春のエリアトラウト超入門解説 【最低限必要なアイテムをまとめて紹介】
2024年04月27日 11:30
抜粋
エリアトラウトと言えば、皆さんはどのようなイメージを持っているだろうか。「魚が池に放流してあって初心者や女性、子どもでも楽しみやすい」、いわば初心者向けの釣りだという印象を持っている釣り人も少なくないと思う。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 戸松慶輔)
底なし沼級の奥深さ
これは正解でもあり、間違いでもあると考えている。たしかに磯や自然河川などと違って魚はたくさん放流されているし、足場も整備されている。またトイレや自動販売機もあり、食事ができる設備が整っているところも。初心者でも釣りやすく安全であるため、大きな安心感があるのは間違いない。
しかしエリアトラウトは釣り初心者のためのものだ、となめてかかると痛い目を見ることも多い。魚の活性が高い時間帯やタイミングでは確かに釣りやすいが、そんな状況が良いときばかりではない。魚は池の中を悠々と泳いでいるのに、目の前を通過するルアーには一切反応しない、という時間だってある。こうなるとウェイトやカラー、泳ぎを変えてあの手この手で魚からの反応を見ながら正解を探していく。
数キャストごとに魚からの反応を見ながら、詰め将棋のように釣りを組み立てていき、周囲の釣果が上がらないなかでも、正解を探し当てた人だけが連発するというケースだってあるのだ。
そのため「まずは1匹を釣ってみたい!」という初心者の釣りに対するハードルは低い釣りでありながら、エリアトラウトを真剣に競技として楽しみたいという、上級者まで楽しめる懐の深い釣りだと思う。
エリアトラウトのタックルについて
エリアトラウトの道具を購入して始めてみようという人に向けて、タックルの提案もしてみたいと思う。ただ道具に関してはピンキリなので、あくまで「入門向け」として、お勧めできる道具を順番に見ていこう。
タックルは「なるべく値段を安く、かつ快適にエリアトラウトを楽しめる」というコンセプトで紹介していきたい。
まずロッドは、エリアトラウト専用ロッドを選びたい。エリアトラウト専用のロッドで1g以下のルアーが投げられるULやSULという軟らかさのもので、長さは5~6ftくらいのものを選ぼう。
1g以下のスプーンを使う場面も少なくないため、軽いルアーが投げられるロッドが必須となるのだ。適合ルアーウェイトが1g以下のものが扱えるアジングロッドやメバリングロッドなら流用が可能だ。バスロッドやシーバスロッド、エギングロッドなどは硬すぎるためお勧めしない。
次にリールを見てみよう。スピニングリールの1000~2000番がエリアトラウトで扱いやすい。リールの場合、基本的には値段が上がれば上がるほど、快適になると言っても過言ではないが、ダイワならクレスト、シマノならネクサーブあたりのコスパ重視のモデルでも十分成立する。
そして必須となるラインだが、最初はナイロンラインをお勧めしたい。素材特性からしなやかで扱いやすい上に、エキスパートアングラーたちも愛用するバランスの良さが魅力。
エリアトラウト用のラインが販売されているため、その中から選んでみよう。このラインの先に00番、もしくは000番サイズの極小スナップを結べば大丈夫だ。
ちなみに道具をそろえるかどうか迷っている人には、釣り場でレンタルを行っている所もある。まずは体験してみたいという人は、レンタルを活用するのも視野に入れてみよう。
スプーンの基本とレンジ
スプーンは一定の速度で巻くだけで魚が狙える基本とも言えるルアーで、ゆっくり巻くと本体を左右に振ってアクションしながら泳いでくる。水に沈むため着水してから待つ時間を変えると、任意のレンジまで沈められる。
基本の攻め方はスプーンが着水してからカウントをしながら、スプーンがボトムに到着する時間を数えておく。ラインがふっと緩んだ瞬間が着底の合図となるので覚えておこう。
そこから着底までの時間を3分割して、表層と中層、ボトムに分ける。例えば8秒でボトムに着底するなら、着水後0~2秒で巻き始めれば表層、4秒で中層、8秒でボトム、とそれぞれ狙ったレンジが攻められるようになる。もっと細かくレンジを刻めれば状況に応じて対応が可能だが、まずはこの3つのレンジを意識して攻めてみよう。反応が出るところがヒットレンジとなる。
スプーンの巻き方とアタリの出方
スプーンの巻き方は一定のスローリトリーブが基本だ。サオ先を前に向けて、ロッドとラインが一直線になるように構えたら、スピードが変わらないようにハンドル1回転を2~4秒かけてゆっくり巻いていく。
ある程度速めの巻きで反応が出やすいときもあれば、とにかくゆっくり巻かないと反応が得られないケースもある。反応が出やすいリトリーブスピードを探していこう。
アタリが出ればハンドルを巻いている手がコツンと止められたり、イトを引っ張っていくような衝撃が出たりする。これらのアタリはヒットした後にイトを引っ張っていくために出るアタリだ。
