正月に考えたい「右脳を使う釣り」の話

2026年01月03日 13:14

[釣りの総合ニュースサイト「LureNewsR(ルアーニュース アール)」]

抜粋

はじめに ~正月だからこそ、少し腰を据えた話を~

正月一発目なので、今回は少し腰を据えた話をしてみようと思います。といっても、難しい理論を振り回したいわけじゃありません。むしろ、僕らが長い間、無意識にやってきた釣りの話を、一度ちゃんと整理してみよう、という内容です。

今回のテーマはシンプルです。釣りの現場では「右脳の働きをメインにしよう」です。左脳を否定する話でもなければ、感覚だけで釣れと言いたいわけでもありません。使う順番の話。主役を入れ替えよう、という話です。

レオン 加来 匠(Kaku Takumi) プロフィール

加来匠(かく たくみ) 中国&四国エリアをホームグラウンドとし、メバルやアジ、根魚全般の釣りを得意とする生粋のソルトライトリガー。レオンというのはネットでのハンドルネームとして使い始めたが、いつの間にか、ニックネームとして定着。ワインドダートやSWベイトフィネスなどを世に広めた張本人、新たなスタイルを常に模索中! 「大人の遊びを追求するフィッシングギアを提供する」ことを目的としたプライベートプロダクション「インクスレーベル」代表もつとめる。

右脳と左脳の役目:刑事と弁護士の例え

人の脳には、左の脳みそ(左脳)と、右の脳みそ(右脳)があって、それぞれ得意な役目が少しずつ違う、というのは脳科学や認知科学で語られてきた一般的な理解です。

左脳は、言語、論理、数値、順序、因果関係を扱うのが得意。「なぜそうなるのか」「どういう理屈なのか」「順番に説明できるのか」こういうことを組み立てるのが左脳です。例えるなら、左脳は弁護士。証拠やエビデンスをバックボーンに、法体系の中で説を組み立てていく。とても大事な役割です。

一方で右脳は、直感、空間把握、全体認識、言葉になる前の判断を担う側。こちらは刑事に例えると分かりやすい。刑事は証拠が揃う前から現場検証をして、「あれ?なんか怪しいな」と、一般の人には分からない差を見つけてしまう。いわゆる刑事の勘です。これは、現場を踏み続けて鍛えられた右脳の働き。

大事なのは、刑事が正しくて弁護士が間違い、という話じゃないこと。刑事は感性で違和感を拾って解決への道を模索し、弁護士はあくまで理論や法体系に基づいたエビデンスを材料に解決策を講じるということ。これを釣りに当てはめると、現場では刑事(右脳)が先、後から弁護士(左脳)がまとめる。この順番が自然で効率的だと思うのです。

情報は必要。ただし現場で主役にすると噛み合わない

近代のルアーフィッシングを考えるうえで、情報収集はやっぱり必要ですよね。インターネットという素晴らしい道具がある現代では、潮汐、風向き、水温、実績ルアー、有効レンジ、有効メソッドといくらでも調べられる。これは本当にありがたいし、サーチの起点としては必要だと思います。

ただし問題は、その情報を現場で主役にしてしまうこと。情報優先で釣り場に立って、情報優先でルアーを選んで、情報優先でメソッドを繰り出す。どうしても左脳主体になりやすいですよね。正解を探して、外さないようにして、一般的に言われている「答え」に寄せてしまう。

でも、これではすぐに限界が来てしまいます。魚は常に情報の中にはいませんからね。

魚がいるのは海の中。感じ取るのは右脳の仕事

魚がいるのは、目の前の海中です。流れ、明暗、影、ヨレ、水の動き、気配、違和感。こういうものは現場に立たないと分からない。いや、現場に立ってもそれを読み取る癖をつけていないと何も見えてこない。そして、それを感じ取るのは弁護士脳(左脳)じゃなく、刑事脳(右脳)なのです。

アジングでも、メバリングでも、ロックフィッシュでも何でも、上手い人ほど「勘働き」に優れています。例えば、「今だな」「まだ早い」「もうちょい」。この“間”の判断って、秒数や方程式で測れない。これらは、理屈でやっているようで、実際は“感じて判断している”ことの方が多いのです。

名人の答えが曖昧になる理由|長嶋監督と釣り名人

長嶋監督伝の中で有名な話があります。

選手に、どうしたら良いヒットやホームランが打てますか?と聞かれて、長嶋監督は「腰をバッと入れるんだよ」と答える。これでは全く具体的な指示では無いし、聞いただけでは再現のしようもない。またその方法を言語化するのも難しい…。

【知行合一】という言葉があります。つまり、「知っている」は「出来る」という事に直結しません。これが知識(情報)の限界です。知(左脳)と行(右脳)が同時に働いてこそ、本当の良い結果に恵まれるという教えですね。釣り名人も、まったく同じです。僕もかつて有数な釣り名人たちに教えを受けてきましたが、質問しても返ってくる答えは。かなり長嶋監督に似ています(笑う)。特に現場で一緒に釣りをしながら教えを乞うと、釣果を導き出す方法論は非常に言葉になりにくい…。

