冬に楽しむ「浜名湖のクロダイフカセ釣り」攻略 『砂揚場』にフォーカスして解説
2024年02月28日 17:00
抜粋
厳寒期に東海地区で波止からクロダイをフカセ釣りで楽しむには厳しいシーズンと言える。ところが、極寒の今がハイシーズンと言える夢のエリアが存在する。それが静岡県の浜名湖だ。その中でも表浜名湖と呼ばれる舞阪漁港の隣にある網干場。新居漁港の隣にある海釣り公園周辺は、平日でも釣り人が多く並んでいる人気のエリアだ。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版APC・濵田晃行)
浜名湖の砂揚場
浜名湖の西側、国道1号線の南に位置し、東西に広がる護岸は車で直接乗り入れができる釣り人にとってはうれしいポイント。隣の3番ミオ筋を激流が流れるので、引かれ潮や反転流の発生するエリアだ。浜名湖の釣り場は速い潮の所が多いが、ここは比較的潮の動きが緩く、釣りやすいエリアといえる。
足場もいいので家族でサビキ釣りやチョイ投げなど、好きなスタイルで釣りを楽しめるので、平日にもたくさんの釣り人が訪れる人気のエリアとなっている。
今回狙うフカセ釣りでのクロダイは40cmオーバーの良型は少ないものの30cm前半の数釣りが期待できるので、詳細を解説したいと思う。
砂揚場でのタックル
サオは磯ザオ0~1号の5・3mが基本となるが、ここ砂揚場は障害物がないので私は00号の軟調ザオを使用して、クロダイの引きをダイレクトに楽しんでいる。
リールは、2500番程度のレバーブレーキ付きスピニングリールを使用。これに1.35~1.75号のミチイトを巻いていればOK。問題なく釣りができるだろう。
フカセ釣りでキモとなってくるのがウキ。砂揚場では水深が5m前後あって、二枚潮のやっかいな状況などに対応するために棒ウキや円すいウキの浮力違いをそろえておいた方が良い。
マキエ&サシエ
クロダイ狙いで使用するマキエは、濁りを底にためるイメージで集魚剤をチョイスするといい。私がいつも使っているのはマルキユーのチヌパワーV10白チヌとチヌパワー激濁り。文字通り白い濁りを演出できる。これをオキアミ1・5~3kgを砕いたものとよくかき混ぜる。
次に粘りを出すために、空気を抜く作業をする。自分は手を汚さないように水くみバケツの底を利用し、中から手を当ててマキエを押しつけている。これで底にためるときは杓(シャク)で固めてまき、バラけさせたいときは崩したマキエを軽くすくってまけばいい。
さらにクロダイの好物のサナギのミンチやコーン、押し麦などをトッピングして集魚力やアピール力をパワーアップするのも効果的だ。できれば釣行前日の夕方あたりに混ぜておけば、全体的に水分もなじんで使いやすいマキエとなる。
サシエは色々な種類を用意
次にサシエだが、オキアミをメインに使用し練りエ、むきエビ、コーンやサナギなど数種類を用意し、ローテーションして当日の当たりエサを見つけるようにする。
エサ取りが多い場合は、オキアミなど柔らかいものから固いエサにシフトして狙っていく。練りエは柔らかいが親指サイズの大きさにすると、意外にエサ持ちが良くてクロダイに届く場合があって重宝するので必ず用意してもらいたい。
反対に、釣っていてオキアミが残るような厳しいときは、何をやってもダメなイメージを持ってしまうが、反応するエサはクロダイの機嫌次第なので、絶えずサシエはいろいろと試してほしい。
釣り座選択
東西に長くて広い砂揚場は、釣り座選びに迷うところだ。3番ミオ筋に近い東側は潮の変化が激しく、少しテクニカルなイメージ。西に行くほど潮が緩く、釣りやすい。護岸の足元は3・5~4mの水深で、沖に向かってなだらかに深くなり、25~30m沖で5mほどの水深で砂地がメインの海底が広がっている。