逆に手には全く感覚が出ないアタリもある。魚がスプーンをくわえてから、横やこちら側に向かって泳いでくるようなケースで、ラインが横に動いたり不自然に緩んだりする動きが出る。そのため巻いているときには、ラインを注意して見ておこう。ラインに出るアタリが取れるようになると数を大きく伸ばせるようになってくる。
スプーンの種類と選び方
続いてスプーンの種類だが、膨大な量の製品があるため何をそろえればいいのか、非常に迷いやすいポイントの1つ。まず見るべきは、重さとカラーだ。
オールマイティに使いやすいのは0.7~2gくらいのスプーンで、それぞれの重さをカバーできるように、3種類ほどウェイトを刻んでそろえたい。例えば0.8g、1.2g、1.6gといった具合だ。
そしてカラーはそれぞれの重さで、3色まずはそろえてみよう。ゴールド、明滅、食わせの3つくらいあればひとまずなんとかなる。
ゴールド系はゴールド一色のものや、オレンジ×金のオレ金などがある。朝イチや放流後の活性が高いときに効率よく魚を釣るためのカラーとなる。
明滅は片面が明るい色で裏側が暗い色で構成されているカラー。アクションによって、明るい色と暗い色がチラチラとアピールをしてくれる。
食わせはオリーブやブラウン、モカなどの暗めの色が特徴。魚が食べているペレットを模しているカラーで、活性が低い状況では活躍の場面が多い。
それぞれの重さとカラーをそろえると、3色を3種類の重さでそろえることになる。しかしこれだけでは心もとない。スプーンはウォブリング系とローリング系のスプーンに大別される。当然それぞれの製品によって違いがあり、ウォブリング系はアピール系、放流狙いと表現されるアクションの強いスプーンで高活性時に強い。
ローリング系は食わせ系、低活性時系と表現されるもので、アクションそのものは強くはないためナチュラルで低活性時に強い。ざっくりそのような特長があることをイメージしてもらえば良いだろう。そのため3色3種類のスプーンをハイアピールのウォブリング系、ナチュラルアピールのローリング系の2つをそろえてみよう。
クランクは扱いやすい
スプーンはレンジやスピードを自在に変えられるため、釣りの幅は広くなる。ただ一定のレンジをコントロールするためには、やはりそれなりに慣れが必要。
そんなときに一定のレンジを巻けるのがクランクだ。クランクは巻けるレンジが決まっているため、レンジの自由度はスプーンほど高くはない。しかしスプーンにはないアクションや泳ぎを持っており、さらには水に浮くフローティングクランクなら、スプーンで攻略できなかった水面も狙い撃ちができる。
さらには巻くだけで設定したレンジをしっかり泳いでくれるため、初心者でも爆釣する可能性を秘めている。
1つ1つ泳ぎが異なるので最初に持っていくなら、それぞれのレンジを攻められるように浅いレンジを攻められるものと深いレンジを攻められるものを選んでおこう。
またカラーやサイズも多岐に渡るが、ブラウン系カラーで小さめのクランクがいろいろな場面でオールマイティに使いやすいのでお勧めだ。
どうしても釣れないときのお助けルアー
エリアトラウトといえど、何を投げても反応してくれない時間帯やタイミングがある。魚がルアーに対して反応しなくなってしまう、「スレた」と言われる状況で、こうなってしまうと上級者ですら苦戦する。
そんなときでも釣りたいときに重宝するのが、お助けルアーと呼ばれるものだ。Xスティックやセニョールトルネードなどが有名で、ちょっと特殊な形状をしている。
この独特な形状がスレてしまった魚にスイッチを入れて、口を使わせられる場面も多い。スプーンに全く反応がなくなってしまったタイミングで、これらのお助けルアーを投入すると、それまで反応がなかったのがウソのように連発で釣れ続くこともある。
厳しい日や時間にあたってしまったときに、切り札として釣果を出してくれるお助けルアーをルアーケースに忍ばせておくのをお勧めしたい。
必要な小物
続いてルアーやロッドのように必須ではないがそろえておきたい小物類を紹介していく。
・ルアー着脱のための00~000番のスナップ。
・スプーンを収納するためのスプーンワレット。
・クランクなどを収納するルアーケース。
・魚をすくうためのラバー素材のランディングネット。
・掛かった魚を外すリリーサー。
さらに魚を持ち帰る予定であれば、ここにクーラーボックスが必要となる。
魚の動きが活発な今がエリアトラウトの楽しい時期
紙面が掲載される4月は冬の寒さが明けて、暖かくなってくる季節。同時に魚も動きが活発になってくる。春は魚からの反応が多く、これからエリアトラウトを楽しんでみようという人にとってはベストシーズンになる。他の釣りを経験している人も、全く釣りをやったことがないという初心者の人もぜひエリアトラウトにチャレンジしてみてほしい。
<週刊つりニュース中部版 戸松慶輔/TSURINEWS編>