一番印象に残っているのが僕の師である「木原名人」です。瀬戸内の釣り仙人と謳われた名人で、リールもついてない、ドラグも効かない、のべ竿に糸と針だけ。それで70cmを超えるスズキを掛ける。でも名人が掛けた魚はあまり走らず、右へ左へと落ち着いて誘導する名人の竿捌きで程なくして腹を返す。ところが、僕らが同じ現場で同じくらいのサイズを掛けると、一気に走られ、竿捌きに至るまでも無く、なすすべもないままプチンと糸を切られる。

そこで「どうして僕たちは切られて、師匠は切られないんですか?」と聞いたら、木原名人はこう言ったんです。

「君たちは魚を驚かせすぎるんだよ」と…。

数値も手順も出てこない。でも今なら分かる。僕もいつの間にか近いことができるようになっていったのです。

言葉で説明しても理解できない世界がある。名人はそれを分かっている。つまり、右脳側が司る「体験・体感」が肝心要の軸なのです。釣れた理由、釣れなかった理由、そして切られた理由、などを常に考え続ける。これが左脳の仕事。そしてその積み重ねが、現場で発揮する右脳の判断を育てていく。

 釣りが上手くなる土台

ここで知行合一という言葉が効いてきます。

知ることと行うことは、一つにならないと結果が出ない。僕は釣りにも三つの育ちが必要だと思っています。知育・徳育・体育の三つです。知育は経験から得られる知恵。徳育は釣り人としての姿勢であり、魚への敬意と同時に、自然や地域、漁業者への敬意。そして体育は体に覚えさせる事であり、体験を体に沈殿・蓄積させることです。

理屈に答えを求めすぎると成長は遅くなります。釣りは特に。まず体が覚え、理論は後付けするくらいがちょうど良い。これが僕の考え方です。

釣り場は本来とても自由な空間

世間や他人の評価や情報は、実は右脳の働きを最も阻害します。

ここは今回、一番伝えたかったところです。釣りって、本来ものすごく自由な行為であるべきです。仕事でも義務でもない。誰かに評価されるためにやるものでもない。そして、特に一人で海に立ったとき、やり方に関して他人の同意なんて必要ないはずです。

ところが現代社会では、インターネットやSNSがあって、他人の意見、他人の情報、他人からの評価が常にまとわりつきます。そして脳(左脳)がその情報に支配されると、現場(海や魚)の、吐息や、揺らぎや、情感などを感じ取る脳(右脳)が働き難くなるのです。本当は誰も裁いていないのに、勝手に自分で裁判を始めてしまう。その瞬間、刑事脳(右脳)は引っ込み、弁護士脳(左脳)だけが前に出る。右脳を止める最大の原因は、技術不足でも知識不足でもなく、「思い込み」だと僕は思っています。

右脳はすでに技術として使っている…レンジ・間・違和感

右脳を使う釣りというのは、才能の話じゃありません。アジングでも、メバリングでも、ロックフィッシュでも、すでに技術としてやっていることです。レンジを決めるのじゃなく感じる。明暗やヨレを図解じゃなく気配で見る。特にルアーやカラーの選択などは、情報からなる正解探しじゃ無く、自身の情熱や愛や興味で行う。この方が釣りは圧倒的に上手くなります。

続いて、“間”を取る、”余白”を作る、”魚に”考えさせるなど、これらは全て、現場で右脳が仕事をしている状態です。

右脳を鍛えるコツ~天邪鬼になろう~

では最後に、右脳の働きを強くするための、現実的で簡単な方法を考えます。

どの釣りジャンルにも王道がありますよね。まずは王道で釣れるようになる。これは大前提。その上で、ある程度釣れるようになったら、あえて王道を外す。一日丸々じゃなくていい。その日の中で「この30分、この1時間は王道じゃないことをやる」そんな時間を作る。ワームで釣れていたら、何匹か釣ったあとにハードルアーを結んでみる。1g以下で釣れていたら、2g、3g、極端に言えば5gを結んでみる。大事なのは、1gで釣れている感覚のまま3gを使わないこと。

3gには3gの釣り方がある。5gには5gの釣り方がある。竿の使い方、糸の張り方、動かすスピード、全部変わる。実際に試して外して、そして体感で掴んでいく過程で、右脳が育つのです。つまり、その行程や過程を意識的に増やすのです。

カラーも同じです。「ここはこの色が一番釣れる」。それは単なる最大公約数。だからこそ常に疑う。淡色で釣れていたら暖色。白なら黒、青なら赤。グロウならノングロウ。クリアならソリッド。つまり、「右脳の釣り」への近道は、天邪鬼になることです。皆が皆同じことをやれば、基本的に同じ魚を同じだけしか釣れない。さらに高みを目指すなら、「知」は一旦ほっぽって「行」を変えなきゃいけないのです。

正解をなぞる釣りから、発見する釣りへ

魚釣りに行けば、誰だって魚を釣りたい。だから「一番釣れる」と言われている方法をやり続けたくなる。でもそれだけだと、成長がない。発見がないからです。

情報は陸で弁護士(左脳)に整理させればいい。でも現場では、刑事(右脳)を前に出す。正月最初の釣りは、そんなことを少し意識しながら海に立ってみてはどうでしょうか。だって、魚たちはインターネットの渦の中ではなく、目の前の海の中に居ます。しかも彼らは情報に頼らず、ほぼ右脳だけの指示に従って、「手前勝手」に過ごして居るのですから(笑)

 

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