ釣りに切り替えた釣り人もいた。
最終釣果はタチウオ4匹
延長戦後もアタリはポツポツ、アワセは苦戦という状況は変わらずで、1匹を追加するのが精一杯。最終釣果はタチウオ4匹、ウルメイワシ・小アジ・豆アジ少々という、活況の割に数を伸ばせなかった悔いの残る結果となった。2隻運行での21:00便で全員引き上げ。
乗船場に戻ると、腕自慢の複数の釣り人たちが続々と、船長やスタッフに満面の笑みで豊漁を報告していた。波止全体では二桁釣果続出で、常連はパレット山盛りの驚愕の釣果を叩き出していた。
数の面で悔いは残るも、自宅で賞味した釣果の食味は抜群で、釣行の疲れが癒される思いだった。
今後の展望
今回の釣行ではタチウオの釣況は千載一遇の活況を呈していたが、今秋のタチウオの釣況が良い状態のまま続くことを願いたい。しかしその保証はなく、海流の変化や海水温の状況、あるいは台風などの影響により、タチウオの群れの回遊状況は大きく変わる可能性もある。
過去には夏タチと呼ばれる小型の群れの回遊にとどまり本格的な群れは訪れなかった年もあれば、昨年に象徴されるようにブリやサワラなどの青物が好調過ぎると、それを嫌うタチウオが遠のくという現象も想定される。
タチウオは回遊魚で群れの到来次第という点を十分に理解して、ホームページや釣り系SNSによる釣果情報を日々確認するとともに、イワシなどのベイトの状況や潮回り、さらには風向きにも注目して、一瞬の好機を逃さず釣行してほしい。
<伴野慶幸/TSURINEWSライター>