沈み瀬などの障害物がなく、どの位置に入っても同じような状況で、基本的にはマキエでポイントを作って、回遊してくるクロダイを迎え撃つ感じの釣り場だ。当日、空いている所でじっくりと釣ればいいと思う。
クロダイの釣り方
釣り座を決めたら、まずはあいさつ代わりに固めたマキエを25~30m沖に20杯ほど投入し、ポイントを作ってクロダイを呼び込む。タックルを組んでいる間に、状況が良ければクロダイが寄ってきて、1投目でアタリが出る場合もある。
釣りをのんびりと楽しみたいので、まずは棒ウキを使ってアタリが明確に分かる釣り方で始めたい。潮の動きに合わせて緩ければ0号、速く流れるようであれば5Bまでの遊動仕掛けで流していく。
マキエは釣り座正面の底にためるイメージで、潮が流れていれば潮上2m以内で対応する。ポイントがボヤけてしまうので、流れているウキを追いかけて打たないように気をつけること。左右に流れることが多いので、横長にコンパクトに打って煙幕の中をトレースするように仕掛けを流すことを心がけるといい。
食い渋り&エサ取り対策
潮が緩いときや動かないときは、食いが渋い場合が多い。こんなときはハリとガン玉の距離を遠くして、ゆっくりサシエが落ちるように演出する。マキエとサシエの同調を意識しよう。
エサ取りが多い場合はガン玉をハリに近づけて、ウキにアタリが出るようにする。ハリを小さくしてでもエサ取りを掛けて正体を突き止め、対処ができればクロダイに出会える近道となる。
浜名湖のクロダイはアタリが頻発しても、ハリ掛かりしないことが多い印象がある。エサ取りなのか、クロダイがエサを取っているのか見極めが大事なので、サシエのローテ&仕掛けの工夫でクロダイを仕留めよう。
二枚潮の場合
港湾などでよく発生するのが二枚潮。ここ砂揚場もそれほど激しくはないものの、一日釣っていればこの状況になる時間帯が訪れる。流れているウキのお尻が潮上側に向いていたり、仕掛け回収時に潮受けウキゴムが潮上側から上がってくれば二枚潮になっていることが考えられるので、常に情報収集しよう。
このようなときは海底付近にあるサシエが潮流よりも速く流れすぎて、クロダイが口にくわえる確率が下がる。そんなときは円すいタイプの沈むウキを使用し、ミチイトやサオ先でアタリを取るようにするといい。
大きめの沈むウキは、底潮をしっかり捉えて仕掛けを運んでくれる。目に見えない状況を想像して、ミチイトの操作をする釣り方だ。張らず緩めずでミチイトを送り込んでいくと、突然ピンッと張ったりいきなりガツンとサオ先まで引き込むアタリが出て、ドキッとする衝撃が楽しい釣り方といえる。
難しく感じる人が多いと思うが、習うより慣れろでチャレンジしていただきたい。厳しい状況のなか、1匹を拾えるのがこの釣り方だと思っている。
釣り場の美化と安全
砂揚場は船が直接着けられる港の一部だ。当然のように手すりなどの転落防止柵はないので、危険な場所という認識を持ってほしい。事故が起きてからでは遅いので、ライフジャケットの着用は必ずお願いしたい。
あとは釣り終わりには釣り座の清掃をして、帰路に就くこと。フカセ釣りはマキエが必ずこぼれるので、海水で流してキレイにしてもらいたい。手軽に入ることができる場所なので、釣り人が出すゴミで簡単に荒れたポイントとなってしまう危険性がある。
釣り禁止の場所が増えていく一方なので、この先も長く釣りができるように「釣る前よりも美しく」を意識して、釣り場を守っていけるようにお願いします。
<週刊つりニュース中部版APC・濵田晃行/TSURINEWS編>